最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
タコ滑り台遊具事件(控訴審)
知財高裁令和3.12.8令和3(ネ)10044著作権侵害請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 小林康彦
裁判官 小川卓逸
*裁判所サイト公表 2021.12.23
*キーワード:美術の著作物、応用美術論、美術工芸品、建築の著作物
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■事案
タコの形状の滑り台遊具の著作物性が争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :公園施設設計施工会社
被控訴人(1審被告):公園施設設計施工会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2条2項、10条1項4号、5号
1 本件原告滑り台が美術の著作物に該当するか
2 本件原告滑り台が建築の著作物に該当するか
3 不当利得返還請求権の存否(予備的請求関係)
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人に対し,前田屋外美術株式会社(旧商号「株式会社前田商事」。以下「前田商事」という。)が製作したタコの形状を模した別紙1原告滑り台目録記載の滑り台(以下「本件原告滑り台」という。)が美術の著作物又は建築の著作物に該当し,被控訴人がタコの形状を模した別紙2被告滑り台目録記載の滑り台2基(以下「本件各被告滑り台」と総称し,同目録1記載の滑り台を「本件被告滑り台1」,同目録2記載の滑り台を「本件被告滑り台2」という。)を製作した行為が控訴人が前田商事から譲り受けた本件原告滑り台に係る著作権(複製権又は翻案権)の侵害に該当する旨主張して,主位的に,著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として432万円及びうち216万円に対する平成24年4月17日(不法行為の日である本件被告滑り台2の製作日)から,うち216万円に対する平成27年2月12日(不法行為の日である本件被告滑り台1の製作日)から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定(以下「改正前民法所定」という。)の年5分の割合による遅延損害金の支払を,予備的に,不当利得返還請求として432万円の利得金の返還及びこれに対する令和元年9月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
『原審は,本件原告滑り台は美術の著作物又は建築の著作物のいずれにも該当しないから,控訴人の主位的請求は理由がなく,また,控訴人に本件各被告滑り台の受注額に相当する額の損失が発生したものと認められないから,控訴人の予備的請求も理由がないとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。
控訴人は,原判決を不服として,本件控訴を提起した。』
(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件原告滑り台が美術の著作物に該当するか
控訴審も原審と同様、結論として本件原告滑り台の美術の著作物該当性を否定しています(6頁以下)。
なお、応用美術論に関して、控訴審も
「応用美術のうち,美術工芸品以外のものであっても,実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して,美的鑑賞の対象となり得る美的特性である創作的表現を備えている部分を把握できるものについては,当該部分を含む作品全体が美術の著作物として,保護され得ると解するのが相当である。」(8頁)
と示した上で、あてはめを行っています。
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2 本件原告滑り台が建築の著作物に該当するか
控訴審も原審と同様、結論として本件原告滑り台の建築の著作物該当性を否定しています(12頁以下)。
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3 不当利得返還請求権の存否(予備的請求関係)
控訴審も原審と同様、結論として不当利得返還請求を認めていません(13頁以下)。
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■コメント
著作権法学会の判例研究会やCRICの月例著作権研究会でも取り上げられて関心を集めていた、タコ形状の遊具の著作物性が争われた事案。控訴審でも著作物性が否定される結果となっています。
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■過去のブログ記事
東京地裁令和3.4.28令和1(ワ)21993著作権侵害訴訟事件
原審記事
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■関連記事
弁護士齋藤理央先生 I2練馬斉藤法律事務所(2021.12.23)
「タコ滑り台[ミニタコ]事件控訴審判決ー著作権裁判例紹介」
記事
タコ滑り台遊具事件(控訴審)
知財高裁令和3.12.8令和3(ネ)10044著作権侵害請求控訴事件PDF
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裁判官 小川卓逸
*裁判所サイト公表 2021.12.23
*キーワード:美術の著作物、応用美術論、美術工芸品、建築の著作物
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■事案
タコの形状の滑り台遊具の著作物性が争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :公園施設設計施工会社
被控訴人(1審被告):公園施設設計施工会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2条2項、10条1項4号、5号
1 本件原告滑り台が美術の著作物に該当するか
2 本件原告滑り台が建築の著作物に該当するか
3 不当利得返還請求権の存否(予備的請求関係)
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人に対し,前田屋外美術株式会社(旧商号「株式会社前田商事」。以下「前田商事」という。)が製作したタコの形状を模した別紙1原告滑り台目録記載の滑り台(以下「本件原告滑り台」という。)が美術の著作物又は建築の著作物に該当し,被控訴人がタコの形状を模した別紙2被告滑り台目録記載の滑り台2基(以下「本件各被告滑り台」と総称し,同目録1記載の滑り台を「本件被告滑り台1」,同目録2記載の滑り台を「本件被告滑り台2」という。)を製作した行為が控訴人が前田商事から譲り受けた本件原告滑り台に係る著作権(複製権又は翻案権)の侵害に該当する旨主張して,主位的に,著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として432万円及びうち216万円に対する平成24年4月17日(不法行為の日である本件被告滑り台2の製作日)から,うち216万円に対する平成27年2月12日(不法行為の日である本件被告滑り台1の製作日)から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定(以下「改正前民法所定」という。)の年5分の割合による遅延損害金の支払を,予備的に,不当利得返還請求として432万円の利得金の返還及びこれに対する令和元年9月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
『原審は,本件原告滑り台は美術の著作物又は建築の著作物のいずれにも該当しないから,控訴人の主位的請求は理由がなく,また,控訴人に本件各被告滑り台の受注額に相当する額の損失が発生したものと認められないから,控訴人の予備的請求も理由がないとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。
控訴人は,原判決を不服として,本件控訴を提起した。』
(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件原告滑り台が美術の著作物に該当するか
控訴審も原審と同様、結論として本件原告滑り台の美術の著作物該当性を否定しています(6頁以下)。
なお、応用美術論に関して、控訴審も
「応用美術のうち,美術工芸品以外のものであっても,実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して,美的鑑賞の対象となり得る美的特性である創作的表現を備えている部分を把握できるものについては,当該部分を含む作品全体が美術の著作物として,保護され得ると解するのが相当である。」(8頁)
と示した上で、あてはめを行っています。
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2 本件原告滑り台が建築の著作物に該当するか
控訴審も原審と同様、結論として本件原告滑り台の建築の著作物該当性を否定しています(12頁以下)。
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3 不当利得返還請求権の存否(予備的請求関係)
控訴審も原審と同様、結論として不当利得返還請求を認めていません(13頁以下)。
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■コメント
著作権法学会の判例研究会やCRICの月例著作権研究会でも取り上げられて関心を集めていた、タコ形状の遊具の著作物性が争われた事案。控訴審でも著作物性が否定される結果となっています。
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