最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

女子プロレスコスチューム制作事件

東京地裁令和3.8.20令和3(ワ)2322不法行為による損害賠償請求等事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官    吉野俊太郎
裁判官    小田誉太郎

*裁判所サイト公表 2021.10.11
*キーワード:イベント制作、コスチューム、業務提携

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■事案

アイドルのコスチューム制作費用の負担を巡って紛争になった事案

原告:イベント会社ら
被告:女子プロレスラー

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 民法709条

1 本件デザイン画等の使用についての原告会社の承諾の有無
2 不法行為の成否

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■事案の概要

『原告会社が,被告が原告会社の著作物であるコスチュームのデザイン画を無断で使用して,全く同じデザインのプロレスのコスチュームを制作したことが原告会社の著作権を侵害すると主張して,被告に対し,民法709条に基づき,損害賠償金216万4000円の支払を求めるとともに,』
『 原告らが,被告が実際にはコスチュームの代金につき立替払いをしていないにもかかわらず,立て替えたかのように装い,原告らから11万5000円を騙し取ろうとするとともに,期限までに同代金を支払わない場合には,秋元康氏の弁護士に依頼して提訴するなどと述べて同代金の支払を強要して脅迫したことが不法行為に当たると主張し,被告に対し,民法709条に基づき,各自,損害賠償金50万円の支払を求める事案である。 』(1頁以下)

<経緯>

H30.09 被告が「スターダム★アイドルズ」(スターダムと提携)応募
H30.11 被告がデビュー、訴外スターダムと契約
R1.07 被告が原告X1にコスチューム制作を相談
R1.07 訴外Aがデザイン画制作、使用許諾
R1.08 マヂソン社がコスチューム制作、被告に納品
R1.08 被告の「スターダム★アイドルズ」所属終了
R3.03 被告の太田プロ所属終了

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■判決内容

<争点>

1 本件デザイン画等の使用についての原告会社の承諾の有無

裁判所は、仮に原告会社が本件デザイン画及び本件コスチュームの著作権を有するとしても、被告に対してその使用を許諾していたものというべきであるなどとして、原告会社の著作権侵害に関連する主張を認めていません(12頁以下)。

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2 不法行為の成否

裁判所は、原告らの主張する被告による詐欺行為や脅迫行為は認められず、不法行為は成立しないと判断しています(14頁以下)。

結論として、原告らの請求はすべて認められていません。

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■コメント

アイドルのコスチューム制作の費用11万5000円の負担に関して、イベント会社、芸能プロダクション、興行会社、タレントの各者のやり取りで行き違いが生じた取引関係上の紛争事案となります。
ネットの記事からは、いろいろな事情があったことがわかります。もっとも、判決文からは、原告会社と被告タレント(女子プロレスラー)の契約関係がどのようになっていたのか、プロダクションの関わり方も含め、よくわかりません。

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■参考サイト

記事([週刊ファイト4月9日号]収録 ファイトクラブ2020-03-31 14:23)

記事(ファイトクラブ2020-07-21 10:38)

対ブシロードファイト事件(損害賠償請求訴訟)
記事(ファイトクラブ 2020-09-15 21:00)