最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

音楽CD違法配信事件

東京地裁令和3.9.30令和3(ワ)17149発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官    小川 暁
裁判官    佐々木亮

*裁判所サイト公表 2021.10.04
*キーワード:音楽、原盤、発信者情報開示請求、P2P

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■事案

ファイル交換ソフトウェアBitTorrentを使用した違法配信に関する発信者情報開示請求の事案

原告:レコード製作会社
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法96条の2、プロバイダ責任制限法4条1項

1 原告の送信可能化権が侵害されたことが明らかであるか
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

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■事案の概要

『本件は,レコード製作会社である原告が,インターネット接続プロバイダ事業を営む被告に対して,被告の用いる電気通信設備を経由したファイル交換ソフトウェアの使用によって,原告がレコード製作者の権利を有するレコードについての送信可能化権(著作権法96条の2)が侵害されたことが明らかであり,上記のソフトウェアの使用者に対する損害賠償請求等のために必要であるとして,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づいて,別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』

<経緯>

R2.08 原告が音楽CDを発売
R2.12 氏名不詳者が配信可能化

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■判決内容

<争点>

1 原告の送信可能化権が侵害されたことが明らかであるか
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

結論として、本件レコードの送信可能化に係る侵害情報の流通によって、原告の権利(送信可能化権)が侵害されたことが明らかであると裁判所は判断。
そして、本件発信者情報は、この権利侵害に係る発信者情報に該当し、原告には発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえると判断。上記送信可能化に係る通信を媒介した被告は、開示関係役務提供者として本件発信者情報を開示すべき義務を負うとして、裁判所は原告の請求を認容しています(4頁以下)。

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■コメント

判決文からは楽曲名が分かりませんが、P2Pファイル共有ソフトを使用した楽曲違法配信の事案です。