最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

Twitterプロフ画像事件(控訴審)

知財高裁令和3.5.31令和2(ネ)10010損害賠償等請求控訴事件等PDF

知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官鶴 岡稔彦
裁判官     上田卓哉
裁判官     中平 健

東京地裁令和1.12.24平成29(ワ)33550損害賠償等請求事件
原審判決PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    安岡美香子
裁判官    古川善敬

*裁判所サイト公表 2021.6.15

*キーワード:Twitter、アイコン、写真、同一性保持権、氏名表示権

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■事案

Twitterプロフ画像に無断で画像が使用されて円形にトリミングされてしまうことが同一性保持権侵害などに該当するかどうかが争点となった事案

控訴人兼附帯被控訴人(一審被告):ツイッター社(米国法人)
被控訴人兼附帯控訴人(一審原告):写真家

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■結論

原判決一部変更、附帯控訴一部認容

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■争点

条文 著作権法19条3項、20条2項4項、プロバイダ責任制限法4条1項

1 本件写真1ないし3に係る画像データを削除しないことが不作為による著作権(自動公衆送信権)侵害に該当し、侵害情報の流通によって被控訴人の著作権が侵害されたことが明らかであるか
2 最新ログイン時IPアドレス等が発信者情報に該当するか
3 ツイート1のウェブページへの本件写真2の表示及びツイート6若しくは6’のウェブページへの本件写真1の表示により、被控訴人の著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)が侵害されたことが明らかであるか
4 ツイート直前ログイン時IPアドレス等が発信者情報に該当するか
5 本件アカウント2及び4につき、ショートメールアドレスが発信者情報に該当するか
6 本件アカウント2及び4につき、電話番号の開示を求めることができるか

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■事案の概要

『本件は,被控訴人が,(1)控訴人が運営するインターネット上の短文投稿サイト「ツイッター」において,被控訴人の著作物である原判決別紙写真目録記載の各写真(本件写真1ないし3)が,(a)氏名不詳者により無断でアカウントのプロフィール画像又は投稿の一部として用いられ,その後当該アカウントに係るウェブページに表示されたことにより著作権(自動公衆送信権)が侵害され,(b)氏名不詳者による投稿に伴って当該アカウントに係るウェブページに丸くトリミングされて表示されたことにより著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたと主張して,控訴人に対し,プロバイダ責任制限法4条1項に基づき,原判決別紙発信者情報目録記載の各情報の開示を求めるとともに,(2)控訴人が,無断でアカウントのプロフィール画像として用いられた本件写真1につき十分な送信防止措置を講ずることなく再度閲覧可能な状態に置いたことは,著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権)を侵害すると主張して,控訴人に対し,民法709条及び著作権法114条3項に基づき78万6000円及びこれに対する不法行為の日である平成27年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。』

『原判決は,被控訴人の請求を,原判決別紙発信者情報目録第1の1(1)記載の情報の開示を命じ(原判決主文第1項),原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント1及び6について原判決別紙発信者情報目録第3の1(原判決別紙投稿情報目録第1の2,第6の2に係る部分),第3の2記載の情報の開示を命じる(原判決主文第2項)限度で認容し(原判決主文第1,2項の文言は,原判決別紙発信者情報目録の文言とは異なるところがあるが,その趣旨は上記のとおりであると認められる。),その余を棄却した。』

『これに対し,控訴人は,原判決主文第2項の取消しと,その取消しにかかる部分につき被控訴人の請求を棄却することを求めて控訴した(上記第1の1(1),(2))(控訴人は,原判決主文第1項の取消しを求めなかった。)。』

『被控訴人は,附帯控訴により,原判決が棄却した(1)原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント2,4の利用者の原判決別紙発信者情報目録第1の1(2)記載の情報の開示請求(上記第1の2(2)),(2)原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント2,4,6,7の利用者の原判決別紙発信者情報目録第4の1,第4の2記載の情報の開示請求(上記第1の2(3))をし,当審において,附帯控訴に基づき,(3)新発信者情報省令3号に基づいて,原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント2,4の利用者の電話番号の開示請求を追加し(上記第1の2(4)),(4)原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント6について,別紙投稿ツイート追加目録(1)記載の投稿(投稿に係るテキストデータの送信)以前の同アカウントへのログインのうち最も新しいもののIPアドレス,並びに同IPアドレスを割り当てられた電気通信設備から控訴人の用いる特定電気通信設備に上記ログインに関する情報が送信された年月日及び時刻の開示請求を追加し(上記第1の2(5)),さらに,(5)丸くトリミングされて表示されたことにより侵害された著作者人格権として氏名表示権の主張を追加し,他方,当審において,(1)原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント1,3,5,6,7の利用者の原判決別紙発信者情報目録第1の1(2)記載の情報の開示請求(上記第1の3(1)),(2)原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント1ないし7の利用者の原判決別紙発信者情報目録第1の2,第1の3記載の情報の開示請求(上記第1の3(2)),(3)原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント1ないし7の利用者の原判決別紙発信者情報目録第2の1,第2の2記載の情報の開示請求(上記第1の3(3)),(4)原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント4,5の利用者の原判決別紙発信者情報目録第3の1(原判決別紙投稿情報目録第4の2,第5の2に係る部分),第3の2記載の情報の開示請求(上記第1の3(4)),(5)原判決別紙開示請求アカウント目録記載アカウント1,3,5の利用者の原判決別紙発信者情報目録第4の1,第4の2記載の情報の開示請求(上記第1の3(5)),(6)民法709条及び著作権法114条3項に基づく78万6000円及びこれに対する不法行為の日である平成27年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求(上記第1の3(6))をいずれも取り下げ,取下げの同意が擬制された(民訴法261条5項)。』
(5頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 本件写真1ないし3に係る画像データを削除しないことが不作為による著作権(自動公衆送信権)侵害に該当し、侵害情報の流通によって被控訴人の著作権が侵害されたことが明らかであるか

一審原告(被控訴人)は、本件アカウント利用者がツイート行為やプロフィール画像設定行為により違法に本件写真をアップロードしている以上、本件写真を削除すべき条理上の義務を負っているにもかかわらず、これを削除しないという不作為によって被控訴人の自動公衆送信権を侵害しており、自動公衆送信状態を維持することは違法アップロードと同価値であるとして、利用者は最新ログイン時点における不作為による侵害情報の発信者と評価されるべきであることを理由として、本件アカウント利用者について、最新ログイン時IPアドレス等の情報の開示請求が認められるべきであると主張しました。
この点について、裁判所は、プロバイダ責任責任制限法2条、4条の趣旨、規定などから、結論として、最新ログイン時点におけるアカウント利用者をプロバイダ責任制限法が想定する「発信者」ということはできないとして、被控訴人の主張を認めていません(35頁以下)。

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2 最新ログイン時IPアドレス等が発信者情報に該当するか

被控訴人は、本件アカウント2、4、6及び7に係る最新ログイン時のIPアドレスが新発信者情報省令5号にいう「侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス」に該当し、最新ログイン時のタイムスタンプが同省令8号の「侵害情報が送信された年月日及び時刻」にそれぞれ該当すると主張しました。
この点について、裁判所は、結論として、本判決確定日時点における最新ログイン時におけるIPアドレス等は、侵害情報の発信に関連して把握される情報とは認められないと判断。侵害情報の発信と関係がない情報であり、新発信者情報省令5号及び8号のいずれにも該当しないとして、被控訴人の主張を認めていません(38頁以下)。

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3 ツイート1のウェブページへの本件写真2の表示及びツイート6若しくは6’のウェブページへの本件写真1の表示により、被控訴人の著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)が侵害されたことが明らかであるか

本件写真1は正方形の写真であり、本件写真2は横長の長方形の写真でしたが、ウェブページを閲覧する際、円形表示となる点について、裁判所は、著作者の意に反する改変であり、同一性保持権侵害にあたると判断。
また、円形表示では本件写真1、2では著作者名表示部分を見ることができないとして、氏名表示権侵害性も肯定しています(40頁以下)。

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4 ツイート直前ログイン時IPアドレス等が発信者情報に該当するか

本件アカウント1及び6のツイート1並びに6及び6’の直前のログイン時IPアドレス等の開示に関して、裁判所は、原審での判断を変更しています(53頁以下)。

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5 本件アカウント2及び4につき、ショートメールアドレスが発信者情報に該当するか

裁判所は、結論として、被控訴人のショートメールアドレスの開示の請求を認めていません(56頁)。

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6 本件アカウント2及び4につき、電話番号の開示を求めることができるか

本件アカウント2及び4の電話番号は、新発信者情報省令3号の「発信者の電話番号」に該当し、被控訴人は控訴人に対してその開示を請求することができると裁判所は判断しています(56頁以下)。

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■コメント

スズランの花やペンギンの写真がツイッターのプロフィール画像として無断使用されていた事案の控訴審です。
原告職業写真家の代理人弁護士の齋藤理央先生のツイッター投稿記事には、「インラインリンクによる同一性保持権侵害、止むを得ない改変の成否、著作権法19条3項の成否など、リツイート事件最判で残された課題について、知財高裁としての見解を示す一つの裁判例となっているかと思います。」と、本判決の意義について言及されておいでです。

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■参考サイト

「プロ写真家の著作物を無断でツイッターアイコンに使用、発信者情報開示命じる…他の侵害ケースにも波及か」
記事(弁護士ドットコムニュース 2018年10月19日 19時03分)

原告写真家の代理人齋藤理央先生の記事
「Twitter/ツイッターに対する発信者情報開示請求」(2020/4/22 I2練馬斉藤法律事務所ウェブサイト)

「ツイートアイコンを巡る発信者情報開示について」(2018/10/20 I2練馬斉藤法律事務所ウェブサイト)

弁護士齋藤理央 I2練馬斉藤法律事務所
@b_saitorio 2021年6月1日/午後5:29
Twitter記事

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著作権侵害訴訟:プロ写真家・縄田鮨公式ブログ【北海道に恋して】(2021/6/16閲覧)
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