最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

Amazonキンドル配信停止事件

東京地裁令和2.3.30平成29(ワ)1099損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第13部
裁判長裁判官 中村 心
裁判官    大寄 久
裁判官    吉田怜未

*裁判所サイト公表 2020.-.-
*キーワード:Amazon、電子書籍配信サービス、キンドル、アンリミテッド、契約

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■事案

Kindle  Unlimitedでの配信停止の不法行為性が争点となった事案

原告:漫画制作会社
被告:Amazon

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 民法709条

1 不法行為の成否

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■事案の概要

『本件は,原告が,被告の提供する電子書籍定額配信サービスにおける原告の電子書籍の配信を被告から一方的に停止され,あるいは,株式会社出版デジタル機構(平成31年3月1日以降の商号は,株式会社メディアドゥ。同社は,平成25年10月1日に株式会社ビットウェイを吸収合併しているところ,当時以前の 株式会社ビットウェイも含めて,以下「機構」という。)を通じてした同サービスにおける原告の電子書籍の配信の申請を被告から拒絶されたことにより,電子書籍の配信に関する原告の機構に対する債権を侵害されたとして,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償金2億0629万3710円並びにこれに対する不法行為の日から平成28年11月30日までの遅延損害金合計79万8755円及び損害賠償金2億0629万3710円に対する平成28年12月1日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁)

<経緯>

H25.05 原告と機構が電子書籍配信覚書締結
H27.04 原告と機構が覚書関連合意書締結
H27.04 被告と機構が電子書籍定額配信契約締結
H28.03 被告がキンドルアンリミテッド提供開始
H28.04 機構が原告に案内書面交付
H28.07 原告と機構がAmazon定額購読プログラムの支払いに関する覚書締結
H28.08 機構が原告に「KindleUnlimited支払方式の変更につきまして」書面交付
H28.09 被告が原告コンテンツを配信除外

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■判決内容

<争点>

1 不法行為の成否

原告は、被告が本件特別支払条件が適用される期間の変更に原告が応じなかったことに対する制裁ないし報復として、原告がKindle Unlimitedの配信対象として申請したコンテンツの配信を一方的に拒絶し、もって、原告が機構に対し有していた債権の実現を害意をもって妨害し、損害を生じさせたと主張しました。

この点について、裁判所は、被告と機構との間で締結された配信契約において、機構が提供したコンテンツを配信等することについて被告にライセンスを付与した上でその権利行使については裁量を与えており、さらに、その権利行使が義務でないことや被告が提供する電子書籍配信サービスの運営について被告に完全な裁量権があることが明確に合意されていることなどから、原告の機構に対する債権の存在を否定。
結論として、被告による不法行為の成立を否定しています(10頁以下)。

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■コメント

電子書籍配信について、巨大なプラットフォーマーによる寡占状況のもと、取引条件が一方的に反故にされてしまう不合理性が争われましたが、裁判所はコンテンツホルダー側の主張を認めませんでした。