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2019年07月29日

夜景写真発信者情報開示事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

夜景写真発信者情報開示事件

東京地裁平成31.4.17平成31(ワ)2413発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官    三井大有
裁判官    今野智紀

*裁判所サイト公表 2019.ーー
*キーワード:発信者情報開示、写真、著作物性

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■事案

夜景写真が無断でネット掲載されたとして発信者情報開示請求がされた事案

原告:写真家
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 本件各画像の著作物性
2 原告の著作者性
3 権利侵害の明確性、開示の必要性

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■事案の概要

『本件は,原告が,被告に対し,氏名不詳者が,被告が運営するブログサービスにおけるウェブサイト上に原告が著作権を有する写真をアップロードし,原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害したことが明らかであるとして,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,上記著作権侵害行為に係る別紙1発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 本件各画像の著作物性

本件各画像は、いずれも眺望した夜景を撮影したもので、本件画像1は長時間露光によって街明かりを写し込み、絞り込むことで手前の街明かりから遠くの街明かりまでピントが合うようにするなどして撮影されたものでした。
本件画像2は、シャッターを8秒間開けて被写体のカップルが止まった状態できれいに写るようにタイミングを見計らってシャッターを切るなどして撮影されたものでした。
本件各画像は、絞りやシャッターチャンスの捕捉、構図やアングルなどを工夫して撮影されたものであるとして、写真の著作物であると裁判所は認定しています(2頁以下)。

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2 原告の著作者性

原告が運営する「夜景INFO」という名称のウェブサイトに掲載された本件各画像の右下には、「Copyright(c)Night View Photographer X」と記載された著作権表示がされ、原告の姓と名のイニシャルにおいて一致していること、また、原告が本件各写真のデータを所持していることから、原告が本件各画像を撮影した著作者であり、その著作権を有する者と裁判所は認定しています(3頁)。

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3 権利侵害の明確性、開示の必要性

本件発信者による本件各写真の画像データの入手先は、原告ウェブサイト以外に考え難いことから、本件発信者は原告ウェブサイトから本件各写真の画像ファイルを複製した上で本件ブログページに掲載(アップロード)して上記画像ファイルを送信可能化したものと裁判所は判断。
原告は、本件発信者に対して著作権(複製権、送信可能化権)侵害を理由とする損害賠償請求権を有するところ、原告が本件発信者に対してその権利を行使するためには本件発信者情報の開示が必要であるとして、裁判所は原告の主張を認容しています(3頁)。

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■コメント

原告の写真家はサイト「夜景INFO」を運営されている岩崎拓哉さんかと思われます。
レタッチもされていて、写真の著作物性については特段問題は生じないかと考えられます。
実際、旅行雑誌の編集者に聞くと、夜景のショットは難しく、手間暇掛かるということで、夜景専門のカメラマンに依頼することもあるそうです。

■追記(2019年7月29日)
夜景写真家岩崎拓哉さんから情報を頂きました。
別件で対NTTぷらら案件があるそうで、控訴はなく情報が開示され、発信者と交渉中とのことです。

東京地裁令和元年6月26日平成31年(ワ)1955発信者情報開示請求事件
東京地裁民事29部
written by ootsukahoumu at 06:07│知財判決速報2019