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2019年06月10日

徳島有線放送使用料事件−著作権 損害賠償請求事件(本訴)、使用料規程無効確認請求事件(反訴)判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

徳島有線放送使用料事件

東京地裁平成31.2.1平成28(ワ)28925等損害賠償請求事件(本訴)、使用料規程無効確認請求事件(反訴)PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官    遠山敦士
裁判官    今野智紀

*裁判所サイト公表 2019.ーー
*キーワード:有線放送、著作隣接権、使用料規程

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■事案

有線テレビジョン放送事業者に対して有線放送権使用料の支払いを求めた事案

本訴原告:テレビ番組著作権等管理事業者
本訴被告:有線テレビジョン放送事業者

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■結論

本訴一部認容、反訴却下

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■争点

条文 著作権法99条1項

1 請求及び請求原因の特定の十分性
2 本件信託契約の適法性又は有効性
3 本件有線放送権の使用許諾の有無
4 権利の濫用、信義則違反又は公序良俗違反等の有無
5 損害額
6 確認の利益の有無(反訴)

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■事案の概要

『本訴は,著作権等管理事業法に基づき登録を受けた著作権等管理事業者であり,放送法で定めるテレビジョン放送による地上基幹放送を行う放送事業者から信託により著作権及び著作隣接権の有線放送権等の管理委託を受けた原告が,有線テレビジョン放送事業を行っている被告に対し,被告は原告の許諾を受けることなく平成26年4月1日以降継続して上記放送事業者の地上テレビジョン放送を受信して有線放送し,原告の有線放送権(著作権法99条1項)を侵害したと主張して,有線放送権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求として,民法709条,著作権法114条3項により,3億5913万0024円(原告が文化庁長官に届け出た使用料規程に基づく使用料相当損害金3億2648万1840円及び弁護士費用3264万8184円の合計額)及びうち1億7812万6438円(平成26年4月1日から平成28年3月31日までの分)に対する平成28年9月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで,うち1億8100万3586円(平成28年4月1日から平成30年3月31日までの分)に対する平成30年4月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 反訴は,被告が,原告が平成25年9月4日に文化庁長官に届け出た使用料規程第3条(1)及び(2)がいずれも無効であることの確認を求める事案である。』

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■判決内容

<争点>

1 請求及び請求原因の特定の十分性

被告は、本訴請求及びその請求原因について具体的な著作物の特定、創作性の要件の主張、著作権の取得原因の特定がされておらず、特定が不十分であると主張しましたが、裁判所は認めていません(36頁以下)。

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2 本件信託契約の適法性又は有効性

被告は、本件信託契約は少なくとも著作隣接権としての有線放送権及び著作権のうち再放送の形態による有線放送権を対象とする部分については、放送法上の免許人の地位を離れて第三者に処分できない一身専属的な権利を信託処分の対象としているので無効であるなどと主張しましたが、裁判所は認めていません(37頁以下)。

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3 本件有線放送権の使用許諾の有無

被告は、放送法による再放送の同意には同時に著作隣接権等の使用許諾も含まれており、また、総務大臣の同意裁定には著作隣接権等の使用許諾を行うべきことも含まれていると主張しました。
この点について、裁判所は放送法上の再放送の同意又は同意裁定と著作隣接権等の制度は異なる制度であり、有線テレビジョン放送事業者は放送法上の再放送の同意とは別に著作隣接権等の使用許諾を得る必要があり、本件において被告が原告から著作隣接権等の使用許諾を得ているということはできないとして被告の主張を認めていません(38頁以下)。

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4 権利の濫用、信義則違反又は公序良俗違反等の有無

被告は、被告が放送事業者から再放送の同意又は同意裁定を得ている以上、当該放送事業者の受託者である原告には著作隣接権等の使用許諾を拒むことができないという制約が付されているにもかかわらず、原告が著作隣接権等の使用を拒むのは権利の濫用又は信義則違反であるなどと主張しましたが、裁判所は認めていません(40頁以下)。
また、被告は、本件使用料規程及び本件基本合意が憲法14条に違反し公序良俗に反すると主張しましたが、この点についても裁判所は認めていません。

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5 損害額

(1)本件使用料規程に基づく利用料(114条3項)

1億6324万0920円

(2)弁護士費用相当額損害

1632万4092円(49頁以下)

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6 確認の利益の有無(反訴)

被告は、著作隣接権等の使用許諾のような継続的契約においては個々の請求について債務不存在確認を求めることは迂遠であり、より抜本的な紛争解決のためには本件使用料規程自体の無効確認を求めることが必要かつ適切であり、これにより将来の請求に関する被告の地位の不安・危険を除去することができると主張しましたが、裁判所は、被告の反訴請求は確認の利益を欠くと判断しています(54頁以下)。

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■コメント

徳島県板野郡北島町、松茂町、上板町において有線テレビジョン放送事業を運営している事業者との利用許諾契約がまとまらなかった事案です。
written by ootsukahoumu at 08:34│知財判決速報2019