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2019年02月18日

コンタクトレンズ販売チラシ事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

コンタクトレンズ販売チラシ事件

大阪地裁平成31.1.24平成29(ワ)6322損害賠償請求事件PDF
別紙1
別紙2

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 高松宏之
裁判官    野上誠一
裁判官    大門宏一郎

*裁判所サイト公表 2019.2.14
*キーワード:チラシ、著作物性、競業避止義務違反

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■事案

コンタクトレンズ販売用のチラシの著作物性などが争点となった事案

原告:コンタクトレンズ販売会社
被告:コンタクトレンズ販売会社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号

1 本件チラシの著作物性
2 従業員の引抜きによる不法行為の成否
3 被告の競業避止義務違反性

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■事案の概要

『本件は,原告が,被告に対し,(1)著作権(複製権及び翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)侵害の不法行為及び違法な従業員の引抜きに係る不法行為に基づく各損害の賠償並びにこれらに対する不法行為の後である平成29年8月18日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,(2)競業避止義務違反の債務不履行若しくは不法行為又は違法な競業行為に係る不法行為に基づく損害の一部550万円の賠償及びこれに対する請求(訴状送達)の日の翌日である平成29年8月18日から支払済みまで商事法定利率である年6分(不法行為に基づく損害賠償請求については,不法行為の後である同日から支払済みまで民法所定の年5分)の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。
 なお,原告は当初,本件を別件訴訟(当庁平成28年(ワ)第10854号営業行為差止等請求事件)における反訴として提起したが,その後,当該反訴を別訴として取り扱うことを希望したため,これを独立の訴えとして取り扱うこととした。そして,その後,本件の口頭弁論から顧客情報等の不正取得に関する損害賠償請求についての口頭弁論を分離した。』
(1頁以下)

<経緯>

H25.10 P1が被告取締役就任
H26.02 被告が原告に販売店運営を委託
H27.01 P1が原告代取就任
H28.01 P1が被告取締役解任
H28.04 原被告間の契約解除

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■判決内容

<争点>

1 本件チラシの著作物性

1.本件チラシ中の表現3点の創作性について

コンタクトレンズ販売用チラシの著作物性について、原告は、

(1)「検査時間 受信代金」といった宣伝文句(キャッチフレーズ)部分
(2)「コンタクトレンズの買い方比較」という表
(3)「なぜ検査なしで購入できるの?」箇所の説明文言

の3点について、創作性があるとして、本件チラシに著作物性があると主張しました(17頁以下)。
この点について、裁判所は、ありふれた表現方法であったり、表現方法に工夫が見られないなどとして、いずれについての創作性を否定。
結論として、本件チラシに著作物性を認めていません。

2.各表現の組み合わせによる著作物性について

原告は、上記(1)ないし(3)等の組み合わせ自体に著作物性があると主張しました(20頁以下)。
しかし、裁判所は、結論として、これらの組み合わせについて著作物性を否定。原告の主張を認めていません。

以上から、裁判所は、被告の行為に著作権、著作者人格権侵害は成立せず、原告の不法行為に基づく損害賠償請求には理由がないと判断しています。

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2 従業員の引抜きによる不法行為の成否

従業員の引抜きによる不法行為の成否について、被告が自ら又は第三者を通じて社会通念上自由競争の範囲を逸脱した勧誘行為をしたとは認められず、被告が不法行為責任を負うとはいえないと裁判所は判断しています(21頁以下)。

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3 被告の競業避止義務違反性

被告が競業避止義務を負っていたとは認定されず、また、被告の関係者による勧誘行為の違法性も認定されないことから、裁判所は、原告の主張を認めていません(29頁以下)。

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■コメント

コンタクトレンズ販売用チラシの著作物性が争点となりましたが、ほぼデッドコピーのチラシではあるものの、内容的にはキャッチコピー、図表、画像、クーポンなど、よくあるパーツから構成されているチラシとなります(別紙1参照)。
原被告とも取引関係者でしたが、似たような店舗名で同じビルの同じ階にあって、似たようなチラシの利用ですから、不正競争防止法の観点も問題になりますが、この点は別訴の営業行為差止等請求事件(大阪地裁平成28年(ワ)第10854号)で扱っているのかもしれません。
written by ootsukahoumu at 06:41│知財判決速報2019