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2019年01月28日

システムマニュアル事件−著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

システムマニュアル事件

東京地裁平成30.12.26平成30(ワ)6943損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 山田真紀
裁判官    伊藤清隆
裁判官    棚橋知子

*裁判所サイト公表 2019.1.22
*キーワード:マニュアル、著作物性

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■事案

システムのマニュアルの著作物性が争点となった事案

原告:個人
被告:システム開発会社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号

1 本件マニュアルの著作物性の有無

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■事案の概要

『本件は,別紙物件目録記載1のマニュアル(以下「本件マニュアル」という。)を作成した原告が,本件マニュアルは著作物であり,自ら著作権を有するとし,被告において,本件マニュアルをシンハラ語及び英語に翻訳し,本件マニュアルの内容を削除し,変形し,又は追加し,著作者としての原告の氏名を誤って表示した別紙物件目録記載2のマニュアル(以下「被告マニュアル」という。)を作成したことは,本件マニュアルについての原告の翻案権,同一性保持権及び氏名表示権を侵害する旨を主張して,(1)著作権法112条1項に基づき,被告マニュアルの複製の差止めを求めるとともに,(2)民法709条の著作権及び著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づく損害賠償金2660万円のうち2500万円の支払を求める事案である(なお,原告は,損害の内訳として後記のとおり主張するところ,その合計額は2660万円であり,一部請求として2660万円のうち2500万円を請求するものと解される。)。』
(1頁以下)

<経緯>

H26.01 被告が手書き文章データ入力システム「ピースエントリーシステム」(本件システム)開発
    原告が本件システムの操作方法に関するマニュアルを作成

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■判決内容

<争点>

1 本件マニュアルの著作物性の有無

本件マニュアルは、以下のような体裁のものでした。

・本件システムの機能や操作方法を説明することを目的とするもの
・総頁数は158頁
・各頁は本件システムの操作の際に表示される画面を取り込んだ画像がその大部分を占めている
・同画像に添えられている本件コメントは1行ないし5行程度
・本件コメントは、本件マニュアルの前記作成目的に従い、本件システムの操作の際に表示される画面の内容を説明し、同画面に関連する本件システムの機能を説明し又は同画面に関連する本件システムの操作について説明するもの

裁判所は、本件マニュアルの著作物性(著作権法2条1項1号)について、本件マニュアルは、本件システムの機能や操作といった客観的事実を説明することを目的として作成されたものであり、その性質により機能や操作方法を分かりやすく一般的に用いられるありふれた表現で示すことが求められることから表現の選択の幅は狭いと説示。
本件コメントでは、当該説明において他の表現を用いることは想定し難いことなどから、本件コメントに原告の個性が表現されているとはいえないと判断。本件マニュアルの著作物性を否定しています(6頁)。

結論として、原告の主張を認めていません。

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■コメント

本件システムは、紙のアナログ情報にある個人情報などのセキュリティに配慮しながらデジタルへの入力手作業を効率的に行うシステムのようです。

written by ootsukahoumu at 07:10│知財判決速報2018