最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「リアリ・スティック」ファイル交換共有ソフトShare不正配信事件

東京地裁平成30.5.24平成30(ワ)6456発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 安岡美香子
裁判官 佐藤雅浩

*裁判所サイト公表 2018.06.11
*キーワード:プロバイダ責任制限法、レコード原盤、送信可能化権

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■事案

TVアニメ「クロムクロ」EDテーマ「リアリ・スティック」/MICHI.rar」音楽ファイルを不正配信した発信者情報開示請求の事案

原告:レコード会社
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 プロバイダ責任制限法4条1項、著作権法23条

1 送信可能化権の侵害の有無
2 開示を受けるべき正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,レコード制作会社である原告が,原告が送信可能化権を有するレコードに収録された楽曲を氏名不詳者が無断で複製した上でコンピュータ内の記録媒体に記録して蔵置し,被告の提供するインターネット接続サービスを経由して自動的に送信し得る状態にしたことから,上記送信可能化権が侵害されたことは明らかである等と主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,発信者情報の開示を求める事案である。』
(2頁)

<経緯>

H28.05 原告がMICHI歌唱楽曲「リアリ・スティック」制作販売
H29.08 本件利用者がファイル交換共有ソフトShareで不正送信

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■判決内容

<争点>

1 送信可能化権の侵害の有無

本件利用者が、原告の本件レコードに係る送信可能化権を侵害したことは明らかであり、本件記録を精査しても同送信可能化行為について著作隣接権の権利制限事由が存在することはうかがわれず、その他上記判断を覆すに足りる事情は見当たらないと裁判所は判断。
送信可能化権の侵害を肯定しています(4頁)。

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2 開示を受けるべき正当な理由の有無

本件利用者の氏名、住所等がいずれも不明であることから、原告が上記侵害に基づく損害賠償請求権等を行使するために本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるものと裁判所は判断(4頁以下)。

結論として、原告の請求を認容しています。

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■コメント

ファイル交換共有ソフトであるShare互換ソフトウェアを利用して、TVアニメ「クロムクロ」EDテーマ「リアリ・スティック」/MICHI.rar」音楽ファイルを不正配信した発信者の情報開示請求の事案です。