最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

アダルト動画無断投稿事件

東京地裁平成30.2.23平成29(ワ)39441発信者情報開示請求事件PDF
別紙1

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官    広瀬瀬孝
裁判官    遠山敦士

*裁判所サイト公表 2018.3.3
*キーワード:公衆送信権、プロバイダ責任制限法

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■事案

アダルト動画の無断投稿について発信者情報開示請求がされた事案

原告:アダルトビデオ制作会社
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 権利侵害の明白性
2 開示を受けるべき正当理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が,インターネット接続サービスを提供する被告に対し,氏名不詳者が同サービスを利用してインターネット上の動画共有サイトにアップロードした動画のデータは原告が著作権を有する映像作品を複製して作成したものであるから,同氏名不詳者の行為により原告の公衆送信権(著作権法23条1項)が侵害されたことは明らかであると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 権利侵害の明白性

氏名不詳者が別紙動画目録1ないし3記載の日時において被告から同目録1ないし3記載のインターネットプロトコルアドレスの割当てを受けてインターネットに接続した上で、インターネット上の動画投稿サイトに動画をアップロードし、不特定多数の者が再生できる状態にしました。
裁判所は、結論として、氏名不詳者の上記行為によって原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことは明らかであると判断しています(3頁以下)。

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2 開示を受けるべき正当理由の有無

原告は、本件各発信者に対して著作権(公衆送信権)侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権等を有するが、その行使のためには本件各発信者の住所、氏名等の開示が必要であるとした上で、原告には被告から上記開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断しています(5頁以下)。

結論として、原告の発信者情報開示請求を認容しています。

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■コメント

平成30年に入ってから3件目のアダルト動画系発信者情報開示請求事案。アダルトビデオ制作会社による海賊版対策が続いています。