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2018年01月22日

ゴーストライター問題イベントキャンセル事件(控訴審)−著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ゴーストライター問題イベントキャンセル事件(控訴審)

大阪高裁平成29.12.28平成29(ネ)233等損害賠償 著作権使用料請求控訴事件,同附帯控訴事件PDF

大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官    高橋文
裁判官    中尾 彰

*裁判所サイト公表 2018.1.15
*キーワード:ゴーストライター、告知義務違反、不当利得、損害論

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■事案

全ろう聴覚障害であることやゴーストライターによる作曲など虚偽事情によってイベント公演が中止された際の損害などが争われた事案の控訴審

控訴人兼附帯被控訴人(一審本訴被告兼反訴原告):音楽家
被控訴人兼附帯控訴人(一審本訴原告兼反訴被告):イベントプロモーター

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■結論

原判決本訴請求一部変更、附帯控訴棄却

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■争点

条文 著作権法121条、民法709条、704条

1 控訴人による不法行為の成否
2 被控訴人の損害額
3 控訴人には本件楽曲に係る損失があるか
4 被控訴人の利得額

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■事案の概要

『本訴請求事件は,被控訴人が,控訴人が全ろうであるにもかかわらず絶対音感を頼りに作曲したとして発表した楽曲につき,控訴人の説明が真実であると誤信して,控訴人から本件楽曲を演奏する全国公演の実施の許可を受けたところ,控訴人がその説明が虚偽であることを隠して多数回の公演の実施を強く申し入れたことから,被控訴人は,多数の全国公演を企画して各種の手配をしたが,控訴人の前記説明等が虚偽であることが公となって,上記公演を実施できなくなったことにより多額の損害を被ったと主張し,不法行為に基づく損害賠償請求として,6131万0956円及びこれに対する不法行為の日の後である平成26年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
 反訴請求事件は,被控訴人が,企画,実施した全国公演において控訴人が著作権を有する本件楽曲を利用したのであるから,その利用の対価を控訴人に支払う義務があることを知りながらこれを支払わず,被控訴人はその使用料相当額の利益を受け,そのために著作権者である控訴人が同額の損失を受けたとして,控訴人が,被控訴人に対し,民法704条に基づく不当利得返還請求として,使用料相当額730万8955円の返還及びこれに対する平成26年2月3日(最終公演日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
 原審が,本訴請求及び反訴請求のいずれについてもその一部のみを認めたため,控訴人が控訴し,被控訴人が附帯控訴した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 控訴人による不法行為の成否

原審同様、控訴審でも控訴人の行為は不法行為を構成すると判断されています(12頁以下)。

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2 被控訴人の損害額

・本件公演中止自体による逸失利益 3003万4702円
・本件交響曲公演のプログラムの販売不能による逸失利益 143万2800円
・返金したチケット返送料などの経費 原審通り
  小計3858万5351円
・弁護士費用相当額損害 380万円
  合計4238万5351円(16頁以下)

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3 控訴人には本件楽曲に係る損失があるか

原審同様、控訴審でも控訴人には本件楽曲に係る損失があり、被控訴人は法律上の原因なく本件楽曲の利用利益を利得したと判断されています(27頁以下)。

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4 被控訴人の利得額

原審同様、控訴審でも被控訴人は控訴人に対して不当利得に基づいて410万6459円の支払い義務があると認定されています(28頁以下)。

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■コメント

興業イベントで中止された14公演の損害額の認定について、逸失利益の計算に関して売上予定額や経費の認定が減額方向で修正されており、全体として損害額が減額の認定となっています。

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■過去のブログ記事

2017年01月26日
原審記事

written by ootsukahoumu at 07:02│知財判決速報2017