最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「ツェッペリン飛行船と黙想」独立当事者参加事件

知財高裁平成29.9.5平成29(ネ)10067独立当事者参加事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 高部眞規子
裁判官    山門 優
裁判官    片瀬 亮

*裁判所サイト公表 2017.9.11
*キーワード:再審、訴訟係属、独立当事者参加

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■事案

参加人の独立当事者参加申出の適法性が争点となった事案

参加人 :個人
控訴人 (1審原告):私小説作家の遺族
被控訴人(1審被告):出版社

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■結論

申出却下

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■争点

条文 民訴法348条1項

1 参加人の本件独立当事者参加申出の適法性について

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■事案の概要

『参加の趣旨及び理由は,参加人作成に係る別紙「独立当事者参加申出書」,「再審訴状」,「再審訴状訂正申立書」及び「再審訴状再訂正申立書」のとおりであり,要するに,本件は,控訴人及び被控訴人間の当庁平成27年(ネ)第10022号損害賠償等請求控訴事件(以下「基本事件」という。)について,当庁が平成28年1月27日に言い渡した確定判決(以下「本件判決」という。)に対し,参加人が,再審の訴えを提起するとともに,再審開始の決定が確定した場合の訴訟に独立当事者参加をする旨申し出た事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H22.11 東京地裁平成25(ワ)22541請求棄却
H28.01 控訴棄却(基本事件 本件判決)
H28.06 上告不受理、本件判決確定
H29.05 参加人が本件再審の訴え提起
    基本事件について独立当事者参加申出
H29.07 本件再審の訴え却下

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■判決内容

<争点>

1 参加人の本件独立当事者参加申出の適法性について

『独立当事者参加の申出は,参加人が参加を申し出た訴訟が係属していることが必要であると解すべきである。また,再審開始の決定が確定すれば本案の再審理が行われることからすれば(民訴法348条1項),再審の訴えを提起するとともに独立当事者参加の申出がされた場合には,参加を申し出た訴訟について潜在的な訴訟係属があると解することができるが,かかる申出後に,再審の訴えを却下する決定,再審請求を棄却する決定等が確定した場合には,もはや上記訴訟について潜在的な訴訟係属があるということはできなくなり,同申出は不適法なものとなる。
 本件独立当事者参加の申出は,参加人が,本件再審の訴えを提起するとともに,再審開始の決定が確定した場合の訴訟に独立当事者参加をする旨申し出た事案であるところ,前記1(5)のとおり,本件再審訴状を却下する命令が発せられ,同命令が確定したことにより,もはや上記訴訟について潜在的な訴訟係属があるということはできなくなったものである。
 したがって,参加人の本件独立当事者参加の申出は不適法である。』
(3頁以下)

裁判所は、参加人の本件独立当事者参加の申出を不適法であるとして却下しています。

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■コメント

基本事件は、故人の作品125編などを収録した書籍の編集著作者性などが争点となった事案ですが、参加人の属性が不明で、また民訴法の争点のみの判断となります。

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■過去のブログ記事

「ツェッペリン飛行船と黙想」事件(控訴審)
2016年02月12日記事