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2016年10月13日

Twitterアイコン画像事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

Twitterアイコン画像事件

東京地裁平成28.9.15平成27(ワ)17928発信者情報開示請求事件PDF
別紙1

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官    萩原孝基
裁判官    藤原典子

*裁判所サイト公表 2016.10.11
*キーワード:写真、発信者情報開示、複製、公衆送信

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■事案

Twitterのアイコン画像に無断で写真が使用されたとして発信者情報開示請求がされた事案

原告:写真家
被告:Twitter日本法人、米国法人

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 被告ツイッタージャパンの発信者情報保有の有無
2 本件リツイート行為による著作権等の侵害の明白性
3 最新のログイン時IPアドレス等の発信者情報該当性
4 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が,インターネット上の短文投稿サイト「ツイッター」において,原告の著作物である別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)が,(1)氏名不詳者により無断でアカウントのプロフィール画像として用いられ,その後当該アカウントのタイムライン及びツイート(投稿)にも表示されたこと,(2)氏名不詳者により無断で画像付きツイートの一部として用いられ,当該氏名不詳者のアカウントのタイムラインにも表示されたこと,(3)氏名不詳者らにより無断で上記(2)のツイートのリツイート(その意味は後述する。)がされ,当該氏名不詳者らのアカウントのタイムラインに表示されたことにより,原告の著作権(複製権,公衆送信権等)及び著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権等)が侵害されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,上記(1)〜(3)のそれぞれについて,主位的に,各氏名不詳者が当該アカウントにログインした際の発信者情報であってそのうちIPアドレス等については本判決確定の日の正午時点で最も新しいもの(別紙発信者情報目録(第1)),予備的に,上記各ツイート等がされた際の発信者情報(同目録(第2))の開示を求めた事案である。』(2頁)

<経緯>

H21.06 原告がウェブサイトに本件写真を掲載
     氏名不詳者らがツイッターにプロフィール画像等に使用

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■判決内容

<争点>

1 被告ツイッタージャパンの発信者情報保有の有無

原告は、被告米国ツイッター社に加え、被告ツイッタージャパンに対しても発信者情報の開示を求めました(13頁以下)。
これに対して被告ツイッタージャパンは、ツイッターの管理・運営に全く関与しておらずプロバイダ責任制限法4条1項にいう開示関係役務提供者に当たらないし、原告が開示を求める情報を保有していないと反論しました。
裁判所は、ツイッタージャパンはツイッターを運営する者ではなく、ツイッターの利用についてユーザーと契約を締結する当事者でもないとして、本件の関係各証拠上、同被告がユーザーの特定に関する情報を保有していることや、発信者情報を開示する権限を有していることはうかがわれないと判断。結論として、原告の被告ツイッタージャパンに対する請求はいずれも理由がないとしています。

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2 本件リツイート行為による著作権等の侵害の明白性

本件写真の画像がリツイートした本件アカウント3〜5のタイムラインに表示されるのは、本件リツイート行為により同タイムラインのURLにリンク先である流通情報(ツイッターのツイート画像ファイル保存URLに本件写真の画像ファイルに自動的に保存・表示されている)のURLへのインラインリンクが自動的に設定され、同URLからユーザーのパソコン等の端末に直接画像ファイルのデータが送信されるためであり、流通情報の各URLに流通情報のデータは一切送信されず同URLからユーザーの端末への同データの送信も行われないと裁判所は評価。
本件リツイート行為は、それ自体として上記データを送信し、又はこれを送信可能化するものでなく、公衆送信(著作権法2条1項7号の2、9号の4及び9号の5、23条1項)に当たることはないと判断しています。
結論として、本件リツイート行為による著作権等の侵害の明白性(プロバイダ責任制限法4条1項1号)を否定しています(14頁以下)。

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3 最新のログイン時IPアドレス等の発信者情報該当性

本件アカウント1における本件プロフィール画像設定行為及び本件アカウント2における本件ツイート行為2は、いずれも原告の公衆送信権の侵害に当たると裁判所は判断しています(16頁以下)。

■別紙 発信者情報目録(第1)

1 氏名又は名称
2 住所
3 電子メールアドレス
4 使用アカウントにログインした際のIPアドレスのうち、本判決確定の日の正午時点(日本標準時)で最も新しいもの
5 使用アカウントにログインした際の携帯電話端末又はPHS端末からのインターネット接続サービス利用者識別符号のうち、本判決確定の日の正午時点(日本標準時)で最も新しいもの
6 使用アカウントにログインした際のSIMカード識別番号のうち、本判決確定の日の正午時点(日本標準時)で最も新しいもの
7 上記第4項のIPアドレスを割り当てられた電気通信設備

原告は、本件アカウント1及び2について、主位的に別紙発信者情報目録(第1)の、予備的に同(第2)の各記載1〜7の情報の開示を求めましたが、このうち上記各目録記載1、2、5、6の情報については、被告米国ツイッター社が保有しているとは認められないことから、これら情報の開示を求める原告の主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないと裁判所は判断しています。
各目録記載3の電子メールアドレスについては、同被告が保有を認めているところであるとして、原告の同被告に対する主位的請求は理由があると判断。
もっとも、原告が開示を求める最新のログイン時IPアドレス等は、本件において侵害情報が発信された上記各行為と無関係であることが明らかであり、プロバイダ責任制限法省令4号及び7号のいずれにも当たらないというべきであるとして、目録(第1)記載4及び7についての原告の被告米国ツイッター社に対する主位的請求は理由がないと判断しています。

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4 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

原告は、本件アカウント1及び2に本件写真を表示させた者に対し著作権侵害を理由に損害賠償請求権等を行使することができるものの、上記の者の特定に資する情報を知る手段が他にあることはうかがわれないとして、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由(プロバイダ責任制限法4条1項2号)があると裁判所は判断しています(19頁)。

結論として、原告の請求は本件アカウント1及び2に対応する電子メールアドレスの開示を求める限度で理由があると判断されています。

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■コメント

SNSのツイッターに無断で写真家の写真をアイコンやツイートに使用したり、リツイートに使用された事案です。
リツイート行為の公衆送信権侵害性に関する裁判所の判断が参考になります。
written by ootsukahoumu at 06:34│TrackBack(0)知財判決速報2016 

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