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2016年06月24日

「中日英ビジネス用語辞典」出版契約事件−著作権 印税等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「中日英ビジネス用語辞典」出版契約事件

東京地裁平成28.3.29平成27(ワ)24749印税等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官    矢口俊哉
裁判官    広瀬達人

*裁判所サイト公表 2016.6.15
*キーワード:出版契約、印税支払時期

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■事案

ビジネス辞典の編著者が印税未払いを理由として出版社を訴えた事案

原告:個人
被告:出版社

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■結論

請求却下、棄却

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■争点

条文 民法415条、民法709条

1 職権による検討
2 印税支払請求権の有無
3 不法行為の成否及び損害額

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■事案の概要

『本件は,被告から出版された「中日英ビジネス用語辞典 会計・金融・法律」(以下「本件書籍」という。)の編著者である原告が,被告との間で締結した本件書籍の出版契約(以下「本件契約」という。)に基づく印税が未払であるなどと主張して,被告に対し,(1)本件契約に基づく印税140万円及びこれに対する支払日である平成26年5月15日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払(上記第1の1。以下「本件請求1」という。),(2)被告による印税の過少申告という不法行為に基づく損害賠償金1080万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成27年9月26日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(上記第1の2。以下「本件請求2」という。)をそれぞれ求めるとともに,(3)本件契約17条に係る文言についての原告の解釈が正しいことを認めるよう求め(第1の3。以下「本件請求3」という。),また,(4)本件契約18条に規定する発行部数を証する全ての証拠書類について,本件契約が定める保存期間の満了日からさらに2年間延長することを求める(第1の4。以下「本件請求4」という。)事案である。』
(2頁)

<経緯>

H18.07 原被告間で本件書籍出版契約(本件契約)締結
H26.04 被告が本件書籍を出版

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■判決内容

<争点>

1 職権による検討

本件契約17条に係る文言についての原告の解釈が正しいことを認めるよう求める点(本件請求3)と、本件契約18条に規定する発行部数を証する全ての証拠書類について、本件契約が定める保存期間の満了日からさらに2年間延長することを求める点(本件請求4)については、裁判所は、本件請求3については、何ら具体的紛争の解決に資するものではなく確認ないし給付請求の対象として不適格であり、また、本件請求4については、請求の特定を欠くとして各争点について不適法却下としています(9頁以下)。

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2 印税支払請求権の有無

原告は、被告が本件書籍の初刷1000部を既に完売し、本件書籍の増刷を既に複数回行っているとして、少なくとも本件書籍のうち初刷1000部完売の売上に相当する印税額140万円(7000円×1000部×20%)の支払いを主張しました(10頁以下)。
この点について、裁判所は、被告において本件書籍を増刷したことを裏付ける証拠は見当たらないと認定。
また、本件契約17条2項2.1後段により、被告の原告に対する印税の支払時期は、平成28年5月16日(本件書籍の奥付に記載された発行日である平成26年4月5日から2年を経過した月の翌月15日(平成28年5月15日)が日曜日であるので、その翌日)となるとして、原告の主張する印税支払請求権(履行期到来済みのもの)の存在は認められないと判断。
原告の印税支払請求は認められていません。

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3 不法行為の成否及び損害額

原告は、被告が原告に印税を過少申告したことが原告に対する不法行為に当たると主張しましたが、裁判所は、被告が原告に支払われるべき印税額を実際よりも低く伝えたとか、本件書籍の印刷部数ないし実売部数を実際よりも低く伝えたことを認めるに足りる証拠がないなどとして、原告の主張を認めていません(15頁)。

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■コメント

2014年4月5日刊行の「中日英ビジネス用語辞典 会計・金融・法律」について、編著者が出版社に対して、印税未払いなどを争点に提訴した事案となります(本人訴訟)。
本書は、「現代のグローバルビジネスの現場で使われているビジネス用語を、中・日・英の3カ国語の対訳形式で収録」したもので、編著者は上海出身で、日本のメーカーに勤務するなどして国際ビジネスの実務に携わったかたです。


written by ootsukahoumu at 05:40│TrackBack(0)知財判決速報2016 

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