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2016年06月22日

催眠術DVD事件(控訴審)−著作権 損害賠償等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

催眠術DVD事件(控訴審)

知財高裁平成28.6.9平成28(ネ)10021損害賠償等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官    大西勝滋
裁判官    杉浦正樹

*裁判所サイト公表 2016.6.15
*キーワード:損害論、みなし侵害行為

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■事案

催眠術DVDを無断複製してヤフオクで販売してた個人に対する損害額が争点となった事案の控訴審

控訴人 (一審原告):グラフィックデザイン会社、会社代表者
被控訴人(一審被告):個人

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法113条6項、民法709条

1 控訴人会社の損害の発生及びその額
2 被控訴人の行為が控訴人Xの著作者人格権のみなし侵害行為に当たるか
3 控訴人Xの著作者人格権侵害による慰謝料額
4 謝罪広告の要否
5 控訴人Xの当審における追加請求の可否

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■事案の概要

『本件は,控訴人Xが創作し,控訴人会社が著作権を有する著作物(DVD)を被控訴人が無断で複製・販売したことが,控訴人会社の著作権(複製権,頒布権)を侵害するとともに,控訴人Xの名誉・声望を害する方法により上記著作物を利用したことを理由にその著作者人格権を侵害する行為とみなされるとして,控訴人らが被控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償金(控訴人会社につき上記著作権侵害による財産的損害103万0448円,控訴人Xにつき上記著作者人格権侵害による慰謝料60万円)及びこれに対する不法行為の後である平成27年4月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,また,控訴人Xが,被控訴人に対し,著作権法115条に基づき,その名誉・声望を回復するための適当な措置として,謝罪広告の掲載を求めた事案である。』

『原判決は,控訴人会社の損害賠償請求については,被控訴人が控訴人会社の著作権(複製権,頒布権)を侵害する行為を行ったことを前提に,3万0448円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余の請求を棄却した。また,控訴人Xの損害賠償請求及び謝罪広告請求については,被控訴人の行為は控訴人Xの著作者人格権のみなし侵害行為には当たらないとして,いずれも棄却した。
 そこで控訴人らは,原判決中の各敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。そして,控訴人Xは,当審において,被控訴人が控訴人会社の著作権(複製権,頒布権)を侵害したことによって控訴人会社の代表者である控訴人Xが精神的苦痛を受けたとして,被控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償金(60万円の慰謝料)及びこれに対する不法行為の後である平成27年4月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求を,前記著作者人格権侵害による慰謝料請求と選択的なものとして追加した。』(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 控訴人会社の損害の発生及びその額
2 被控訴人の行為が控訴人Xの著作者人格権のみなし侵害行為に当たるか
3 控訴人Xの著作者人格権侵害による慰謝料額
4 謝罪広告の要否

争点1乃至4について、原審同様、控訴審でも控訴人会社の損害賠償請求3万0448円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求める限度で認められており、また、控訴人Xの著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求及び謝罪広告請求はいずれも理由がないと判断されています(5頁以下)。

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5 控訴人Xの当審における追加請求の可否

控訴人Xは、控訴審において、被控訴人が控訴人会社の原告著作物に係る著作権(複製権、頒布権)を侵害する不法行為を行ったことによって、控訴人会社の代表者としての控訴人Xが精神的苦痛を受けたとして、控訴人Xの被控訴人に対する慰謝料請求の根拠となる旨主張しました(6頁以下)。
この点について、裁判所は、

『控訴人Xの被控訴人に対する慰謝料請求が認められるためには,被控訴人の行為が控訴人Xとの関係で不法行為を構成することが必要であり,そのためには,被控訴人の行為が控訴人Xの権利又は法律上保護される利益を侵害するものであることが必要となる(民法709条)。しかるところ,被控訴人が原告著作物を複製・頒布した行為は,原告著作物の著作権者である控訴人会社との関係では,その権利(著作権)を侵害する不法行為を構成することが明らかであるものの,原告著作物の著作権者ではない控訴人Xとの関係では,同人のいかなる権利又は法律上保護される利益を侵害することになるのかが不明というべきである。控訴人Xは,自らが控訴人会社の代表者であり,控訴人会社の著作権侵害によって精神的苦痛を受けたことをその主張の根拠とするが,会社の代表者たる個人が,当該会社に帰属する著作権に関して当然に何らかの権利や法律上保護される利益を有するものではないから,控訴人Xが控訴人会社の代表者であることのみをもって,控訴人会社の著作権を侵害する行為が控訴人X個人の権利又は法律上保護される利益をも侵害することが根拠付けられるものではなく,そのほかにこれを根拠付け得る事情も認められない。』

として、控訴人会社の原告著作物に係る著作権(複製権、頒布権)侵害を理由とする控訴人Xの慰謝料請求には理由がないと判断しています。

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■コメント

控訴審でも原審と同様の判断となっています。

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■過去のブログ記事

2016年02月18日記事
東京地裁平成28.1.22平成27(ワ)9469損害賠償請求事件
催眠術DVD事件
written by ootsukahoumu at 08:37│TrackBack(0)知財判決速報2016 

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