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2016年05月18日

日航機墜落事故写真発信者情報開示事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

日航機墜落事故写真発信者情報開示事件

東京地裁平成28.4.27平成28(ワ)2419発信者情報開示請求事件PDF
別紙1

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    笹本哲朗
裁判官    天野研司

*裁判所サイト公表 2016.5.11
*キーワード:発信者情報開示請求、著作者性、職務著作

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■事案

日航機墜落事故写真が無断で「NAVERまとめ」に掲載されたとして投稿者の情報を開示請求した事案

原告:報道カメラマン
被告:電気通信事業会社

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■結論

請求認容

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■争点

条文 プロバイダ責任制限法4条、著作権法14条、15条、19条、21条、23条

1 本件記事により原告の著作権又は著作者人格権が侵害されたことが明らかであるか
2 本件発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であるか

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■事案の概要

『本件は,別紙原告写真目録記載1及び2の各写真(以下,符号に対応して「本件写真1」,「本件写真2」といい,併せて「本件各写真」という。)の著作者であり,本件各写真の著作権を有すると主張する原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト「NAVERまとめ」(以下「本件サイト」という。)に投稿した記事(以下「本件記事」という。)中に掲載されている別紙投稿写真目録記載1及び2の各写真(以下,符号に対応して「本件投稿写真1」,「本件投稿写真2」といい,併せて「本件各投稿写真」という。)は,それぞれ本件写真1及び同2を複製したものであるから,本件投稿者が本件記事を本件サイトに投稿した行為により原告の有する著作権及び著作者人格権が侵害されたことは明らかであり,本件投稿者に対する損害賠償請求権の行使のために本件記事に係る別紙発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受ける必要があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下,単に「法」という。)4条1項に基づき,経由プロバイダである被告に対し,本件発信者情報の開示を求める事案である。』(1頁以下)

<経緯>

H25.08 本件投稿者が本件記事を本件サイトに投稿
       LINE社に仮処分命令申立(東京地裁平成27年(ヨ)第22087号)
H27.10 本件記事から本件各投稿写真が削除

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■判決内容

<争点>

1 本件記事により原告の著作権又は著作者人格権が侵害されたことが明らかであるか

1.本件各写真の著作権者について

(1)著作者性

本件各写真は、いずれも株式会社新潮社が発行する「FOCUS」(本件雑誌)に掲載されたもので、本件雑誌には本件写真1の右下脇に「PHOTO A」と、本件写真2の左下脇に「PHOTO B」と、それぞれ記載されていました。
本件写真1について、裁判所は、本件雑誌の刊行により公衆へ提供されたものと認められるが、本件雑誌において本件写真1の右下脇に「PHOTO A」と原告の氏名が表示されていることから、本件写真1の著作者(撮影者)は原告と推定され(著作権法14条)、同推定を覆すに足りる証拠はないと判断しています(4頁以下)。
また、本件写真2について、本件雑誌において本件写真2の左下脇に「PHOTO B」と記載されており本件写真2の著作者はBと推定される(著作権法14条)ものの、Bは、本件写真2を撮影したのは原告であること、原告が本件写真2のネガを保有していることを認める旨の確認書を作成しており、また、原告は、本件写真2のネガを用いて本件写真目録を作成していることが認められるとして、本件写真2の著作者(撮影者)も原告であると認めるのが相当であると裁判所は判断しています。

(2)職務著作性

原告は本件各写真を撮影した当時、フリーカメラマンの立場にあったものと認められるとして、本件各写真について職務著作(15条1項)が成立するものとは認められないと裁判所は判断しています(5頁)。

2.本件投稿写真が本件各写真の複製物であるか

本件各投稿写真は、いずれも本件雑誌に掲載された本件各写真に依拠して有形的に再製されたものであり、本件各写真の複製物であると認められると裁判所は判断しています(5頁以下)。

3.本件記事による著作権及び著作者人格権の侵害について

本件記事に掲載された本件各投稿写真は、いずれも本件各写真の複製物と認められるが、本件記事は原告の氏名を表示しておらず、また、本件記事はインターネット上のウェブサイトである本件サイトに投稿されることによって本件各投稿写真は自動公衆送信し得るようになっていたものと認められると裁判所は認定。
結論として、本件投稿者が本件記事を本件サイトに投稿したことによって原告の有する著作権(複製権、公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)が侵害されたことは明らかであると判断しています(6頁)。

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2 本件発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であるか

争点1の侵害を原因として、本件投稿者に対して不法行為による損害賠償請求権を行使するために本件発信者情報の開示を原告は求めているところ、損害賠償請求権を行使するためには、本件投稿者を特定する必要があるとして、原告には同特定のために本件発信者情報の開示を受ける必要があるといえると裁判所は判断しています(6頁以下)。

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■コメント

「NAVERまとめ」サイトでの投稿記事が問題となった事案としては、最近では創価学会池田名誉会長の肖像画像事案がありました(後掲記事参照)。

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■過去のブログ記事

東京地裁平成28.1.18平成27(ワ)21642発信者情報開示請求事件
「NAVERまとめ」投稿記事発信者情報開示事件

written by ootsukahoumu at 07:06│TrackBack(0)知財判決速報2016 

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