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2016年03月17日

「NAVERまとめ」投稿記事発信者情報開示事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「NAVERまとめ」投稿記事発信者情報開示事件

東京地裁平成28.1.18平成27(ワ)21642発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官      鈴木千帆
裁判官      笹本哲朗


*裁判所サイト公表 2016.3.16
*キーワード:写真、著作物性、引用、プロバイダ責任制限法

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■事案

創価学会池田名誉会長の肖像画像などが無断で「NAVERまとめ」サイトに投稿されたことからプロバイダに対して発信者の情報開示を求めた事案

原告:宗教法人
被告:経由プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、32条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 本件記事により原告の著作権〔公衆送信権〕が侵害されたことが明らかであるか
2 本件発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であるか

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■事案の概要

『本件は,別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)の著作権を有すると主張する原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)により,被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト「NAVERまとめ」(以下「本件サイト」という。)に投稿された別紙投稿記事目録記載の記事(以下「本件記事」という。)と共に掲載された別紙掲載写真目録記載の写真(以下「本件掲載写真」という。)は,本件写真を複製したものであって,本件投稿者が本件掲載写真を本件サイトに掲載した行為により原告の有する著作権が侵害されたことは明らかであるとして,本件投稿者に対する損害賠償請求権の行使のために本件記事に係る別紙発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受ける必要があると主張し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下,単に「法」という。)4条1項に基づき,経由プロバイダである被告に対し,本件発信者情報の開示を求める事案である。被告は,本件投稿者の上記行為により,原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかとはいえないなどとして争っている。』(1頁以下)

<経緯>

H19.12 原告職員Bが本件写真を撮影

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■判決内容

<争点>

1 本件記事により原告の著作権〔公衆送信権〕が侵害されたことが明らかであるか

(1)本件写真の創作性及び著作権者

本件写真は、A名誉会長を被写体としてその上半身を写真中央に配置し、顔の表情がはっきりと分かるように撮影し、背景の花などはぼかすなどして撮影者である原告職員Bの思想・感情が創作的に表現されたものであるとして、裁判所は、写真の著作物として著作物性(著作権法2条1項1号)を肯定しています。
また、本件写真は、原告職員Bが原告の業務上撮影したものであり、その後、原告の著作名義の下に公表されたものであることから、著作権法15条1項により原告がその著作者となると判断されています(5頁以下)。

(2)本件掲載写真が本件写真を複製したものであるか

本件掲載写真は、本件投稿者が本件写真と同一性を有する画像検索サイト上の写真に依拠して再製したものといえるとして、本件掲載写真は本件写真を複製したものと認定されています(6頁)。

(3)故意・過失

本件投稿者は、本件掲載写真の権利関係が不明であったにもかかわらず、安易に本件サイト上に本件記事と共に掲載したものというほかないとして、対象著作物の権利者の許諾を得るべき注意義務を尽くしたものとは認められないと裁判所は判断。
少なくとも本件投稿者に本件写真の著作権(公衆送信権)の侵害について過失があると認められています(6頁以下)。

(4)引用の成否

本件記事には本件掲載写真を説明する記述はなく、本件記事において本件掲載写真を掲載する必要性は明らかではない上、本件記事は本件掲載写真を掲載するにあたってその出典を明示していないことから、本件掲載写真の掲載が著作権法32条1項にいう引用に当たる余地があるとはいえないと裁判所は判断しています(7頁以下)。

結論として、本件投稿者が本件掲載写真を含む本件記事を本件サイトに投稿したことにより、原告が有する本件写真の著作権(公衆送信権)が侵害されたことは明らかであると判断されています。

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2 本件発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であるか

開示を受ける本件発信者情報について、被告は、損害賠償請求権を行使するには発信者の氏名又は名称並びに住所が開示されれば十分であり、これに加えて電子メールアドレスの開示を受ける必要はないと反論しました。
この点について、裁判所は、原告が、本件投稿者に対して本件写真の著作権(公衆送信権)侵害の不法行為による損害賠償請求権を行使するためには、本件投稿者を特定する必要があり、原告には同特定のために別紙発信者情報目録記載の情報のすべて(電子メールアドレスを含む。裁判外で任意の履行請求の際には、電子メールアドレスの開示がこれに資する)の開示を受ける必要があると判断しています(8頁以下)。

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■コメント

「NAVERまとめ」サイトは、LINE株式会社が運営するキュレーションサイト(情報を自由に組み合わせてひとつのページにまとめて保存・紹介できるサービスを提供するウェブサイト)です。
Yahoo!知恵袋投稿記事発信者情報開示事件と類似の事案となります。

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■過去のブログ記事

2015年05月22日記事
Yahoo!知恵袋投稿記事発信者情報開示事件

2013年11月01日記事
ニコニコ動画発信者情報開示請求事件

written by ootsukahoumu at 07:01│TrackBack(0)知財判決速報2016 

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