最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ソフトウェア使用許諾契約事件(控訴審)

知財高裁平成27.10.1平成27(ネ)10082著作権ライセンス契約確認等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 高部眞規子
裁判官      田中芳樹
裁判官      柵木澄子

*裁判所サイト公表 2015.10.19
*キーワード:ライセンス契約

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■事案

ソフトウェア使用許諾契約の成否が争点となった事案の控訴審

控訴人 (1審原告):ソフトウェア開発会社
被控訴人(1審被告):通信機器等販売会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

1 本件契約の締結の有無

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■事案の概要

『本件は,控訴人が,原判決別紙「著作権ライセンス契約(著作権使用許諾契約)」記載の著作権ライセンス契約(本件契約)を被控訴人との間で締結したと主張して,被控訴人に対し,本件契約が締結されていることの確認と,本件契約に基づく著作権使用料39万4200円の支払を求める事案である。
 原判決は,控訴人の本件契約の申込みを被控訴人が承諾した事実を認めるに足りず,かえって被控訴人は同申込みを明示的に拒絶していることが明らかであるから,本件契約が締結されたとの控訴人の主張は理由がない旨判断して,控訴人の請求を全部棄却したため,控訴人が,これを不服として控訴したものである。』
(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 本件契約の締結の有無

原審同様、本契約の成立は否定され控訴人の主張は認められていません(3頁以下)。

控訴人は、控訴審で、ソフトウェアの著作権者である控訴人は、ソフトウェアについて被控訴人にソフトウェアの改変及び譲渡・貸与等のビジネスを行う意思(著作権を使用する意思)の有無を確認する権利を有し、これに対して被控訴人はこれらの行為を行う意思がある場合、著作権ライセンス契約を締結する義務がある旨主張しました。
しかし、この点について、控訴人及び被控訴人に控訴人主張にかかる権利及び義務がそれぞれ存することを認めるに足りる法令上又は当事者間の合意等の根拠の主張立証はないとして、控訴審は控訴人の主張を認めていません。

また、著作権者である控訴人は、ソフトウェアの改変及び譲渡・貸与等のビジネスを行う意思(著作権を使用する意思)の有無について明確な回答がない場合、被控訴人がこれらの行為を行う意思があるとみなすとの通知を行っていることから、被控訴人が著作権ライセンス契約を締結したくなければソフトウェアの改変及び譲渡・貸与等のビジネスを行わない意思(著作権を使用しない意思)を示す必要があったにもかかわらず、被控訴人がソフトウェアの改変及び譲渡・貸与等のビジネスを行わない意思を示さなかった事実は控訴人と被控訴人間の著作権ライセンス契約締結の証左となる旨主張しました。
しかし、この点についても、控訴人の上記各通知に対して被控訴人がこれに回答すべき義務があることや、これに回答しなかった場合に本件契約が締結されたものとみなされるべき法令上又は当事者間の合意等の根拠の主張立証がないこと、また、被控訴人は、回答書や通知書において控訴人の上記各通知に対して明示的に拒絶していることから、控訴人の主張は認められていません。

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■コメント

控訴人の本訴請求をいずれも棄却した原判決の判断が維持されています。

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■過去のブログ記事

東京地裁平成27.5.27平成27(ワ)2946著作権ライセンス契約確認等請求事件
原審記事(2015年06月19日)