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2015年10月13日

「通信と放送の融合に伴う著作権問題の研究」論文事件(控訴審)−著作権 著作権確認等請求控訴・附帯控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「通信と放送の融合に伴う著作権問題の研究」論文事件(控訴審)

知財高裁平成27.10.6平成27(ネ)10064等著作権確認等請求控訴・附帯控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 清水 節
裁判官      片岡早苗
裁判官      新谷貴昭

*裁判所サイト公表 2015.10.9
*キーワード:学術論文、学会、著作権譲渡、著作物性、複製権、同一性保持権、氏名表示権、一般不法行為論

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■事案

学術学会に譲渡された論文について侵害事案が生じた場合の学会の対応などが争点となった事案の控訴審

控訴人兼附帯被控訴人  (1審原告):研究者
被控訴人(兼附帯控訴人)(1審被告):研究者、学校法人、学術学会

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■結論

原判決変更

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、19条、20条、21条、民法709条、715条

1 本件著作権譲渡契約の解除の可否
2 被告ら論文−複製権又は翻案権の侵害の成否
3 被告ら論文−同一性保持権侵害の成否
4 氏名表示権侵害の成否
5 被告らの損害賠償義務の有無及びその額
6 被告ら共著論文2に係る削除請求の可否
7 謝罪広告の要否
8 特別研究論文による著作権及び著作者人格権の侵害に基づく被告Y1の損害賠償義務の有無及びその額
9 学術論文を盗用・剽窃されない利益の侵害に係る一般不法行為の成否
10 被告学園の使用者責任の有無


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■事案の概要

『本件は,別紙論文目録記載1の論文(原告論文)の著作者である原告が,被告Y2が単独又は指導教授である被告Y1と共同で執筆した別紙論文目録記載2ないし4(被告ら共著論文1,同2及び被告Y2論文)及びAが執筆した論文(A論文)の中にそれぞれ原告論文の記述とほぼ同一の記述があり,これらが原告論文に係る原告の著作権(複製権又は翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)を侵害する不法行為であり,また,学術論文を他人に盗用・剽窃されない利益を侵害する一般不法行為(民法709条)を構成し,被告Y1が勤める大学院を運営する被告学園は被告Y1の各不法行為について使用者責任(同法715条1項)を負うと主張して,(1)被告Y2及び被告Y1に対しては,被告ら共著論文1,同2及び被告Y2論文による著作権侵害及び著作者人格権侵害の共同不法行為に基づき,被告学園に対しては,その使用者責任に基づき,慰謝料及び弁護士費用として330万円及びこれに対する各不法行為の日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求め,また,(2)被告Y2及びAの指導教授であった被告Y1に対しては,被告ら共著論文1,同2による学術論文を盗用・剽窃されない利益の侵害に係る一般不法行為並びにA論文による著作権侵害及び著作者人格権侵害に係るAとの共同不法行為に基づき,被告学園に対しては,その使用者責任に基づき,慰謝料及び弁護士費用として220万円及び各不法行為の日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求め,さらに,(3)被告Y2及び被告Y1に対して,著作者人格権侵害に基づく名誉回復措置請求(著作権法115条)として謝罪広告の掲載を求め,このほか,(4)被告学会に対しては,同被告の運営するウェブサイト上での被告ら共著論文2及びその著作者名の掲載が原告論文に係る公衆送信権及び氏名表示権を侵害すると主張して,著作権法112条1項に基づき同ウェブサイト上からの論文及び著作者名表示の削除を求めるとともに,(5)原告論文の著作権についての被告学会への譲渡契約を同被告の債務不履行に基づき解除したと主張して,これを争う被告学会との間で,原告が原告論文の著作権を有することの確認を求めた事案である。』

『原審は,平成27年3月27日,原告の請求(1)のうち,被告Y1及び被告Y2に対して連帯して22万円及びうち11万円に対する平成24年3月31日以降の,うち11万円に対する平成24年5月31日以降の遅延損害金の支払を求める部分,請求(4)のうち,被告学会の運営するウェブサイトからの被告ら共著論文2の削除を求める部分を認容し,その余の請求を棄却したところ,原告は,同年4月9日に敗訴部分すべてについて控訴し,被告Y1及び被告Y2は,同年6月5日に,敗訴部分すべてについて附帯控訴した。なお,被告学会は控訴していない。』(4頁以下)

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■判決内容

<争点>

各争点について、原審の結論が基本的に維持されています。
なお、原審では、精神的苦痛を慰謝するための慰謝料額として、被告ら共著論文1及び2につきそれぞれ10万円の合計20万円、弁護士費用の額は、被告ら共著論文1及び2につきそれぞれ1万円の合計2万円と認定されていましたが、控訴審では、弁護士費用の額について、それぞれ10万円とされ、合計20万円と増額されており、合計40万円とされています(22頁。原判決PDF35頁以下)。

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■コメント

学術学会での論文の著作権の取扱いについて、学会の責任のあり方に触れるリーディングケースとなる事案の控訴審ですが、結論としては、原審の判断と同様、著作権侵害状態の除去や著作権の著作者への再譲渡実現といった点について被告学会に債務不履行はなく、原告による本件著作権譲渡契約の解除の意思表示の効力は認められていません。
なお、原告表現1(電気通信役務利用放送法第12条関連の記述)及び同2(英国著作権法に関する記述)の創作性の判断について、控訴審においても、創作性が肯定されており、原審の判断が維持されています(30頁参照)。

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■過去のブログ記事

2015年04月08日記事
原審
written by ootsukahoumu at 06:52│TrackBack(0)知財判決速報2015 

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