最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

投資情報提供ブログ著作権侵害事件

東京地裁平成27.4.24平成26(ワ)30442損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 東海林保
裁判官      今井弘晃
裁判官      勝又来未子

*裁判所サイト公表 2015.05.14
*キーワード:損害論

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■事案

為替相場の動向を踏まえた値動きの予測に関するブログ記事の盗用が争点となった事案

原告:投資情報提供サービス会社
被告:投資情報提供サービス会社ら

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法114条3項

1 侵害論
2 損害論

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■事案の概要

『本件は,原告のブログに掲載された記事を被告らが複製した上,被告らのブログに別紙投稿記事目録記載のとおり投稿して送信可能化及び公衆送信したとして,被告らに対し,著作権侵害に基づく損害賠償として,連帯して297万円及びこれに対する最終の不法行為日(記事投稿日)である平成25年2月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。』(2頁)

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■判決内容

<争点>

1 侵害論

原告は、原告ブログ記事は為替相場の動向を踏まえた値動きの予測に関する訴外Bの思想又は感情を創作的に表現したものとして著作物性を有するものであり、原告が著作権を有し、被告らは被告ブログにおいて無断でデッドコピーしていることから、送信可能化権及び公衆送信権侵害となると主張しました(5頁以下)。
この点について、被告らは、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないことから、原告の主張する請求原因事実につき自白したものとみなされています。

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2 損害論

損害論について、裁判所は、原告著作物の内容、その複製物である被告ら各記事の分量及び投稿回数、原告が訴外ワカバヤシに対し情報提供料ないし連載コンテンツ料の名目で原告著作物の取得に向けた対価として支払った額が税抜き月20万円であること等の事実を勘案して、原告に生じた著作権法114条3項に基づく損害は40万円と認定しています。
また、原告が被った信用毀損による無形損害として50万円を認定しています。
弁護士費用相当額損害としては、10万円が認定されています。
結論として、損害額合計100万円が認められています(6頁以下)。

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■コメント

擬制自白によりブログ記事の著作物性を含め、争点らしい争点もありません。