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2014年11月06日

統合業務管理ERPソフト事件(控訴審)−著作権 著作権侵害差止等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

統合業務管理ERPソフト事件

知財高裁平成26.10.30平成26(ネ)10042著作権侵害差止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官      大寄麻代
裁判官      平田晃史

*裁判所サイト公表 2014.11.04
*キーワード:プログラム著作物、氏名表示権、同一性保持権、譲渡契約、事業提携

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■事案

契約終了後の統合業務管理ソフトの販売取扱いの有無が争点となった事案

控訴人 (一審原告):ソフトウェア開発販売会社
被控訴人(一審被告):システム開発設計販売会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項10号の2、19条、20条

1 被控訴人による著作者人格権侵害の有無

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■事案の概要

『本件は,控訴人が,「BSS−PACK」という統合業務管理パッケージのソフトウェア製品(以下「BSS−PACK製品」という。)に含まれる原判決別紙原告営業秘密プログラム目録記載1(1)ないし(7)の7本のプログラム(以下「控訴人各プログラム」という。)の著作者人格権を有するところ,被控訴人が,BSS−PACK製品について,平成18年8月2日から平成25年3月1日までの間に,同目録記載1(2)のプログラム(以下「控訴人プログラム(2)」という。)のソースコードの記述を変更し,「ISS−PACK」という名称を付し,控訴人名を表示せずに販売し,控訴人の著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)を侵害したとして,著作権法112条1項及び2項に基づき,(1)BSS−PACK製品につき,著作者名を「株式会社ビーエスエス」と表示すること,(2)BSS−PACK製品に,BSS−PACK以外の名称を使用しないこと,(3)控訴人プログラム(2)の記述を一切変更してはならないことを求めるとともに,(4)著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償金160万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成25年5月17日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
『原判決は,控訴人各プログラムが「著作物」に当たるということはできないし,仮に著作物に当たるとしても,被控訴人が平成18年8月2日以降にBSS−PACK製品をISS−PACKとの名称で販売したとは認められないから,被控訴人が控訴人の氏名表示権及び同一性保持権を侵害した事実は認められない,として控訴人の請求をいずれも棄却した。控訴人は,原判決中,上記(1)ないし(4)の各請求の敗訴部分を不服として,本件控訴をした(なお,控訴人は,原審においては,上記(1)ないし(4)の各請求のほか,著作権法112条1項及び2項に基づき,(5)控訴人プログラム(2)を被控訴人が変更して譲渡等している場合にはその記述を元に戻し,これを媒体に書き出して被控訴人の責任において全譲渡先に再配付すること,及び(6)同法115条に基づき,謝罪文を日本経済新聞全国版に掲載することも求めていたが,当審において,これらの請求に係る訴えを取り下げた。)。』(2頁以下)

<経緯>

H07 BSS−PACKクライアント著作権登録
H08 BSS−PACKサーバー著作権登録
H09 BSS−PACKサーバー著作権登録
H10 部品マイスター著作権登録
H11 部品ビュー著作権登録
H13 金融機関や被告を譲渡担保権者とする譲渡担保の対象として移転
H18 原告に移転
    原告が株式会社サンライズ・テクノロジーに譲渡
    被告と株式会社サンライズ・テクノロジーが業務提携
    日本電子計算株式会社が保有
H20 原告が株式会社サンライズ・テクノロジーに11億5000万円支払請求反訴提起、棄却確定

・一審原告営業秘密プログラム(控訴人各プログラム)

(1)SSDBaccs
(2)SCtsusin (ハードロックチェック機能)
(3)SCpjktsu
(4)SCbra
(5)SCUSRbra
(6)BPPRINT
(7)SDaemon

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■判決内容

<争点>

1 被控訴人による著作者人格権侵害の有無

控訴人は、被控訴人が平成18年8月2日以降、BSS−PACK製品について、控訴人プログラム(2)のハードロックチェックプログラムの記述を変更し、ISS−PACKとの名称を付して控訴人名を表示せずに被控訴人製品として販売したことが、控訴人各プログラムの同一性保持権及び氏名表示権の侵害に当たると主張しました(5頁以下)。
結論としては、裁判所は、本件全証拠によっても被控訴人が平成18年8月2日以降も被控訴人製品を販売していた事実は認められないとして、同事実を前提とする被控訴人による著作者人格権侵害の主張は理由がないと判断しています。

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■コメント

原審同様、被控訴人(一審被告)による平成18年8月2日以降の製品販売の事実が認められず、原告の主張は認められていません。
原被告、そしてBSS−PACK製品の著作権の譲渡先である株式会社サンライズ・テクノロジーの三者の関係については、後掲「ソフトウェア提供パートナー契約事件」控訴審判決PDF38頁以下に詳しいですが、仮に被告による製品販売の事実が認められたとして、なおかつ7本のプログラムが著作物であり、また譲渡の対象に含まれているとした場合、原告にとって残る足掛かりは人格権となりますが、株式会社サンライズ・テクノロジーとの譲渡契約の内容や被告との従前の契約関係からすれば人格権不行使合意が推認されるところです。

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■参考判例

東京地裁平成26.3.25平成25(ワ)5210著作権侵害差止等請求事件(原審)
原審PDF

・別件訴訟
ソフトウェア提供パートナー契約事件
ソフトウェア提供パートナー契約事件(控訴審)

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■参考サイト

株式会社サンライズ・テクノロジー プレスリリース(平成18年3月28日)
中堅企業向け統合業務ERP製品『BSS-PACK』取得のお知らせ

株式会社サンライズ・テクノロジー プレスリリース(平成18年4月20日)
インターナショナル・システム・サービス株式会社との業務提携合意のお知らせ

written by ootsukahoumu at 09:33│TrackBack(0)知財判決速報2014 

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