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2014年11月04日

「生命の實相」著作物利用権確認請求事件(控訴審)−著作権 著作物利用権確認請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「生命の實相」著作物利用権確認請求事件(控訴審)

知財高裁平成26.10.15平成26(ネ)10026著作物利用権確認請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 富田善範
裁判官      田中芳樹
裁判官      柵木澄子

*裁判所サイト公表 2014.10.23
*キーワード:二重起訴、既判力、出版権、出版使用許諾、更新拒絶、信義則、権利濫用

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■事案

生長の家創始者谷口雅春氏(故人)の著作「生命の實相」などに関する出版使用許諾契約の更新拒絶の有効性が争点となった事案(別訴)の控訴審

控訴人(一審原告) :出版社
被控訴人(一審被告):社会事業団
被控訴人補助参加人 :出版社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 民訴法142条、著作権法79条、63条、民法1条2項、3項

1 本件訴えの適法性
2 本件更新拒絶が手続要件を充足するものであるか否か
3 正当事由の要否
4 本件更新拒絶は信義則違反又は権利の濫用にわたるものとして無効とされるべきものか否か

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■事案の概要

『本件は,控訴人が,控訴人と被控訴人との間で締結された原判決別紙書籍目録記載1ないし31の書籍(本件書籍1〜31。本件書籍1〜31を併せて本件書籍)に係る各出版使用許諾契約(本件出版使用許諾契約)の被控訴人による更新拒絶(本件更新拒絶)は,(1)本件出版使用許諾契約においては,契約の更新をしないで契約期間満了により契約を終了させるには,被控訴人の代理人である宗教法人生長の家(生長の家)を含めた文書による通告を必要とする旨約定されていたにもかかわらず,生長の家の意思に反し,被控訴人単独で行ったものであり,約定の要件を欠き無効である,(2)控訴人には本件出版使用許諾契約に基づく何らの債務不履行行為も存しないにもかかわらず,一方的にされたものであり,更新を拒絶するにつき正当な理由を欠くものとして無効である,(3)仮に,更新を拒絶するにつき正当な理由を要しないとしても,信義則に反し,あるいは,権利の濫用にわたるものとして無効であるから,本件出版使用許諾契約は自動更新されている旨主張して,被控訴人に対し,控訴人が本件出版使用許諾契約に基づく著作物利用権を有することの確認を求めた事案である。』
『原判決は,(1)本件出版使用許諾契約に係る契約書の文言上,被控訴人と生長の家との連名で更新拒絶の意思表示を行うことが要求されていると解釈することはできず,被控訴人は単独で更新拒絶の意思表示をすることができ,かつ,(2)控訴人には「初版革表紙 生命の實相 復刻版」(復刻版1)及び「初版革表紙 生命の實相第2巻「久遠の實在」復刻版」(復刻版2。復刻版1と併せて復刻版。なお,両書籍は本件書籍には含まれない。)につき,被控訴人に対する契約(本件昭和49年契約)上の印税支払債務の不履行があり,本件更新拒絶の時点において,控訴人と被控訴人との間の信頼関係は既に破壊されていたものと認められ,被控訴人による更新拒絶の意思表示は権利の濫用にわたるものとはいえないから,本件更新拒絶は有効であるとして,控訴人の請求を棄却した。』(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 本件訴えの適法性

被控訴人は、本件訴えは、控訴人が被控訴人に対して本件書籍1ないし31を含む書籍等について出版権を有することの確認を求めた前訴(前訴第3事件)と当事者及び訴訟物を同じくするものであり、重複する訴えの提起の禁止(民訴法142条)に反し不適法である旨主張しました(30頁以下)。
裁判所は、前訴第3事件において確認請求の対象とされたのは、独占的排他的な利用権であり、第三者に対しても直接差止等の請求をすることが可能な「出版権」、すなわち著作権法79条に規定される出版権であったと認定。
一方で、本件訴訟において確認請求の対象とされているのは、その請求の趣旨及び請求原因の記載によれば、著作権法63条に規定される、著作権者から著作物の利用を許諾された者の有する債権的な著作物利用権であるとして、本件訴訟における訴訟物は前訴第3事件における訴訟物とは異なるものであり、本件訴訟が前訴第3事件と重複する訴えであるとはいえず、また、前訴第1審判決の既判力が本件訴訟に及ぶこともないとして、本件訴えは適法であると判断しています。

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2 本件更新拒絶が手続要件を充足するものであるか否か

控訴人は、本件出版使用許諾契約書の約款3条の「甲(代理人を含む)」との文言は、被控訴人による更新拒絶にあっては、代理人である生長の家を関与させ、事前に生長の家と協議し、その意見を聞く必要のあることを規定したものであり、被控訴人が本件出版使用許諾契約の更新を拒絶するについては、被控訴人単独ではなく、生長の家とともに意思表示をすべき義務がある。それにもかかわらず、本件更新拒絶は、被控訴人単独でされたものであるから、約款3条に定める要件を欠き、無効である旨主張しました(32頁以下)。
しかし、裁判所は、諸事情を勘案して、約款3条は被控訴人が生長の家以外の第三者に本件書籍についての著作権管理を委任しないことを約するものにすぎず、著作権者である被控訴人の著作物に対する固有の管理権について制限する趣旨までも含む規定であると解することはできないと判断。上記規定があるからといって、本件出版使用許諾契約において、更新拒絶の意思表示を行う際に被控訴人と生長の家との連名で行うことが合意されていたものと認めることはできないとして、本件更新拒絶が、これが被控訴人の単独による意思表示であるからといって無効となることはないと判断しています。

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3 正当事由の要否

控訴人は、約款3条は、自動更新を前提とした規定であって、3年間という契約期間は契約を終了するのもやむを得ないといえる事情が発生した場合に限って契約を終了させることができることを前提に定められたものと解すべきであるとして、本件出版使用許諾契約の更新を拒絶する場合は、相手方当事者に重大な契約違反があるなど正当な事由を要する旨主張しました(35頁以下)。
この点について、裁判所は、その文言上は、当事者の一方が契約の更新拒絶をする際に、文書をもって通告を要することのほかは、3か月以上の予告期間を設けるのみで、更新拒絶事由を特に定めていないこと、また、本件出版使用許諾契約の内容、本件出版使用許諾契約を締結するまでに至る経緯に照らせば、控訴人と被控訴人との間において、当事者の一方が契約の更新を拒絶する点について、正当事由、すなわち、やむを得ない事由を要すると合意されていたものとは認められず、また、当事者間における合意がないにもかかわわらず、本件出版使用許諾契約の更新を拒絶するには正当事由を要すると解すべきであるともいえないと判断しています。

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4 本件更新拒絶は信義則違反又は権利の濫用にわたるものとして無効とされるべきものか否か

控訴人は、被控訴人による本件更新拒絶は、信義則に違反するか又は更新拒絶権の濫用にわたるものとして、無効とされるべきである旨主張しました(44頁以下)。
しかし、裁判所は、本件全証拠によっても本件更新拒絶を信義則に違反する、あるいは権利濫用にわたるものとして無効とすべき事情があるとは認められないと判断しています。

結論として、本件出版使用許諾契約は、本件更新拒絶によりいずれも終了したものと認められ、控訴人の主張は認められていません。

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■コメント

原審同様、控訴審でも原告の主張は認められていません。本判決7頁以下では、「生命の實相」を巡る紛争について、前訴の経緯(上告棄却決定等)がまとめられています。

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written by ootsukahoumu at 08:51│TrackBack(0)知財判決速報2014 

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