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2013年12月02日

デジタルコンテンツオンデマンド出版事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

デジタルコンテンツオンデマンド出版事件

東京地裁平成25.11.15平成24(ワ)9900損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 東海林 保
裁判官      今井弘晃
裁判官      足立拓人

*裁判所サイト公表 2013.11.26
*キーワード:出版契約、オンデマンド出版

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■事案

デジタルパブリッシングサービスを巡って出版部数などが争点となった事案

原告:発明関連書籍著作者
被告:デジタルコンテンツ書籍製造販売会社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 民法415条

1 被告による本件各書籍のデータの無断運用の有無

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■事案の概要

『本件は,本件契約によって被告の会員となった原告が,本件契約の第17条によれば,被告は原告から預託を受けたデジタルコンテンツデータを運用した場合,データ運用の対価に所定の料率を乗じた金員(以下「収益還元金」という。)を原告に支払うべき収益還元義務を負うところ,原告は,被告に対し,本件契約に基づき,平成21年3月末頃までに,別紙書籍目録記載の各書籍(以下「本件各書籍」といい,同目録記載の番号に従って順に「本件書籍1」などという。)を預託したが,被告は,平成22年初め頃から平成23年10月頃までの間に,原告から預かったデータを用いて本件各書籍につき各100冊の複製物を第三者に提供するなどして運用し,対価を得ているにもかかわらず,その収益を原告に還元していないと主張して,本件契約が定める収益還元義務の履行請求として,別紙書籍目録末尾収益還元料金計算結果記載の収益還元金191万3600円の内金161万9356円及び平成24年7月7日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案』(3頁)

<経緯>

H13 原被告間でデジタルパブリッシング出版会員契約締結
H17 原告がオンデマンド出版、ショートラン印刷
H22 原告が日販から返品依頼を受ける
H23 民事調停
H24 調停不成立、本件提訴

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■判決内容

<争点>

1 被告による本件各書籍のデータの無断運用の有無

原告は、被告へ預託された本件各書籍について、被告によって原告に無断で被告の記録にないデータ運用がされており、原告にその収益が還元されていないと主張、デジタルパブリッシング出版契約で定められた収益還元義務に基づき、原告に無断でデータ運用した本件各書籍について、各100冊分の収益還元金の支払を求めました(18頁以下)。
この点について、裁判所は、原告は、いつの時点で何冊を印刷し、そのうち何冊をいかなる経路で流通に置き、このうち販売された部数が何部であるか等について何ら主張立証を行っておらず、原告の了解のもとで流通に置かれた本件各書籍の総数とそうでない書籍の数とを比較のしようがないとして、被告による原告に対する無断データ運用の総数を検討する以前の問題として、そもそも原告の意思に基づかない書籍の流通自体があったのか否かは不明というほかないと判断。原告の請求を認めていません。

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■コメント

被告となった株式会社デジタルパブリッシングサービスは、凸版印刷(株)と(株)トーハンが共同で設立した会社で、自費出版物の制作・流通をオンデマンド出版により安価で実現するサービスを提供しています。
取次から返品受諾の打診を受けたことをきっかけとして、原告側が流通に置かれた出版物の対象や点数に疑問をもった訳ですが、原告著作物33点のうち、どのサービスによる出版で何点流通させたかの整理が原告側においてされていません。

システム的に事業社側が著者側に無断で登録データをオンデマンド出版して流通に置く場面があり得るのか不明ですが、流通に置いた書籍が返品された場合の取扱い(取次への確認や取扱い書店の情報の管理など)についての事業者免責規定が出版契約上、どのようになっていたのか確認したい部分ではあります。

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■参考サイト

株式会社デジタルパブリッシングサービス

written by ootsukahoumu at 07:30│TrackBack(0)知財判決速報2013 

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