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2013年11月13日

プログラム開発委託料請求事件(控訴審)−著作権 プログラム開発委託料等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

プログラム開発委託料請求事件(控訴審)

知財高裁平成25.10.30平成25(ネ)10053プログラム開発委託料等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官      八木貴美子
裁判官      小田真治

*裁判所サイト公表 2013.11.6
*キーワード:プログラム、著作物性、複製権、職務著作、開発委託契約、請負契約

(原審)
平成23(ワ)13057プログラム開発委託料等請求事件
東京地方裁判所民事第33部
裁判長裁判官 小林久起
裁判官      佐々木清一
裁判官      見原涼介

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■事案

協会の会員名簿など業務用データベース作成(ファイルメーカー)にあたってプログラマーとの業務委託契約の内容が争点となった事案

控訴人(原審原告) :プログラマー
被控訴人(原審被告):公益社団法人

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、10号の2、10号の3、15条2項、商法512条

1 プログラム気坊犬訐禅瓩旅糧
2 プログラム兇坊犬訐禅瓩旅糧

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■事案の概要

『1 原審の経過
(1)原審における請求
ア プログラム気了藩儺諾に係る請求
 原告は,平成10年に,被告との間で,プログラム気粒発委託契約を締結し,同年,プログラム気魍発・作成したことにより,プログラム気涼作権を取得し,被告に対しプログラム気砲弔い道藩儺諾をしたと主張して,商法512条の報酬請求権に基づき,平成23年4月20日以前5年間のプログラム気涼作権使用許諾料合計190万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
イ プログラム兇粒発・作成に係る請求
(ア)主位的請求
 原告は,平成22年10月下旬,被告との間で,開発委託料を定めずにプログラム兇粒発委託契約を締結し,同年12月から平成23年3月4日までの間に,被告に対し,プログラム兇魍発・作成して納品したと主張して,商法512条の報酬請求権に基づき,プログラム兇粒発委託料として合計960万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
(イ)予備的請求(1)
 原告は,被告との間で,プログラム兇虜鄒につき請負契約を締結し,その際,相当の報酬を支払うことを黙示的に合意したと主張して,相当な報酬額の一部である960万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
(ウ)予備的請求(2)
 原告は,プログラム兇鮑鄒したことにより,被告が不当に利得を得ていると主張して,不当利得返還請求権に基づき,不当利得210万円及びこれに対する不当利得をした平成23年3月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による利息(民法704条)の支払を求めた。
(2)原審の判断
 原審は,以下のとおり判断して,原告の請求をいずれも排斥した。
ア プログラム気了藩儺諾に係る請求について
 プログラム気蓮じ狭陲被告の業務に従事する者として職務上作成したものであり,その著作者は被告であるから,原告がプログラム気涼作権を有することを前提とするプログラム気坊犬觧藩儺諾料の請求は理由がない。仮に,プログラム気涼作者が原告であったとしても,原告,被告間にはプログラムの使用許諾料の支払を求めない合意があったと認められるから,原告の請求は理由がない。
イ プログラム兇粒発・製作に係る請求
 プログラム兇砲弔い討蓮じ狭陝と鏐雋屬乏発委託契約の成立も請負契約の成立も認められず,原告が不当に利得を得ているとも認められない。
 これに対し,原告は,原判決の取消しを求めて,控訴を提起した。』

『(3)当審における請求
ア プログラム気坊犬訐禅
 当審において,原告は,原審での主張に係る著作物の使用許諾料の請求を撤回し,以下の主位的請求及び予備的請求を追加した。
(ア)主位的請求
 原告は被告に対し,プログラム気鮑鄒し,使用させていることに対する相当の報酬として,商法512条の報酬請求権に基づき,190万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
(イ)予備的請求
 原告は,プログラム気鯤製して使用する被告の行為は,プログラム気砲弔い童狭陲陵する著作権(複製権)を侵害すると主張して,複製権侵害に基づく損害賠償金として190万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
イ プログラム兇坊犬訐禅
 当審において,原告は,以下の予備的請求を追加した。
 すなわち,原告は被告に対し,プログラム兇鯤製,使用する被告の行為は,プログラム兇砲弔い童狭陲陵する著作権(複製権)を侵害すると主張して,複製権侵害に基づく損害賠償として作成費相当額である960万円及びこれに対する平成23年5月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。』
(2頁以下)

<経緯>

H10.10 原告が被告の会員名簿等のコンピュータ入力作業
H12.06 原告が採点集計表作成
H20.03 原被告間で保守契約締結
H23.03 原告が被告に著作権使用料等を請求
H23.03 被告が原告に保守契約解約通知
H23.04 本件提訴

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■判決内容

<争点>

1 プログラム気坊犬訐禅瓩旅糧

(1)プログラム気虜鄒についての相当報酬

原告(控訴人)がプログラム機箆合会名簿、個人会員名簿、ダンス教師講習(考査)アソシエイト採点集計表、教師協会売掛金等のプログラム)を作成し、これを被告(被控訴人)に使用させていることの相当報酬としての商法512条の報酬請求権に基づく190万円の請求について、控訴審は、

・原告は被告から平成10年以降、本件保守契約が締結される前である平成20年2月までの間にプログラム(ソフト)作成料、プログラム使用料、データ入力料、パソコン指導料等の各種名目の下に、原告又はFを支払先として合計1000万円を超える支払を受けていた。
・平成20年3月に本件保守契約を締結し、保守料金の額について合意をしたが、その際にプログラム気虜鄒料については格別何らの取決めがされなかった。
・原告がプログラム気鮑鄒した平成10年以降平成23年2月までの間、原告が被告に対してプログラム気虜鄒料を請求した事実もない。

といった諸点から、本件保守契約締結以前に原告が行ったプログラム戯鄒作業に対する対価の支払は既に完了していると解するのが相当であると判断しています(10頁以下)。

(2)プログラム気了藩冦狙禅

プログラム気了藩冦狙禅瓩砲弔い胴義平海蓮

・被告が別途使用料を支払うことは当事者の間において想定されていないと解するのが合理的である。
・プログラム気了藩僂開始された後においても使用料の支払と窺える被告から原告に対する定期的な支払はされていない。
・本件保守契約締結に際しても使用料についての協議がされた形跡がない。

といった事実を総合して、原被告間において、原告がプログラム気虜鄒に関与したことについて、プログラム気了藩冦舛了拱Г呂覆せ櫃旅膂佞なされていたと認めるのが相当であると判断しています(11頁)。

結論として、商法512条に基づくプログラム気虜鄒・使用料の請求は理由がないと判断しています。

(3)プログラム気諒製権侵害性

プログラム気諒製権侵害を理由とする190万円の請求について、控訴審は、既存のパッケージソフトであるファイルメーカーを利用してデータの入力項目・入力方法の設定作業及びデータの入力、入力したデータの表示・印刷方法等の設定作業を原告は担当しプログラム気鮑鄒したものであり、既存のパッケージソフトはこれを利用して定められた手順に従って設定、入力等を行うことにより容易にプログラムが作成できるように作られており、プログラム気發海里茲Δ砲靴萄鄒されたものであると認められる。そして、本件全証拠によっても、プログラム気著作権法2条1項1号、10号の2、10号の3各所定の「著作物」、「プログラム」及び「データベース」に該当することを認めるに足りる証拠はないと判断。 原告がプログラム気涼作権を有することを前提とした複製権侵害による損害賠償請求は理由がないとしています。
また、仮に原告がプログラム気亡悗靴堂燭蕕の著作権を有するとしても、被告がプログラム気砲弔い栃製、使用するに当たって、原告の許諾があることは当事者間に争いはないことから、被告がプログラム気亡悗靴栃製権を侵害したとの主張は主張自体失当であると判断しています(11頁以下)。

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2 プログラム兇坊犬訐禅瓩旅糧

(1)プログラム兇坊犬覲発委託料の請求

原審では、原告がプログラム供淵献絅縫普及指導員名簿、地域会名簿、販売書籍売上げ、金種計算等のプログラム)の開発・製作と主張する作業の内容は、被告が使用しているデータベースソフトにおけるデータの入力・出力の設定を変更して被告の使い勝手に合わせる作業であって、それ自体独立したソフトウェアの開発・製作と評価できるようなものではないとして、原告の主張するプログラム兇粒発委託契約の成立は認められず、プログラム兇粒発委託料960万円の請求は理由がない、と判断されていました。
控訴審でも原告被告ともにプログラム兇虜鄒は、本件保守契約における保守業務の一環として行われる作業と理解していたと認めるのが相当であるとして、開発委託契約の成立を認めず、原審の結論が維持されています。

(2)プログラム兇諒製権侵害性

プログラム兇蓮▲廛蹈哀薀爿気離愁侫箸某靴燭糞’修鯢娉叩⊇だ阿鮖椶靴燭發里版Г瓩蕕譴襪箸海蹇∨楫鐐款攀鬚砲茲辰討皀廛蹈哀薀爿兇著作権法2条1項1号、10号の2、10号の3各所定の「著作物」、「プログラム」及び「データベース」に該当することを認めるに足りる証拠はないと控訴審は判断。
したがって、原告がプログラム兇涼作権を有することを前提とした複製権侵害による損害賠償請求は理由がないとされています。

そのほか、プログラム兇寮什遒坊犬訐蘇薹戚鵑亡陲鼎報酬請求や不当利得返還請求の肯否についても原審の判断が維持されています。

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■コメント

業務管理に資するプログラムを構築したプログラマーと製作を委託した法人の間の契約関係を巡って紛争になった事案です。
グラフやスプレッドシートの作成ができるパッケージソフトでデータベースソフトウェアのファイルメーカーを利用して作成されたプログラムであっても、必ずしも著作物性が否定される訳では無く、著作権登録の対象にもなりますが、今回の著作物については、(仮に何らかの著作権を有するとしても、と微妙な言い回しがされていますが)基本的にプログラムやデータベースとしての著作物性が否定されています。
原審では、プログラム著作物の職務著作性(15条2項)が争点とされ、肯定されていますが、原告の業務の関わり方として職務著作性を肯定できるかどうかは議論の余地がありそうです。

なお、原審の判決が出された当時は原審判決文の最高裁サイトでの公開がありませんでしたが、控訴審判決文の公開に併せて、原審の判決文が参考判決として添付掲載されています。

written by ootsukahoumu at 08:07│TrackBack(0)知財判決速報2013 

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