Tweet

2013年10月15日

「風にそよぐ墓標」事件(控訴審)−著作権 著作権侵害差止等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「風にそよぐ墓標」事件(控訴審)

知財高裁H25.9.30平成25(ネ)10027著作権侵害差止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官      田中正哉
裁判官      神谷厚毅

*裁判所サイト公表 2013.10.08
*キーワード:ノンフィクション、創作性、許諾、複製権、翻案権、譲渡権、出版社

   --------------------

■事案

ノンフィクション作品での参考書籍の転載に関して許諾を得ていたかどうかが争点となった事案の控訴審

控訴人(一審被告) :作家、出版社
被控訴人(一審原告):個人

   --------------------

■結論

控訴棄却、一部変更

   --------------------

■争点

条文 著作権法2条1項1号、15号、21条、27条、26条の2、19条、20条、112条、114条3項

1 被控訴人の著作権の侵害の成否
2 被控訴人の著作者人格権の侵害の成否
3 控訴人らの故意又は過失の有無
4 被控訴人の損害の額

   --------------------

■事案の概要

『本件は,被控訴人が,控訴人Xが著述し,控訴人集英社が発行する原判決別紙書籍目録記載の書籍(以下「控訴人書籍」という。)に被控訴人の著述した書籍の複製又は翻案に当たる部分があり,その複製及び頒布によって被控訴人の著作権及び著作者人格権が侵害されたとして,控訴人らに対し,著作権法112条に基づき,控訴人書籍の複製,頒布の差止め及び廃棄を求めるとともに,民法709条及び719条に基づき,著作権侵害による著作権利用料相当損害金として168万円,著作権侵害及び著作者人格権侵害による慰謝料として各150万円,弁護士費用として50万円の合計518万円及びこれに対する不法行為後の日である平成23年10月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
 原審は,原判決別紙対比表の被告書籍欄記載の各記述(以下「控訴人各記述」といい,個別の記述は同表の記述番号欄記載の番号に従い,順次「控訴人第1記述」などという。)のうち,同表の当裁判所の判断欄に「○」印の付された各記述が,同表の原告書籍欄記載の各記述(以下「被控訴人各記述」といい,個別の記述は同表の記述番号欄記載の番号に従い,順次「被控訴人第1記述」などという。)のうち,当裁判所の判断欄に「○」印の付された各記述の複製又は翻案に当たると認め,控訴人らに対し,複製又は翻案に当たると認められた控訴人各記述のある第3章(113頁ないし160頁)を不可分的に含む控訴人書籍の複製,頒布の差止め及び廃棄,著作権利用料相当損害金2万8560円,慰謝料50万円及び弁護士費用5万2856円の合計58万1416円並びにこれに対する遅延損害金の支払を命じる限度で被控訴人の請求を認容し,被控訴人のその余の請求をいずれも棄却した。
 控訴人らはこれを不服としていずれも控訴し,上記控訴の趣旨記載の判決をそれぞれ求めた。したがって,当審における審理判断の対象は,原審において被控訴人各記述の複製又は翻案に当たると認められた控訴人各記述に関する著作権及び著作者人格権侵害の成否等である。 』(2頁以下)

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 被控訴人の著作権の侵害の成否

(1)控訴人各記述は被控訴人各記述を複製又は翻案したものであるか

控訴人(原審被告)各記述が被控訴人(原審原告)各記述を複製又は翻案したものであるか否かについて、控訴審裁判所は、控訴審で審理の対象となった17カ所のうち、3カ所(記述8、15、16)は表現上の創作性がないと判断。
それ以外の部分についても、控訴人Xはいずれも事実の記載であったり、表現がありふれているものであるとして、複製又は翻案にあたらないと反論していましたが、原審同様、控訴審裁判所は複製又は翻案を認めています。
結論として、依拠性並びに複製又は翻案が認められています(6頁以下)。

(2)控訴人Xは複製又は翻案及び譲渡に係る利用の許諾を得たか

原審同様、被控訴人から明示又は黙示の利用許諾を得ていたと認めるに足りる証拠はないと判断されています(26頁)。

結論として、著作権侵害性の判断が維持されています。

   --------------------

2 被控訴人の著作者人格権の侵害の成否

原審同様、著作者人格権侵害性が認められています(26頁以下)

   --------------------

3 控訴人らの故意又は過失の有無

原審同様、控訴人らの過失が認められています(27頁)。

   --------------------

4 被控訴人の損害の額

原審で複製又は翻案されたと認定された部分は、約4.8頁(86行÷18行/1頁 総頁数の1.7%)でしたが、控訴審では3カ所減った(4.38頁分(79行÷18行/1頁 総頁数の1.5%))ことから、弁護士費用を含め損害額が減額されています(58万1416円から57万7720円へ減額)。

結論として、原審同様、控訴人書籍の複製、頒布の差止め及び廃棄並びに損害賠償の判断が維持されています。

   --------------------

■コメント

原審と異なり対比部分のうちの3カ所は表現上の創作性がないと判断されましたが、利用許諾が認められないとする判断は原審と同様となっています。

   --------------------

■過去のブログ記事

原審記事

   --------------------

■参考判例

原審判決文PDF
別紙対比表

   --------------------

■参考サイト

門田隆将オフィシャルサイト kadotaryusho.com
ブログ「夏炉冬扇の記」
裁判官は「日本」を滅ぼす(2013.09.30)
written by ootsukahoumu at 11:13│TrackBack(0)知財判決速報2013 

トラックバックURL