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2013年06月27日

「受話器の象徴」デザイン国賠事件(控訴審)−著作権 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「受話器の象徴」デザイン国賠事件(控訴審)

知財高裁平成25.6.20平成25(ネ)10015損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 土肥章大
裁判官      大鷹一郎
裁判官      齋藤 巌

*裁判所サイト公表 2013.6.26
*キーワード:登録制度、形式審査、著作物性、信義則

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■事案

著作権移転登録申請を行った際の文化庁長官の行為に違法があるとして争った事案の控訴審

控訴人(一審原告) :個人
被控訴人(一審被告):国

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法77条1号、国賠法1条1項

1 文化庁長官の行為が国家賠償法上違法であるか否か

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■事案の概要

『本件は,著作物の題号を「受話器の象徴」とする6点の図柄について著作権の移転登録を受けた控訴人が,その登録申請に際し,文化庁長官に違法行為があったことにより,登録免許税相当額等の損害を被ったなどと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償及び訴状送達の日の翌日以降の遅延損害金の支払を求める事案である。』
『原判決は,文化庁長官の行為に違法はないとして,原告の請求を棄却した。そこで,控訴人は,これを不服として控訴した。』(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 文化庁長官の行為が国家賠償法上違法であるか否か

著作権の移転登録申請があった際の文化庁長官の法的義務について、原審では、
『文化庁長官や文化庁の担当職員が,法77条1号に規定する「著作権の移転登録」を申請した登録申請者に対して,登録をしたからといって,登録申請に係る著作物は「著作権法上の著作物にあらず」,「著作権の権利者という地位は保証されない」旨を説明すべき説明義務を負うことを定めた法令や根拠はなく,また,仮に文化庁長官が「著作物でないもの」や「著作物かどうか不明なもの」を著作権登録しているという事実を認識しているとしても,これにより文化庁長官が上記のような義務を負うこととなるわけではない』(3頁)旨判示していました。

控訴審においても、
『(文化庁長官は)却下事由(著作権法施行令23条1項各号)の有無を審査し,却下事由が認められないときは,登録の申請の受付けの順序に従って著作権の移転登録を行うものとされているが(著作権法施行令22条),この却下事由には,移転登録の対象とされた著作権の客体が法2条1項1号の「著作物」に該当しないことは含まれていないから,文化庁長官の審査権は,上記「著作物」の該当性に及ぶものではない』
『著作権の移転登録は,当事者の意思表示によって生じた著作権の権利変動を公示し,第三者に対する対抗要件となるものではあるが,移転登録の対象とされた著作権が発生していることや,その著作権の客体が法2条1項1号の「著作物」に該当することを公示すらするものでないことは,著作権の移転登録の制度上明らかであるから,文化庁長官は,著作権の移転登録申請があった際に,申請者に対し,その申請に係る登録がされたからといって著作権が発生するものではないとか,著作権の権利者という地位が保証されるものではないなどの説明を著作権の移転登録事務を担当する文化庁の担当職員(本件担当職員)にさせるべき職務上の法的義務を負うものとはいえないし,文化庁長官がかかる法的義務を負うものとする法令の定めや根拠はない。』
と説示。

文化庁長官がかかる法的義務を負うことを前提として文化庁長官の行為が国家賠償法1条1項の適用上違法となるとする控訴人の主張は、その前提を欠くものとして理由がない、と判断しています(4頁以下)。

その他、信義則に基づく説明義務や施行令等の無効性の点についての控訴人の主張も退けられています。

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■コメント

「受話器の象徴」事件の控訴審となりますが、原審の判断が維持されています。

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■過去のブログ記事

原審
written by ootsukahoumu at 06:44│TrackBack(0)知財判決速報2013 

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