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2013年06月13日

勝沼ワイナリー案内看板事件−著作権 著作物頒布広告掲載契約に基づく著作物頒布広告掲載料未払請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

勝沼ワイナリー案内看板事件

東京地裁平成25.6.5平成24(ワ)9468著作物頒布広告掲載契約に基づく著作物頒布広告掲載料未払請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 大須賀滋
裁判官      西村康夫
裁判官      森川さつき

*裁判所サイト公表 2013.6.11
*キーワード:著作物性、創作性

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■事案

ワイナリーへの案内看板の図柄の著作物性が争点となった事案

原告:広告看板制作会社
被告:ワイン製造販売会社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号

1 本件図柄の著作物性

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■事案の概要

『別紙目録記載の図柄(以下,それぞれ「図柄1」などという。)につき著作権を有すると主張する原告が,被告は,上記図柄を案内用看板に表示して使用し,上記図柄に係る原告の著作権を侵害していると主張し,被告に対し,著作権侵害の不法行為責任に基づく損害賠償として,200万円及びこれに対する平成24年3月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案』(1頁)

<経緯>

H10 原被告間で案内看板設置、管理委託契約締結
    被告が別の業者に依頼して図柄を変更、設置
H24 原告が広告掲載料等の未払金400万円支払通知

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■判決内容

<争点>

1 本件図柄の著作物性

平成10年頃から被告が経営するワイナリーへの案内看板の設置、管理を被告が原告に委託していましたが、その後被告が別の業者に案内板設置を依頼。その際当初の図柄(本件図柄)の字体や文字の配列の一部を変更した上で距離や方角等を示す文字などを付加しました。
原告は、本件図柄に関する著作権に基づいて二次使用料を請求。これに対して、被告は、本件図柄の著作物性や著作者性、著作権の帰属といった点について反論をしました。
そこで裁判所は、本件図柄の著作物性についてまず判断をしています。

本件図柄は、
『やや紫がかった青色の横長の長方形の中に,縦横の長さがそれぞれその3分の2程度を占める大きさの白色のグラスを配置し,上記グラスのボウル内に,背景色と同色で,「シャトー勝沼」の文字を上下二段に分けて横書きし,さらに,グラス上方に,「シャトー勝沼」よりもやや小さい黄色の丸ゴシック文字で,アーチ状に「ワイナリー/工場見学」の文字を横書きしたもの』(8頁)

といった内容の図柄で、

『本件図柄は,上記のとおり,背景色の中に,白色のグラスを大きく配置したものであるが,本件図柄が,被告の運営するワイナリー等への案内看板の図柄として制作されたものであること(前記前提事実(2))を考慮すれば,その図柄にグラスの形状を採用することはありふれたものというべきである。また,上記グラスの形状は,通常のワイングラスよりもプレート部分がやや大きく,軸が短いものであるということができるが(乙11),上記形状は,グラスとして通常見られるものの域を出るものではないというべきであって,このような点に,作成者の個性の表出は認められない。』

『また,本件図柄は,上記のとおり,グラスのボウル内に「シャトー勝沼」の文字を上下二段に分けて横書きで配置し,グラスの上方に,アーチ状に「ワイナリー/工場見学」の文字を配置したものであり,これらの文字は,見やすく分かりやすいよう配置され,表示されているものということができる。しかし,本件図柄の案内看板としての性質上,本件図柄の中に,被告の社名である「シャトー勝沼」の文字や,「ワイナリー/工場見学」の文字を含むことは当然のことであり,これらを見やすく,分かりやすい位置に配置することも,その性質から当然に要求されるものというべきである。また,文字をグラスのボウル内に配置することや,アーチ状に配置することもありふれたものであり,作成者の個性の表出を感じられるものではない。そうすると,上記文字の配置・表示は,案内看板における文字の配置・表示としてありふれたものというべきであり,創作性は認められない。』(8頁以下)

として、図柄、文字の配置・表示の点で創作性(著作権法2条1項1号)が認められないと判断。文字の書体や図柄の配色の点も含め創作性が否定されています。

結論として、本件図柄に関する著作権侵害性が否定されています。

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■コメント

本人訴訟ということもあって、原告主張内容が整理されていない部分もありますが、案内看板の図柄の著作物性が否定された事案となります。
裁判所サイトに看板図柄の画像がアップされていないので、判決文からは図柄がよく分からないのですが、判決文にある10カ所の案内看板設置場所住所をGooglemapで検索してストリートビューで見てみますと、ワイナリー入口などにそれに該当(類似)すると思われる大きな看板があることが分かります。
20130612_094838

ありふれているデザインという印象ではありますが、仮に著作物性が認められたとしても、広告委託料は、図柄の価値というより看板制作や設置、管理費用が大半を占めるのではないかと思われます。

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■参考画像

「ovanの社会科見学」ブログ(2013/1/18 クラブツーリズムの旅)シャトー勝沼画像参照 画像

written by ootsukahoumu at 08:13│TrackBack(0)知財判決速報2013 

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