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2012年02月17日

「生命の實相」書籍著作権事件(控訴審)−著作権 損害賠償等、著作権侵害差止等、出版権確認等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「生命の實相」書籍著作権事件(控訴審)

知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10028損害賠償等、著作権侵害差止等、出版権確認等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官      池下 朗
裁判官      武宮英子

*裁判所サイト公表 2012.2.3
*キーワード:著作権譲渡、出版契約、印税、著作権表示、著作権登録、消滅時効、権利の濫用、死後の人格的利益の保護、取得時効

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■事案

生長の家創始者谷口雅春氏(故人)の著作「生命の實相」に関する著作権の帰属や出版契約等を巡って争われた事案の控訴審

控訴人(原審第2事件原告):宗教法人
控訴人(原審第2事件原告):創始者実娘X
控訴人・附帯被控訴人(原審第1事件被告・第3事件原告):出版社
被控訴人・附帯控訴人(原審第1事件原告・第2事件被告・第3事件被告):社会事業団
被控訴人(原審第2事件被告・第3事件被告):出版社

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■結論

控訴棄却、附帯控訴棄却

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■争点

条文 著作権法61条、60条、79条、63条、民法723条、163条

第1事件
1 原告社会事業団の設立による本件(1)の各書籍の著作権の移転の有無
2 本件(1)の各書籍についての著作権使用(出版)契約に基づく印税請求権の発生の有無
3 印税請求権の消滅時効の成否
4 謝罪広告掲載請求の可否等


第2事件
1 原告生長の家による本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権の取得の有無等
2 亡Aの死後の人格的利益の侵害行為の有無
3 謝罪広告掲載請求の可否
4 本件(2)の各書籍2の著作権についての管理合意の有無


第3事件
1 本件(3)の各書籍についての出版権の設定の有無
2 解約の成否


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■事案の概要

『(1)原審の事案の概要
ア 原審第1事件
 原告社会事業団は,(1)亡Bが戦前に創作した多数の著作物の集合体としての「生命の實相」の著作権は,亡Bが原告社会事業団の設立者として行った寄附行為の寄附財産であって,原告社会事業団に帰属しているところ,同原告は,上記「生命の實相」に属する書籍をそれぞれ復刻した復刻版である本件(1)の書籍1及び本件(1)の書籍2について,被告日本教文社との間で著作権使用(出版)契約を締結したが,印税(著作権使用料)に未払がある,(2)本件(1)の書籍1の著作権者は原告社会事業団であるのに,被告日本教文社が原告社会事業団に無断で本件(1)の書籍1に真実と異なる著作権表示を行ったことが不法行為を構成するなどと主張して,被告日本教文社に対し,著作権使用(出版)契約に基づき,印税の支払を求めるとともに,民法723条に基づき,別紙謝罪広告目録1記載の謝罪広告の掲載を求めた。
イ 原審第2事件
 原告生長の家及び亡Bの遺族である原告Xは,(1)亡Bが戦前に創作した著作物である「生命の實相 <黒布表紙版>」(全20巻)及び本件(1)の書籍1について,原告生長の家が,亡Bを相続した共同相続人から著作権(共有持分)の遺贈及び売買による譲渡を受けたから,当該著作権は原告生長の家に帰属する,(2)本件(2)の各書籍は,第2事件被告ら(原告社会事業団及び被告光明思想社)が「生命の實相<黒布表紙版>」の第16巻として出版された「神道篇 日本国の世界的使命」から「第1章 古事記講義」を抜き出し,別の題号を付して共同で出版したものであるが,亡Bは,戦後に「生命の實相」として出版された書籍から,第16巻を削除していることに照らすと,第2事件被告らへの出版の許諾を撤回したものと認められるから,第2事件被告らによる本件(2)の書籍1の出版は,原告生長の家の著作権(複製権)を侵害するとともに,亡Bが存命であればその著作者人格権(同一性保持権)の侵害となるべき行為(著作権法60条)に該当し,これにより亡Bの声望が害された,(3)原告生長の家と原告社会事業団は,本件(2)の各書籍2について,原告生長の家がこれらの出版その他の利用の管理を決定する旨の合意をしたなどと主張し,原告生長の家及び原告Xにおいて原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,著作権法112条1項,2項(原告Xにつき更に同法116条1項)に基づき,本件(2)の書籍1の出版等の差止め及び廃棄を,民法723条又は著作権法115条及び116条1項に基づき,別紙謝罪広告目録2記載の謝罪広告の掲載を,原告生長の家において原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,不法行為に基づく損害賠償を,原告生長の家において原告社会事業団に対し,原告生長の家が本件(1)の書籍1の著作権を有することの確認を,上記合意に基づき,本件(2)の各書籍2について原告生長の家の承諾なく,その出版権の設定及び消滅を行うことの禁止を求めた。
ウ 原審第3事件
 被告日本教文社は,本件(3)の各書籍について,原告社会事業団との間の出版契約に基づいて出版権の設定を受けたにもかかわらず,原告社会事業団及び被告光明思想社が,被告日本教文社に無断で,本件(3)の書籍31ないし34について出版及び販売を行い,本件(3)の書籍1ないし15について出版を行うおそれがあるなどと主張して,原告社会事業団に対し,被告日本教文社が本件(3)の各書籍の出版権を有することの確認を,原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,著作権法112条1項に基づき,本件(3)の書籍1ないし15,31ないし34の出版等の差止めを求めた。
(2)原判決の内容
ア 原審第1事件について
 原審は,原告社会事業団は,その設立により亡Bから「生命の實相」の著作権の移転を受けたものと認定し,(ア)未払印税請求は,原告社会事業団は被告日本教文社に対し,本件昭和49年契約に基づき印税の支払請求権を取得したが,本件(1)の書籍1の未払印税50万円を除き消滅時効が完成した,(イ)謝罪広告掲載請求は,被告日本教文社の誤った著作権表示により原告社会事業団の社会的評価が低下したものとはうかがわれないから理由がないと判示して,原告社会事業団の請求のうち,本件(1)の書籍1の未払印税50万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成21年3月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払請求の限度で認容した。
イ 原審第2事件について
 原審は,(ア)著作権に基づく請求については,原告生長の家が本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権を取得したとは認められず,(イ)原告Xの著作権法60条に基づく請求については,本件(2)の書籍1の出版により亡Bの声望が害されたとは認められず,(ウ)謝罪広告掲載請求については,本件(2)の書籍1の出版が著作者が存命であればその著作者人格権(同一性保持権)の侵害となるべき行為に該当せず,原告社会事業団及び被告光明思想社が「生長の家」の布教活動を不当に妨害する行為又は原告生長の家の名誉を侵害する行為をしたとは認められず,(エ)原告生長の家と原告社会事業団との,原告生長の家が本件(2)の各書籍2の出版その他の利用の管理を決定する旨の合意に基づく請求については,そのような合意があったとは認められないから,いずれも理由がないと判示した。
ウ 原審第3事件について
 原審は,(ア)本件(3)の書籍1ないし30,32について,被告日本教文社,原告生長の家及び原告社会事業団が本件合意(2)又は独占的排他的な出版権設定合意を含む本件各出版使用許諾契約をしたとは認められず,(イ)本件(3)の書籍31,33及び34について,原告社会事業団が被告日本教文社に対し独占的排他的使用権を設定する契約を締結したことは認められるが,原告社会事業団の解約により効力を失ったから,被告日本教文社の出版権確認請求及び出版等の差止請求は理由がないと判示した。
(3)控訴の内容
 原告生長の家,原告X及び被告日本教文社は,原判決中の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。また原告社会事業団は,附帯控訴して,債務不履行又は不法行為に基づき,本件(1)の書籍1の18版及び19版の誤った著作権表示の訂正,弁護士費用及び誤った著作権表示による権利侵害状態についての損害賠償を求めた』事案(4頁以下)

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■判決内容

<争点>

第1事件
1 原告社会事業団の設立による本件(1)の各書籍の著作権の移転の有無
2 本件(1)の各書籍についての著作権使用(出版)契約に基づく印税請求権の発生の有無
3 印税請求権の消滅時効の成否
4 謝罪広告掲載請求の可否等


第2事件
1 原告生長の家による本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権の取得の有無等
2 亡Aの死後の人格的利益の侵害行為の有無
3 謝罪広告掲載請求の可否
4 本件(2)の各書籍2の著作権についての管理合意の有無


第3事件
1 本件(3)の各書籍についての出版権の設定の有無
2 解約の成否


各争点について、原審の判断が維持されています(11頁以下)。
なお、控訴人らは亡Bの相続人らの(1)の書籍に係る著作権の時効取得が成立したと追加的に主張しましたが、裁判所は複製権等を独占的、排他的に行使する状態を継続している事実や他の者に対する著作権の行使を排除した事実を主張、立証したと認めることはできないとして容れていません(12頁以下)。また、附帯控訴における被控訴人社会事業団の控訴人日本教文社に対する損害賠償金の支払請求、訂正措置ないし訂正広告請求の点についても、これを認めていません(14頁以下)。

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■コメント

第1事件について50万円の限度で印税請求が認められた原審の判断が控訴審でも維持されています。

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■過去のブログ記事

2011.3.22記事 原審

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■参考サイト

生長の家 ニュースリリース(2012.1.31)
生長の家社会事業団等との訴訟の判決について

日本教文社 総合情報ページ(2012.2.1)
生長の家社会事業団等との訴訟について

光明思想社 完全勝訴のお知らせ(2012.1.31)
第2審全面勝訴のお知らせ

著作権仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件(棄却決定)
知財高裁平成24年1月31日平成23(ラ)10003

生長の家社会事業団
生長の家社会事業団の護法の運動

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■追記(2013.12.8)

平成25年5月27日上告棄却決定(最高裁平成24年(オ)830、平成24年(受)1006)
生長の家社会事業団等との訴訟の結果について(宗教法人「生長の家」 平成25年5月31日)
生長の家社会事業団等との訴訟の結果について(株式会社日本教文社 平成25年6月6日)

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■追記(2014.3.11)

別件訴訟(著作物利用権確認請求事件)
東京地裁26.2.7平成25(ワ)4710著作物利用権確認請求事件

written by ootsukahoumu at 07:16│TrackBack(0)知財判決速報2012 

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