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2010年07月02日

音楽CD見本品販売事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

音楽CD見本品販売事件

東京地裁平成22.6.2平成21(ワ)36373損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 大須賀滋
裁判官      坂本三郎
裁判官      岩崎慎

*裁判所サイト公表 2010.6.29
*キーワード:複製権、譲渡権、レコード製作者、著作隣接権

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■事案

音楽CDの出来上がり見本を無断販売した行為の複製権侵害性などが争点となった事案

原告:作詞作曲者
被告:音楽CD制作会社

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法21条、26条の2、97条の2

1 被告によるCDの無断複製・販売の有無
2 原告の販売許諾の有無
3 損害論

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■事案の概要

『別紙物件目録記載のCDのレコード製作者であり,当該CDのジャケット等についての著作権者である原告が,被告が無断で当該CD及びジャケット等を複製・販売し,CDにつき原告の著作隣接権(レコード製作者の複製権及び譲渡権)及びジャケット等につき原告の著作権(複製権及び譲渡権)を侵害したとして,民法709条に基づき,損害賠償金510万円及びこれに対する被告による最後の不法行為の日である平成19年12月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案』(1頁以下)

<経緯>

H15.3 原告が被告にCD500枚制作を依頼
H15.4 原告が被告にCD500枚制作を依頼
H17.1 原告が被告にCD500枚制作を依頼
H18.1 原告が被告にCD300枚制作を追加依頼
H18.2 原告が被告にCD500枚制作を依頼

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■判決内容

<争点>

1 被告によるCDの無断複製・販売の有無

原告が作詞作曲、実演するなどした音源や、原告に著作権が帰属するCDジャケット等のデザインを提供して原告は被告に販売用CDの制作を依頼しました。被告は、CDプレス業者から発注分のほかに出来上がり見本としてCD4作品について各3枚ずつ、合計12枚の見本盤の提供を受け、このうちの数枚を被告が販売していました。

(1)被告によるCDの無断複製の有無

出来上がり見本の制作が無断複製にあたるかどうかについて、裁判所は、本件のようなCD複製品の作成を依頼する取引においては見本作成は通常のことであって、原告の依頼と無関係に作成されたものであると認められないとして、違法に複製したものではないと判断しています(8頁以下)。

(2)被告による各複製CDの販売枚数

被告による本件複製CDの販売枚数については、出来上がり見本12枚のうち、合計7枚と認定されています(9頁)。

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2 原告の販売許諾の有無

原被告間で本件各CDの複製品の卸販売について契約締結に向けた交渉が持たれた経緯がありましたが、販売許諾の合意の成立が認められず、原告の販売許諾に基づいた販売であったとの被告の主張は容れられませんでした(9頁以下)。

結論として、CDの無断販売としてジャケット等の著作権(譲渡権)侵害とレコード製作者の譲渡権侵害が認められています。

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3 損害論

CDの無断販売について被告に少なくとも過失があること、また、原被告間で卸販売について定価の7割で卸すという点については合意していたことを前提に、

定価3000円×7割×販売数7枚=14700円

が原告の財産的損害であると認定されています(10頁以下)。

なお、慰謝料等その他の請求については認められていません。

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■コメント

音楽CDの無断販売行為について、譲渡権侵害だけ肯定された事案となります。

原告の楽曲はフィットネス・エクササイズ用途の音楽で、こちらのサイトで視聴することができます。

LET’S! ENJOY EXERCISE No,2 おとやトレーディング

原告は、自ら策定した原盤使用料規程やジャケット印刷物使用料規程などに基づいて400万円以上の損害額を主張していますが、これでは非のある被告としてもどうにも折り合いようがないところです。
原告としても、損害額として認容されたのが卸価格相当額ですし、訴訟費用も99/100で、なかなかに厳しい結果となっています。

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■参考サイト

原告レーベル
MARKY in sky-pro
written by ootsukahoumu at 05:23│TrackBack(0)知財判決速報2010 

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