最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「バッジを外せ!!リングを降りろ!!」出版契約事件(控訴審)

知財高裁平成22.6.2平成22(ネ)10016著作権使用料等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官      本多知成
裁判官      荒井章光

*裁判所サイト公表 2010.6.3
*キーワード:出版契約、プロモート印税、名誉毀損

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■事案

元プロレスラーが寄稿した記事の原稿料の不払いの有無や名誉毀損の成否が争われた事案の控訴審

原告(控訴人) :元プロレスラー
被告(被控訴人):プロモーター
           出版社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 民法415条、709条

1 原稿料請求権の存否及びその額
2 名誉毀損等の不法行為の成否及びその賠償額

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■事案の概要

『本件は,プロレスラーである控訴人の出版関連事業を行っている被控訴人ら(その略称は,原審の審級に応じた部分を当審の審級に応じて読み替えるほか,以下,本判決において訂正する場合を除き,原判決に従う。)に対する次の(1)ないし(5)の請求からなる事案である。
(1) 控訴人が被控訴人スポーツに本件原稿を寄稿し,被控訴人インフォレストがこれを本件記事にして本件書籍に掲載して出版したことを原因として,原稿料として,被控訴人らに対して連帯して68万円及びその遅延損害金の支払を求める請求
(2) 本件書籍の表題中に「プロレス八百長伝説」との語句が入れられたことによって控訴人の名誉が毀損されたとして,不法行為(以下「不法行為1」という。)に基づく損害賠償として,被控訴人らに対して連帯して25万円及びその遅延損害金の支払を求める請求
(3) 本件書籍において,本件記事とともにA元議員のメールアドレス(以下「本件メールアドレス」という。)が掲載されたことにより,同人から控訴人を告訴したと発表され,控訴人の名誉が毀損される事態を招いたとして,不法行為(以下「不法行為2」という。)に基づく損害賠償として,被控訴人らに対して連帯して25万円及びその遅延損害金の支払を求める請求
(4) 被控訴人らが,被控訴人スポーツの虚偽の住所を控訴人に知らせることで訴訟提起を困難にしたとし,不法行為(以下「不法行為3」という。)に基づく損害賠償として,被控訴人らに対して連帯して10万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める請求
(5) 被控訴人インフォレストが,控訴人について「みずからの優柔不断を棚に上げ」と記載した書面を送付したことにより控訴人を侮辱したとして,不法行為(以下「不法行為4」という。)に基づく損害賠償として,同被控訴人に対して10万円及びその遅延損害金の支払を求める請求』(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 原稿料請求権の存否及びその額

原稿料は既に支払い済みで、支払請求権は弁済により消滅していると判断されています(11頁以下)。

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2 名誉毀損等の不法行為の成否及びその賠償額

不法行為1〜4について、いずれもその成立が否定されています(13頁以下)。

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■コメント

ムック本「プロレス八百長伝説 ケーフェイ」の出版契約を巡る紛争の控訴審です。一審の判断が維持されています。
一審の判決が本年1月21日で、控訴審が6月2日判決ですので、4ヶ月程度での早い処理となっています。

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■過去のブログ記事

2010年2月15日記事(原審)
「バッジを外せ!!リングを降りろ!!」出版契約事件