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2009年07月31日

映画「嵩山少林寺」事件控訴審− 著作権 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

映画「嵩山少林寺」事件控訴審

知財高裁平成21.7.29平成21(ネ)10005損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官      東海林保
裁判官      矢口俊哉

*裁判所サイト公表 09/7/30

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■事案

映画「嵩山少林寺」、「CHARON(カロン)」などのビデオグラム化権契約を巡ってその成否、内容が争われた事案の控訴審

原告(控訴人) :映画製作配給販売、企画開発会社
被告(被控訴人):映画、ビデオ、CD製作配給販売会社
           CD、DVD、ソフトレンタル販売会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 民法415条、709条、著作権法21条、18条、4条

1 債務不履行による損害賠償請求権の有無
2 著作権(複製権・頒布権)及び著作者人格権(公表権)侵害による損害賠償請求権の有無

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■判決内容

<争点>

1 債務不履行による損害賠償請求権の有無

映画「嵩山少林寺」と「CHARON(カロン)」「ポチの告白」などのビデオグラム化権(映画をDVDやビデオとして出版する権利)を保有する原告は、これらの映画のビデオグラム化権の譲渡契約について被告と契約が成立している(代金2800万円 最低保証金額)にもかかわらず、被告が代金を支払わないとして被告の債務不履行を主張しました。

一審では、映画のビデオグラム化権の譲渡に関する売買契約の成立が否定されましたが、控訴審でも同様の結論となっています(7頁以下)。

結論として、債務不履行による損害賠償請求は否定されています。

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2 著作権(複製権・頒布権)及び著作者人格権(公表権)侵害による損害賠償請求権の有無

原告は、映画DVDの販売予告を掲載した雑誌広告やWebへの掲出行為の著作権(複製権、頒布権)侵害性に加えて、「CHARON(カロン)」についてはビデオグラムとして未公表であったとして原告の公表権(著作者人格権)を侵害する旨をさらに主張しました(11頁以下)。

しかし、裁判所は、原告が被告に対して「嵩山少林寺」「CHARON(カロン)」を複製・頒布すること(より具体的にはDVD化して販売すること)について許諾していること、そしてそれを前提とした雑誌広告掲載などであるとして被告の著作権侵害性(著作権法21条、26条)を否定。
さらに、「CHARON(カロン)」は平成17年頃から各種映画祭などに出品・上映されていることなどから平成18年3月当時において公表権を問題にする余地はないとして、著作者人格権侵害性(著作権法18条)も否定しています。

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■コメント

代理人弁護士を変更して控訴審に臨まれた高橋玄監督でしたが、原判決の事実認定を覆すまでには至りませんでした。

原審では、映画のDVD化合意について、その合意の可能性を指摘するに留まっていましたが(原判決17頁参照)、控訴審では合意の成立(350万円交付がDVD化合意の意味合いを持つこと)が認められています(8頁以下参照)。

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■過去のブログ記事

2008年12月09日記事(原審)
映画「嵩山少林寺」事件

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■参考サイト

映画監督・高橋玄の公式ブログ「隠された毎日」
京都の夜と裁判官(2009-07-31記事)
イーエス控訴審弁論終了(2009-06-24記事)

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written by ootsukahoumu at 09:48│TrackBack(0)知財判決速報2009 

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