学術論文のなかで「引用すること」の意味を問いかける本書(2009年4月15日刊行)は、林紘一郎先生と名和小太郎先生が章ごとに分担された共著本です(本文208ページ)。

本文の他に、付録2として読書案内が掲載されていたりして(たとえば、ウンベルト・エーコ「論文作法-調査・研究・執筆の技術と手順」など)、全体としてとても興味深い、かつ読んでいて楽しい内容となっています。

引用はハウツーであると同時に,人間性が現れる」(本書15頁以下)

とは、まったくそのとおりで、どんなに学会で嫌みな先生の論文であっても、自分の論文に必要不可欠なら無視はできません。
無視して書いている論文をみれば、研究のレベルよりむしろ、そのひとの人間性(度量の狭さ)がみんなにわかってしまいます(笑)

引用の形式的な方法論は、著作権法や判例のありかた以前に指導教授の論文や著書の校正を任されていくつかやっていけば、指導教授のお作法として自ずと身につくかと思いますが、実質的なところ(検索の質や引用の適合性など)は、それこそ論文のコアな部分にかかわるので、いつまでも課題の残るところです。

引用する極意引用される極意
引用する極意引用される極意