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2009年01月20日

新刊案内 安藤健二「封印作品の憂鬱」(洋泉社)

著作権問題などで、その後の公表、流通が困難になってしまった作品
の背景に迫ったルポルタージュ。
「封印作品の謎」「封印作品の闇」に続く「封印三部作」となる安藤健二
さん執筆の本書は、2008年12月1日に刊行されました。

封印作品の憂鬱
封印作品の憂鬱

本書の内容としては、日本テレビ版「ドラえもん」作品と「ウルトラ6兄弟
VS怪獣軍団
」作品、そして、みずのまこと版「涼宮ハルヒの憂鬱」作品
の3つが取り上げられています。

ウルトラマン(「ウルトラ」シリーズ)版権の海外ライセンス契約については、
タイの実業家と円谷プロとの間で紛争となって、ライセンス契約の有効性
について、日本での裁判ではその有効性が認められた(7シリーズの作品
と2つの映画の海外利用権がタイの実業家にある)のに対して、タイの最高
裁判所(2008.2.5)では逆に契約書は無効と判断されるという複雑な状況
になっています。

ライセンス契約書に円谷プロの代表者印ではなく、円谷エンタープライズ
の代表者印が使われた事情など、双方の思惑や当時の制作現場、タイの
状況などが良く分かります(本書「第二章 白猿の暗黒舞踏『ウルトラ6兄弟
VS怪獣軍団』」115頁以下参照)。
これらの周辺事情について取材を重ねている本書は、判例の事案理解の
うえでも参考になります。

それにしても、空飛ぶハヌマーン(インド神話で風神の化身)が出てくる
「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」が封印状態というのも残念です。

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■参考判例

ウルトラマン国際裁判管轄事件
最高裁平成13.6.8平成12(オ)929等著作権確認等請求事件判決PDF
東京高裁平成12.3.16平成11(ネ)1106著作権確認等請求控訴事件PDF
東京地裁平成11.1.28平成9(ワ)15207著作権確認等請求事件PDF

差戻し審(ウルトラマン海外ライセンス契約事件)
東京高裁平成15.12.10平成15(ネ)1532著作権確認等請求控訴事件PDF
東京地裁平成15.2.28平成13(ワ)12140著作権確認等請求事件PDF
平成16.4.27最高裁三小決定 上告棄却 

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■参考サイト

牛木理一「ウルトラマンの著作権の帰属と海外独占利用権」
牛木内外特許事務所

タイ最高裁判決について(株式会社ティー・ワイ・オー)
当社子会社の勝訴判決に関するお知らせPDF(平成20年2月5日)

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■参考文献

国際裁判管轄の争点について、
吉原省三「著作権確認等請求事件の国際裁判管轄」『村林楼貔萓幻典
     記念判例著作権法
』(2001)925頁以下
道垣内正人「国際裁判管轄-円谷プロ事件」『著作権判例百選第三版
      (2001)234頁以下
松岡 博「著作権存在確認等請求事件の国際裁判管轄 最高裁平成13年6月
    8日第二小法廷判決」『平成13年度重要判例解説』(2002)325頁以下
山本隆司「著作権侵害の準拠法と国際裁判管轄権」『著作権研究』27号
      (2003)193頁以下

written by ootsukahoumu at 09:19│TrackBack(0)著作権文献 

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