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2008年11月29日

粉砕機械設計図事件〜著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

粉砕機械設計図事件

東京地裁平成20.11.20平成18(ワ)23435損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官      平田直人
裁判官      柵木澄子


*裁判所サイト公表 11/25

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■事案

粉砕解砕機器の設計図の著作物性が争われた事案

原告:一般化学粉砕機械設計製造販売会社
被告:粉砕機製作販売会社
    原告会社元取締役ら

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、不正競争防止法2条1項14号、
    会社法330条、356条1項、民法709条


1 被告は原告の設計図をフリーライドしたか

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■判決内容

<争点>

1 被告は原告の設計図をフリーライドしたか

原告は被告が機械設計図を持ち出したり、複製するなどした違法行為が
あると主張しましたが、裁判所は認めていません。

裁判所は、

原告の機械設計図面(甲1ないし35の各奇数番号の図面)は,機械の設計図であって,その性質上主として線を用い,これに当業者間で共通に使用されている記号や数値を付加して二次元的に表現するものであるから,同一の機械を設計図に表現するときは,おのずから類似の表現にならざるを得ない。

このような見地からみたとき,上記機械設計図面については,いずれも,これらが創作的に表現されたものであることを認めるに足りないから,著作権法上保護される著作物であるということはできず,他に,原告が上記機械設計図面の内容につき,排他的な権利を有していることの主張,立証はない。

そうすると,被告会社の機械設計図面(甲2ないし36の各偶数番号の図面)が,原告の機械設計図面(甲1ないし35の各奇数番号の図面)を参照して作成された,類似する図面であるとしても,このことのみで,被告Aらの行為を違法であるということはできない。

として、被告が原告の機械設計図を参照、利用して被告会社の機械設
計図を作成したとしてもこのことのみで被告らの行為をただ乗りによ
る違法行為ということはいえないと判断しています。
(31頁以下)

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■コメント

原告会社を退職した元取締役ら被告が立ち上げた競業会社での
競業行為の不法行為性や原告会社在任中の被告らの忠実義務違
反、善管注意義務違反行為性、不法行為性などが争われました。

結論的には、被告の行為に違法性が認められませんでしたが、
原告の主張内容をみると、被告らの行為を「自由競争の範囲を
逸脱した違法な行為」という論拠で括ってしまっていて不正競
争防止法上の営業秘密性の検討だとか、営業誹謗行為性、さら
に著作権法の要件事実に沿った主張がされていないので、その
点が残念な事案でした。


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■参考文献

中山信弘「著作権法」(2007)62頁以下

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■追記(09.4.3)

控訴審(裁判所サイト09.4.3公表)
知財高裁平成21.3.31平成21(ネ)10001損害賠償等請求控訴事件PDF

控訴棄却
written by ootsukahoumu at 10:48│TrackBack(0)知財判決速報2008 

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