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2008年10月27日

BRAHMAN事件〜著作権 実演家の権利侵害差止請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

BRAHMAN事件

東京地裁平成20.10.22平成19(ワ)9613実演家の権利侵害差止請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官      坂本三郎
裁判官      佐野信

*裁判所サイト公表 10/27

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■事案

ロックバンドBRAHMAN(ブラフマン)がCD原盤を製作したインディ
レーベルに対してCDの製造、販売の差止を求めた事案

原告:BRAHMANバンドメンバー4名
被告:有限会社イレブンサーティエイト(レーベル)

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法91条1項、95条の2第1項、112条1項

1 実演家の録音権、譲渡権の侵害と差止
2 著作隣接権行使の権利濫用性

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■判決内容

<経緯>

H8.5   原告が本件楽曲の著作権をヴァージン・ミュージック・ジャパンに譲渡
      その後、ヴァージンと被告が共同出版契約締結、被告が原盤製作
H9.10.1 ミニアルバム「Wait And Wait」発売
      (イレブンサーティエイト/ホイップ・レコード)
H10.9.1 アルバム「A MAN OF THE WORLD」発売(イレブンサーティエイト)
H11   TOY'S FACTORYと契約
      シングル「deep/arrival time」でメジャーデビュー


参照:ウィキペディア「BRAHMAN」

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<争点>

1 実演家の録音権、譲渡権の侵害と差止

原告らが共同で作詞、作曲した本件楽曲の著作権を音楽出版社の
ヴァージン・ミュージック・ジャパンに譲渡したうえで、原盤製作などに
ついては、ヴァージンと被告レーベルが共同出版契約を締結。
これを前提として、被告レーベルは原告らに本件楽曲の演奏・歌唱
を依頼し、本件レコード(CD)の原盤を被告が製作したという経緯が
ありました。

原告らは、演奏を固定したCD2枚の製造と販売がアーティストの実演家
(performer)の権利としての録音権、譲渡権(著作権法91条1項、
95条の2第1項)を侵害するとしてその製造販売の差止を求めました。

これに対して、被告レーベルは、

単なる演奏家は,当該楽曲の著作権者の意向に反して,演奏契約上の顕著な違反又は人格権の侵害がない限り,著作隣接権の行使として,演奏を固定したレコードの製造の差止めを求めることはできず,原告らも,被告に対して,被告の意向に反して行使できる実演家の著作隣接権を有しない
(4頁)

と、反論しました。

しかし、裁判所は、楽曲の著作権と実演家の著作隣接権は別個独立
の権利であって、実演家が楽曲の著作権者等から演奏の依頼を受け
て演奏をした場合であっても当該楽曲の著作権等に対して当該演奏
が固定されたCDの製造、販売等の差止を求めることができることは
明かであるとして、被告の反論を容れていません。

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2 著作隣接権行使の権利濫用性

さらに、被告レーベルは、原告らの差止請求は、権利の濫用である
と反論しましたが、権利濫用となるべき事情が認められないこと、
また原告らとの間に何らかの契約関係等が存するなどの主張も被告
はしていない、として被告の権利濫用の反論を認めませんでした。
(5頁)

結論として、被告による著作隣接権の侵害を肯定し、CD2枚の製造、
販売の差止を認めました。

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■コメント

判決文からは、ヴァージンとレーベルとの共同出版契約の内容、ヴ
ァージンが楽曲の著作権を取得した経緯、その際の被告レーベルの
役割(ヴァージンが代表出版をとって、原盤制作費はレーベル負担?)
など原盤製作にかかわる契約の詳細が分かりません。

初期の楽曲のCD原盤製作についてレーベルとアーティストとの間の
契約内容がもともと不明確で、アーティストの演奏、歌唱部分にあ
たる実演家としての権利関係についてレーベル側は有効な反論
(CDを製造販売し続けるための根拠となるアーティストの著作隣接権
の譲渡やあるいは利用許諾などの存在の立証)ができなかったものと
思われます。

なお、ブラフマンのジャスラック信託楽曲のうち、「WAIT AND WAIT」収録
の「GREAT HELP」「SWAY」「ROOTS OF TREE」などを含め14曲の著
作権が現在ヴァージンに帰属している(ヴァージンがジャスラックに信託
している)ことがjasracサイトでわかります。

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■参考サイト

BRAHMANオフィシャルサイト
BRAHMAN

myspace:BRAHMAN
MySpace.com - BRAHMAN - JP - Punk - Hardcore - Alternative - www.myspace.com-brahman

トイズファクトリー
TOY'S FACTORY

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■追記08/10/30

ロックアーティストさんに今回の訴訟について
印象を伺ってみました。BRAHMANが
Hi-STANDARDとともに大きな影響を与えた存在で
あることがお話の中からわかりました。
以下、ご承諾をいただきまして、お話の内容を一部
引用します。


『音楽性として、僕の音楽人生で、
TOP5に入る影響を受けたアーチストです。

それと同時に、音楽性とは関係なく、
活動方針、CD発売方法、事務所運営方法 等の
ビジネスモデルとしても、私が法人設立するにあたって、
私がもっとも意識したアーチストでした。

私は、お役に立てずですが成功したスタイル/方法論で、
音楽業界に挑戦したいと考えていました。
周囲には“BRAHMANを目指している”と言っていたくらい、
私にとっては大きな存在でした。

その点で会社設立を手伝っていただいた大塚先生から
BRAHMANに関するメールが来たときにはとても驚きました。

BRAHMANは、ロックバンドとして完全に成功した
アーチストとして位置づけられていると思います。

FUJI ROCK FESTIVAL/ROCK IN JAPAN FESTIVALなどの
国内最大規模のフェスティバルの定期的な出演、
雑誌ロッキング・オン・ジャパンの表紙、
オリジナルアルバムのオリコンチャート入り、
など自身の音楽性を貫きながらも、
確かな実績を多く残しています。

先生のお好きなマキシマム ザ ホルモンの亮君と、
BRAHMANのTOSHI-LOWの対談なども雑誌で企画され、
表紙で特集されていました。


BRAHMANとハイスタンダードは、
インディーズムーブメントを作り上げた2本柱です。

人気絶頂時に解散したハイスタンダードと、
数年経った現在でも第一線で活躍し続けているBRAHMAN。

我々の世代の音楽ファンとしては、
まさに伝説の2組になります。


そして、その2組とも、
後に著作権/原盤権で裁判沙汰になっているとは!!
本当に驚き、私にとっては印象深い出来事でありました。


これはインディーズでの成功を目指しているアーチスト、
またレーベル/事務所にとっても大変インパクトのある話題だ
と思います。』


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■追記(09/3/26)

控訴審

2009年03月26日記事

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■追記09/06/16

BRAHMAN TOSHI-LOW インタヴュー
New Audiogram PREMIUM BRAHMAN

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大塚法務行政書士事務所サイト-音楽著作権-
written by ootsukahoumu at 22:47│TrackBack(0)知財判決速報2008 

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