Tweet

2008年10月22日

黒酵母健康食品比較広告事件〜不正競争防止法 品質誤認表示差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜


最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

黒酵母健康食品比較広告事件

東京地裁平成20.9.30平成18(ワ)17459品質誤認表示差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官      関根澄子
裁判官      杉浦正典

*裁判所サイト公表 10/21

   --------------------

■事案

健康食品の比較広告のなかで表示された成分表示の
品質誤認表示性、営業誹謗行為性が争われた事案

原告:健康食品製造販売会社ら
被告:健康食品販売会社ら

   --------------------

■結論

請求棄却

   --------------------

■争点

条文 不正競争防止法2条1項13号、14号

1 品質誤認表示該当性(2条1項13号)
2 営業誹謗行為該当性(2条1項14号)

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 品質誤認表示該当性(2条1項13号)

黒酵母健康食品の販売にあたり被告らは、カタログに被告
製品の成分分析結果を記載したり会員向け情報誌やホーム
ページには原告製品と成分の含有量を比較した広告を掲載
していました。

分析センターでの分析が「β−1,3−1,6グルカン」の含有量
を測定していないにもかかわらず、被告は商品の含有量として
表示しているとして、こうした表示は虚偽表示であって商品の
品質を誤認させるものであると原告は主張しました。

しかし、結論的には、一般消費者が客観的事実に反する認識
をもたない(35頁)、あるいは当該表示が客観的事実に反する
ことについて、原告は相当程度立証するに至っていない(51頁)
などとして、品質誤認表示性が否定されています。
(32頁以下)

   ----------------------------------------

2 営業誹謗行為該当性(2条1項14号)

原告製品と被告製品を比較した広告(比較表示)において、
原告製品パッケージ表記の成分量と被告の比較表示上の成分
量が異なり過少表示であるとして、被告は記載が虚偽表示で
あると主張しました。

しかし、結論的には、過少表示にあたらず虚偽の表示ではな
く比較広告が原告らを誹謗するものではないとして営業誹謗
行為性が否定されています。
(56頁以下)

   --------------------

■コメント

原告と被告の間では以前、商品の誹謗中傷行為をめぐって
紛争になり、裁判上の和解をしていた経緯がありました
(東京地裁平成16(ワ)2050、平成15(ワ)19555)。

今回の訴訟では、この和解条項違反も争点となりましたが、
被告らによる虚偽表示や誹謗中傷行為がないことから、この
点でも原告の主張は認められていません。

なお、比較広告については、不当表示を規制する景品表示法
第4条1項の観点から公取委よりガイドラインが公表されていて

1. 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
2. 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
3. 比較の方法が公正であること


の3要件を満たすことが求められます。

公正取引委員会:比較広告に関する景品表示法上の考え方(昭和62年4月21日)

景表法からながめてみると、今回の比較広告(比較表示)では、
要件2の部分に問題がありました。

   --------------------

■参考判例

バタフライバブル事件
大阪地裁昭和58.11.16昭和54(ワ)5291PDF

蝶形弁を比較検討した営業技術資料記載事実の虚偽性が肯定された事案

   ----------

禅ZEN事件
名古屋地裁豊橋支部平成11.2.24平成6(ワ)45不正競争防止法に基づく営業誹謗行為差止等請求事件判決

健康食品(微細藻類)の比較広告(「より素晴らしくなって登場!」)
などの表現の程度が社会的に許容される範囲内であるとされて営業
誹謗行為性が否定された事案

   ----------

自動車補修剤比較広告事件
大阪高裁平成13.2.8平成11(ネ)2847不正競争行為差止等請求控訴,同附帯控訴事件PDF

小売店の店頭に掲げられたパネル式広告に自動車用補修剤の品質、
性能等の比較がされていた事実の虚偽性が否定された事案

   ----------

コジマ安売り広告事件
東京高裁平成16.10.19平成16(ネ)3324損害賠償請求控訴事件PDF

「ヤマダさんよりお安く」との表示の13号該当性を否定した事案

   ----------

グリコ比較広告事件
知財高裁平成18.10.18平成17(ネ)10059広告差止等請求控訴事件PDF

キシリトールガムの比較広告(「一般的なキシリトールガムに比べ
約5倍の再石灰化効果を実現」)の品質誤認表示性などが肯定された
事案

   ----------

日本香堂ローソク営業誹謗事件
東京地裁平成19.5.25平成17(ワ)8140不正競争行為差止等請求事件

営業用のデモンストレーションに行った他社商品との比較行為が
営業誹謗行為と認められた事案

   --------------------

■参考文献

岡俊邦「信頼性を欠くデータに基づく比較広告の不正競争性
     「グリコ比較広告」事件」
    『最新判例62を読む 著作権の事件簿』(2007)397頁以下
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(上)(2007)644頁以下

   --------------------

■過去のブログ記事

2006年10月24日記事
ロッテVSグリコ キシリトールガム比較広告事件

2007年6月9日記事
日本香堂ローソク営業誹謗事件

   --------------------


written by ootsukahoumu at 10:28│TrackBack(0)知財判決速報2008 

トラックバックURL