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2008年10月02日

転売顧客名簿営業秘密事件〜不正競争防止法 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

転売顧客名簿営業秘密事件

東京地裁平成20.9.30平成19(ワ)27846損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官      平田直人
裁判官      柵木澄子

*裁判所サイト公表10/1

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■事案

転売顧客名簿の営業秘密性が争われた事案

原告:ファッション衣料雑貨輸入製造販売会社
被告:貴金属服飾販売会社
    乙

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 不正競争防止法2条6項、2条1項4号、5号、6号

1 顧客名簿の営業秘密該当性

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■判決内容

<経緯>

H16.3.18 株式会社ビソーニ(訴外会社)民事再生手続開始
H16.9.30 訴外会社が社員乙(被告)を解雇
H17.8.17 訴外会社がAに名簿を200万円で販売
H17.9.1  Aが設立準備中の原告会社に名簿を250万円で販売
H17.9.20 訴外会社の民事再生手続廃止
H17.9.28 訴外会社関係者らにより原告会社設立
H17.10.19 訴外会社の破産手続開始

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<争点>

1 顧客名簿の営業秘密該当性

44万件の顧客データの情報と出入力システム一式をあわせて
転売がされていました。
原告は、顧客名簿は営業秘密に該当し、被告乙がこれを不正
に取得し、被告会社がこれを不正に利用したとして、総額11億
円余の損害賠償、使用差止等を求めました。

株式会社ビソーニ(訴外会社)が民事再生手続(のちに破産手
続)の状況にあることから事業継続のため受皿会社として原
告会社を設立。訴外会社が作成した顧客名簿を移管するため
まず訴外会社代表取締役Bの知人であるAに譲渡(第1売買)、
その後Aが原告会社へ譲渡(第2売買)という経緯を経ていました。

本件顧客名簿の営業秘密性について裁判所は、

本件名簿は,もともと訴外会社において作成,管理され,これが第1売買と第2売買を経て,原告が管理するに至ったものであるから,〜奮芦饉劼砲ける秘密管理性,第1売買の買主であるAにおける秘密管理性,8狭陲砲ける秘密管理性がそれぞれ問題となり得る。

としたうえで、

(1)訴外会社での管理状況が不明
(2)Aのもとでの管理状況も不明

原告のもとでの管理状況を検討するまでもなく営業秘密として
の秘密管理性を充たしていたことの立証がないものというほか
ないと判断されています。
(7頁以下)

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■コメント

転売されたといっても、いわば身内のなかでの便宜的なもの
でしたが、それでも名簿の管理状況があいまいとなってしま
い、秘密管理性の要件である(1)客観的認識可能性と(2)アク
セス制限性の立証を原告側は尽くすことができず、元従業員
による名簿持ち出し行為の判断まで入ることができませんで
した。

倒産した会社の顧客名簿の保護、事業移管の際の注意点を
考えさせられる事案です。

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written by ootsukahoumu at 19:11│TrackBack(0)知財判決速報2008 

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