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2008年07月15日

ファンシーグッズ形態模倣事件〜著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ファンシーグッズ形態模倣事件

東京地裁平成20.7.4平成19(ワ)19275損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官      平田直人
裁判官      瀬田浩久

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■事案

ファンシーグッズの商品形態模倣による不正競争行為性、
著作権侵害性など小売店の責任が争われた事案

原告:キャラクター商品製造販売輸出会社(韓国法人)
    キャラクター商品製造販売輸入会社(日本法人)
被告:百貨店

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、
   不正競争防止法2条1項3号、19条1項5項ロ


1 準拠法
2 被告商品は原告商品の形態を模倣したものか
3 原告商品の形態は商品の機能を確保するために不可欠な形態か
4 被告の悪意重過失性(19条1項5項ロ)
5 原告商品の著作物性

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■判決内容

<経緯>

     原告韓国法人と原告日本法人が製造商品の国内独占販売
     許諾契約締結
H16.4 被告が仕入れた被告商品を販売
H16.8 原告日本法人が原告商品を販売


<争点>

1 準拠法

原告商品は、プードルのぬいぐるみと小物入れを組み合わせた
「プチホルダー」で東京ギフトショー(平成15年秋)で審査員特別賞
を受賞したファンシーグッズでした。

原告商品の製造元が韓国法人であったことから、まず準拠法が
検討されています。

裁判所は、不正競争行為と著作権侵害に基づく損害賠償請求の
準拠法については、法適用通則法に直接の規定がないため条理
によるのが相当であるとしたうえで、不法行為としての法性決定
から通則法17条(通則法施行前の行為については法例11条1項)
により民法709条が適用されると判断しています。
(11頁)

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2 被告商品は原告商品の形態を模倣したものか

原告商品と被告商品を比較すると、個々の特徴的形状の多くが
共通していて全体の形態もほぼ同一であるとして、両者の形態
は実質的に同一であると判断されています。
(16頁以下)

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3 原告商品の形態は商品の機能を確保するために不可欠な形態か

原告商品の形態は、プードルのぬいぐるみと小物入れの組合せ
から必然的に導かれる形態であるとはいえないし、特定の効果
を奏するための必須の技術的形態であるともいえないとして、
不正競争防止法2条1項3号「商品の機能を確保するために不可
欠な形態」にはあたらないと判断されています。
(18頁以下)

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4 被告の悪意重過失性(19条1項5項ロ)

取扱商品が他人の知的財産権を侵害していないかどうかについ
ての被告の調査義務違反性について、裁判所は、

被告における商品の仕入れは,商品の仕入れを担当する部門に所属するバイヤーが,仕入先が行う多数の企画提案の中から,特定の商品の企画提案を採用し,その販売数量や価格等を決定して行うというものであり,また,被告商品の仕入れを担当する部門が1年間に取り扱う商品数だけでも約12万点に及び,仕入先が被告に対して行う企画提案の数も極めて多数に及ぶものと推測されることからすると,被告は,被告商品の仕入れを行うに当たり,被告商品の企画や生産の過程に関与することはなく,被告商品の選定やその販売数量及び価格等の決定のみを行っていたものと認められる。また,上記の膨大な数量の商品すべてについて,その開発過程を確認するとともに,形態が実質的に同一である同種商品がないかどうかを調査することは,著しく困難であるということができる。

一方,原告商品は,これまでの販売金額が合計19万0487円,販売数量も合計330個にとどまり,その宣伝,広告も,原告ベストエバージャパンのウェブページや商品カタログに写真が掲載されている程度であって,一般に広く認知された商品とは認められないことからすると,被告は,被告商品を平成化成から購入するに当たり,取引上要求される通常の注意を払ったとしても,原告商品の存在を知り,被告商品が原告商品の形態を模倣した事実を認識することはできなかったものというべきである。
(19頁以下)

として、被告による模倣商品の善意取得(不正競争防止法19条
1項5項ロ)について仕入れ時の悪意重過失性を否定、調査義務
違反性を認めていません。

なお、一般に、善意無重過失の判断要素としては、

(1)原告商品の宣伝広告の程度
(2)被告の専門業者性
(3)商品の類似性の程度


などが考慮されることになります(小野昌延編「新注解不正
競争防止法新版」(下)(2007)1214頁以下参照)。

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5 原告商品の著作物性

著作権法2条1項1号で保護される著作物について、裁判所は、

実用に供され,あるいは産業上利用されることが予定されているものは,それが純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美術性を備えている場合に限り,著作権法による保護の対象になる
(21頁以下)

としたうえで、

原告商品は,小物入れにプードルのぬいぐるみを組み合わせたもので,小物入れの機能を備えた実用品であることは明らかである。そして,原告が主張する,ペットとしてのかわいらしさや癒し等の点は,プードルのぬいぐるみ自体から当然に生じる感情というべきであり,原告商品において表現されているプードルの顔の表情や手足の格好等の点に,純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美術性を認めることは困難である。

として、原告商品の著作権法2条1項1号の著作物性を否定して
います。


結論として、被告の不法行為性が否定されました。

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■コメント

被告はファッションセンターしまむらで、本件はしまむらが
取扱ったファンシーグッズの商品形態模倣による不正競争
行為性、著作権侵害性が争われた事案です。

しまむらは、製造元から卸を経由して被告商品を仕入れた
わけですが、同社のファッション部門が取扱う商品だけでも
年間12万点(企画案も多数)、その取引先は138社にのぼる
ところで(14頁、19頁)、原告商品の周知度合いを考えあわ
せると同社バイヤーの調査義務違反(重過失)を肯定する
までのところとはなりませんでした。

また、大量生産品の保護は、意匠法によるほかは著作権法で
の保護は難しいところです。

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■追記08/7/18

参考サイト
企業法務戦士の雑感(2008-07-17記事)
■[企業法務][知財]救われた小売店

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■追記09/1/1

LEX/DBインターネット TKC法律情報データベース
速報判例解説
泉克幸「商品形態模倣行為と善意取得者保護
論文PDF

written by ootsukahoumu at 05:18│TrackBack(0)知財判決速報2008 

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