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2008年06月21日

YG性格検査項目事件(第3事件)〜著作権 著作権持分確認請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

YG性格検査項目事件(第3事件)

大阪地裁平成20.6.19平成18(ワ)3174著作権持分確認請求事件PDF

大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官      西理香
裁判官      高松宏之

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■事案

質問紙法性格検査(YG性格検査/矢田部ギルフォード性格検査)
項目の著作権の共有持分(9/100)の確認を求めた事案

原告:P1教授の子
被告:心理検査の研究開発販売会社
    被告会社代表取締役Y1(研究者P3の子)

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法2条1項2号、14条

1 教授P1は共同著作者であったか
2 権利承継
3 持分割合

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■判決内容


<争点>

1 教授P1は共同著作者であったか

(1)事実認定

YG性格検査の研究の経緯については、基礎研究から昭和30年代、
昭和40年代そして現行用紙と、その質問項目の内容が変遷してい
ることからまず研究経緯の事実認定が行われています。
P1教授を中心に研究が開始され、P3研究員が研究を引き継ぎ性格
検査用紙の開発が続けられたものでした。
(19頁以下)


(2)著作権法14条の適用の有無

ところで、現行用紙にP1教授が著者の1人として表示されていること
により本件質問項目の著作者としての推定(著作権法14条)が及ぶか
否かが争点となっています。

被告は、現行用紙上の「著者」表示は、YG性格検査「用紙」について
の著作者の表示であって、YG性格検査「項目」についての著作者の
表示ではないと主張していました。

しかし、裁判所は、

現行用紙は,本件において著作権(持分権)の帰属が問題となっている著作物である本件質問項目を掲載したものであるから,本件質問項目は,現行用紙がYG性格検査の被験者等の公衆に対して提供又は提示される際に,これに伴い公衆に対して提供又は提示されるものである。

したがって,現行用紙に「著者」として表示されている者は,現行用紙自体の「公衆への提供若しくは提示の際に」その実名が「著作者名として通常の方法により表示されている者」であると同時に,著作物である本件質問項目の「公衆への提供若しくは提示の際に」その実名が「著作者名として通常の方法により表示されている者」ということができる。

よって,現行用紙に「著者」としてP1の氏名が表示されている以上,P1は本件質問項目の著作者と推定される(著作権法14条)

と判断しています。
(23頁)


(3)推定を覆すに足りる事実があるか

被告側は推定の効果を覆す5つの反対事実を挙げていますが、
裁判所に容れられていません。
(24頁以下)


2 権利承継

原告がP1教授のYG性格検査に係る権利を単独で相続により承継
取得していたとして、P1教授が有していた質問項目の著作権の
共有持分を原告が取得したことが認められています。
(39頁)


3 持分割合

現行用紙の販売印税は定価の17%でした。
そのうち、原告割合が1.5%であったことから、1.5÷17×100
(四捨五入)で印税割合に準じて9%の共有持分とされました。
(39頁)

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■コメント


性格検査質問項目の共同著作者性を争う被告(共同研究者P3の
長男)に対して共同研究者であるP1教授側遺族が確認の訴えを
提起したのが本件訴訟です。

昨年(平成19年)に判決(平成17年提訴の事案)が出た著作権侵
害差止等請求事件(第1事件)、商標権侵害差止等請求事件(第2
事件)は被告の親族内(P3の妻と長男との間)での紛争でしたが、
今回(平成18年提訴)の訴訟で、はからずも共同研究者で本来敬意
を示さなければならない教授(故人)を巻き込んだ結果となってしま
っています。


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■過去のブログ記事

2007年06月18日記事(第1事件)
「YG性格検査用紙」事件〜著作権侵害差止等請求事件判決
大阪地裁平成19.6.12平成17(ワ)153等著作権侵害差止等請求事件


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■追記2011.12.4

被告らは,原審の判断を不服として大阪高等裁判所に控訴したが(平成20年(ネ)第1893号),平成21年9月29日,控訴は棄却され,同判決は確定した。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111201135639.pdf
written by ootsukahoumu at 12:04│TrackBack(0)知財判決速報2008 

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