漫画家 雷句誠さんが、小学館を相手取って330万円の損害賠償
請求訴訟を東京地裁に6月6日提訴しました。

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雷句誠の今日このごろ。2008/06/06 20:40
(株)小学館を提訴。

代理人小野智彦弁護士のブログ
ガッシュ作者、小学館を提訴!...June 06, 2008

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カラー原稿ということもあって、漫画家さん側は美術的価値を
訴求していくようです。経済的価値という意味ではまったく
そのとうりだと思います。

ところで、出版社と作家さんとのもめごとでいちばん考えない
といけないのは、担当編集者さんとの関係なのかもしれません。

編集者さんには、
こちらが育てた」とか「二人三脚でやってきた
という自負があることでしょう。

とはいえ、原稿の紛失はあってはならないことで、元原稿は
もっと大切に扱われなければならないという機運は、流出事件
さくら出版事件村上春樹生原稿事件など)を契機に認識さ
れるようにはなっているとは思うのですが、なかなか・・・

原稿の取り扱いの歴史についてはたけくまさんのブログを
ご覧ください。

たけくまメモ
コレクター考(7)冥府魔道の収集術(一)
コレクター考(8)冥府魔道の収集術(二)

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事案は違いますが、漫画原稿の係わる過去の裁判例として
出版社が漫画書籍の原稿を漫画家に返却しなかったことに
ついて、出版社の漫画家に対する不法行為責任が認められ
た事案があります。

漫画原稿返却拒否事件
東京地裁平成10.10.22平成10年(ワ)2837著作物引渡等請求事件

日本ユニ著作権センター/判例全文・1998-10-22

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■追記08/06/07

・「最上の命医」作画担当 橋口たかしさんのブログ(2008-06-07)
橋口たかし 緊急 臨時ブログ

・「最後通牒・半分版」(2003年10月14日火曜日)記事
「最後通牒」雑記ログ 2003年10月

過去には、「ハイスクール!奇面組」の作者新沢基栄さんが
紛失原稿をめぐって編集者を相手に提訴した事件があったよ
うです。


■追記08/06/09

・漫画家新條まゆさんのブログ(2008年06月08日記事)
まゆたんブログ 思うこと。

・たけくまさんのブログ(2008年6月9日(月)記事)
マンガ界崩壊を止めるためには(1)

・雷句誠が小学館を提訴 まとめサイト(2008-06-09(Mon))
雷句誠の小学館提訴に対する各所の反応まとめ

■追記08/06/13

たけくまメモ
マンガ界崩壊を止めるためには(2)

大手出版社の編集者がすでにいわゆる正社員ではなくて
業務委託社員だったりするわけで、漫画家さんに劣らず
編集者さんの地位も不安定だったりします。

アーティストさんたちがネットで自分を表現(営業)
できる現在、たとえば音楽アーティストさんたちの動き
と能力のある漫画家さんの動きは見ていると同じで、
能力があるアーティストさんはプロデューサー(編集者)
を必要とせずにひとりで(レコード会社や出版社をもの
ともしない)やっていこうとしています。

もちろん、こうしたプロデューサーの存在は普遍で
無くならないし、二人三脚で創作するアーティストさんも
いるでしょうし、ひとりでやっていくアーティストさんも
いる。
アーティストさんはいろんな形態で好きなように表現
していく。

結局、大きく変わらないと行けないのは、「雑誌→単行本」
ざっくり収益ビジネスモデルの出版社やレコード会社、
仲介業者(流通)。

出版社やレコード会社は作家さんの作品のデジタル(二次利用)
をおさえようと躍起になっていますがそれで済む問題ではないはずで、
自らの存在意義(流通以上の)があらためて問われています。

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■追記08/06/16

たけくまメモ(2008年6月14日(土))
マンガ界崩壊を止めるためには(3)

漫画家さんの契約協議については、まさしくわたしも
携わらせていただいているところです。
弁護士までは必要とされない段階では、行政書士は敷居
が低くて漫画家さんにも使ってもらい易いのかもしれません。


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■追記08/6/20

「金色のガッシュ!!」の作者である漫画家、雷句誠さんにいろいろとインタビューしてきました - GIGAZINE(2008年06月20日 09時00分00秒)


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■追記08/6/22

たけくまメモ
マンガ界崩壊を止めるためには(4)

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■追記08/6/24

たけくまメモ
マンガ界崩壊を止めるためには(5)

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■追記08/6/25

たけくまメモ
マンガ界崩壊を止めるためには(6)

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■追記08/6/27

たけくまメモ
マンガ界崩壊を止めるには(補足)

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■追記08/6/28

*漫画家と原作者との間の紛争

産経新聞6月28日朝刊東京版15版31頁より
人気漫画「軍鶏」謎の休載舞台裏 漫画家vs原作者 泥仕合

漫画家たなか亜希夫さんと原作者橋本以蔵さんとの間でたなかさんが
作品「軍鶏」の著作権の確認と損害賠償1億5千万円を求め、東京地裁
に提訴、6月27日に第一回口頭弁論が開かれたそうです。


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■追記08/7/15

真偽は不明。サンデー宛FAXが真正ならどうしてこれが
流出したのか。
作家さんの苦しみ、痛みが伝わる。

>gooブログ「雷句氏は天才だ!」(2008.7.14)現在アクセス不可

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■追記08/08/01

第1回口頭弁論(7月28日11時30分 東京地裁522号法廷)の
様子について、

日刊サイゾー(橋本玉泉)
『金色のガッシュ!!』原稿紛失訴訟は小学館が非を認め和解に

次回弁論期日は、9月22日13時30分東京地裁606号法廷。

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■追記08/09/20

雷句さんのブログより。和解案の協議となりそうです。

東京地方裁判所 民事第7部
日時・場所 2008年09月22日 午後1時10分
東京地方裁判所正門玄関2番交付所
事件名 損害賠償 平成20年(ワ)第15321号

雷句誠の今日このごろ。
9月22日月曜日の裁判情報。(2008/09/19 21:55)

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■追記09/4/29

雷句誠の今日このごろ。2008/11/11記事

和解成立。そして・・・

和解条項案
 1 被告は、原告に対し、原告所有の漫画原稿を紛失したことにつき、謝罪する。
 2 被告は、原告に対し、本件和解金として金255万円の支払義務あることを認める。
 3 被告は、原告に対し、前項の金員を平成20年12月15日限り、原告代理人「◯◯◯◯◯」名義の三井住友銀行◯◯支店普通預金口座(口座番号◯◯◯◯◯◯)に振り込む方法により支払う。
 4 原告は、その余の請求を放棄する。
 5 原告及び被告は、原告と被告との間には、本件に関し、本件和解条項に定めるほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。
 6 訴訟費用は、各自の負担とする。 
以  上