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2008年05月29日

ロクラク事件〜著作権 著作権侵害差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

ロクラク事件

東京地裁平成20.5.28平成19(ワ)17279著作権侵害差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官     国分隆文
裁判官     山田真紀


★関連仮処分事件
東京地裁平成19.3.30平成18(ヨ)22046著作隣接権等侵害差止請求仮処分命令申立事件PDF

平成19.7.12 間接強制申立て認容決定に対する執行抗告棄却


■事案

国内放送番組を海外でもネットで視聴可能にするハウジングサービス
(「ロクラク競咼妊デッキレンタル」)がテレビ局の著作権、著作隣接権
を侵害するかどうかが争われた事案


原告:NHK、東京放送、静岡放送など10社
被告:株式会社日本デジタル家電


■結論

請求一部認容


■争点

条文 著作権法第21条、98条

1 複製行為主体性
2 損害論


■判決内容

<争点>

1 複製行為主体性

裁判所は、複製行為の主体性について、

著作権法上の侵害行為者を決するについては,当該行為を物理的,外形的な観点のみから見るべきではなく,これらの観点を踏まえた上で,法律的な観点から,著作権を侵害する者として責任を負うべき主体と評価できるか否かを検討すべきであるから,事案に応じて,カラオケ装置を設置したスナック等の経営者について,客の歌唱についての管理及びそれによる営業上の利益という観点から,演奏の主体として,演奏権侵害の不法行為責任があると認めたクラブキャッツアイ事件最高裁判決等を踏まえ,問題とされる行為(提供されるサービス)の性質に基づき,支配管理性,利益の帰属等の諸点を総合考慮して判断すべきである。
(65頁)

として、カラオケ法理を踏まえたうえで本件での行為主体を検討。

(1)本件サービスの目的

(2)親機ロクラクの設置場所及びその状況

(3)本件サービスにおける親機ロクラクの設置管理方法に関する選択の仕組み

(4)利用者の録画可能なテレビ番組

(5)本件サービスを利用する際の受送信の枠組み

(6)本件サービスによる利益の帰属

の諸点から、被告がテレビ番組の複製行為を管理支配しており、
それによる利益も得ていると認定。
被告による複製権侵害性(21条、98条)を肯定しました。


2 損害論

結論としては、10社合計733万円あまりの損害額を認定しています。
(78頁以下)


■コメント

先行する仮処分命令申立事件も29部清水コートの判断で
本案訴訟でも清水コートの判断となっています。


■過去のブログ記事

2007年04月03日記事
「ロクラク」事件〜著作権 著作隣接権等侵害差止請求仮処分命令申立事件決定(知的財産裁判例集)〜

■関連サイト

日本デジタル家電(NYX)


■ここ1年の参考文献


1.放送番組の遠隔地視聴サービス

・録画ネット事件

茶園成樹「テレビ番組録画視聴サービスにおける複製の主体」
     『最新判例知財法 小松陽一郎先生還暦記念論文集
       (2008)705頁以下
奥邨弘司「変質するカラオケ法理とその限界についての一考察
      〜録画ネット事件とまねきTV事件を踏まえて」
     『情報ネットワーク・ローレビュー』6巻(2007)38頁以下

・ロクラク事件

岡 邦俊「ハードディスクレコーダーにテレビ番組を録画できるサービスは違法」
     『最新判例62を読む 著作権の事件簿』(2007)319頁以下

・まねきTV事件

小倉秀夫「まねきTV事件」『知的財産権研究5』(2008)195頁以下
帖佐 隆「判例評釈 まねきTV事件(東京地裁決定)」
     『パテント』60巻5号(2007)33頁以下
大滝 均「まねきTV(ソニー・ロケーションフリーテレビ)事件その後-公衆送信権侵害の行為主体について-」
     『パテント』60巻9号(2007)61頁以下
佐藤 豊「「テレビ放送局をインターネット回線を経由して視聴するシステム」を使用するための設備提供の是非-まねきTV事件-」
     『知的財産法政策学研究』15号(2007)241頁以下


2.放送番組の共同利用型録画サービス

・選撮見録(よりどりみどり)事件

作花文雄「著作権制度における「公衆」概念」
     『コピライト』560号(2007)44頁以下
川本真由美「集合住宅向けハードディスクビデオレコーダーシステム
      「選撮見録」事件第一審判決」
     『パテント』60巻4号(2007)102頁以下


3.音楽ファイルストレージサービス

・MYUTA事件

北村行夫「ストレージ・サービスを著作権侵害と認定 「MYUTA」事件判決」
     『コピライト』(2007)28頁以下


4.間接侵害論
田村善之「著作権の間接侵害」第二東京弁護士会知的財産権法研究会編
     『著作権法の新論点』(2008)259頁以下
藤原宏高ほか「著作権の間接侵害の法理とその限界」同前393頁以下
作花文雄「著作権法第3版」(2008)351頁以下
デジタルコンテンツ委員会「コンテンツ利用者向けサービスにおける
      著作権侵害の問題-誰が侵害者となるのか?-」
     『知財管理』58巻3号(2008)399頁以下
Mark Davison and Rebecca Giblin-Chen 山崎昇(訳)「著作物の保護及びP2Pソフトウェア-リーガル・オプション、そのいずれを選択すべきか?-」
     『知的財産法政策学研究』20号(2008)37頁以下
吉田広志「国際的知的財産権侵害における問題点」
     『知的財産法政策学研究』20号(2008)57頁以下
田村善之「検索サイトをめぐる著作権法上の諸問題(2)-寄与侵害、間接侵害、フェア・ユース、引用等-」
     『知的財産法政策学研究』17号(2007)83頁以下
中山信弘「著作権法」(2007)475頁以下
潮見佳男「著作権侵害における「間接侵害」の法理」
     『コピライト』557号(2007)2頁以下
山本隆司「著作権の間接侵害に対する差止めとその行為類型」
     『NBL』865号(2007)36頁以下

奥邨弘司「著作権の間接侵害」デジタルコンテンツ協会編
     『法的環境動向に関する調査研究 著作権リフォーム-コンテンツの創造・保護・活用の好循環の実現に向けて-』(2008)23頁以下 報告書PDF


written by ootsukahoumu at 19:54│TrackBack(0)知財判決速報2008 

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