2008年04月11日

文芸社出版契約事件〜著作権 著作権使用料請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

文芸社出版契約事件

東京地裁平成20.3.28平成20(ワ)913著作権使用料請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官      大竹優子
裁判官      宮崎雅子



■事案

著者と出版者が出版部数を巡って争った事案


原告:著作者
被告:出版者


■結論

請求棄却


■争点

条文 著作権法63条、79条

1 著作権使用料の支払義務の有無


■判決内容

<経緯>

H11.11.17 出版契約締結
H12.5.1  初版第1刷1200部発行
H14.4.8  本件出版契約に基づく著作権使用料支払請求事件
        原告敗訴(別件訴訟1)
H17.10.28 本件出版契約に基づく著作権使用料(H12〜17年度分)
        支払請求事件
        原告敗訴(別件訴訟2)

H20      H17〜19年度分著作権使用料について本訴提起


<争点>

1 著作権使用料の支払義務の有無

増刷の事実を原告が立証できず、出版者側の支払
義務が認められず請求棄却となっています
(5頁以下)。


■コメント

自費出版を取扱う文芸社が被告となった事案です。

問題となった書籍は2000年5月刊行の小野沢荘次著
世界初、大発見 地震予知確立」ですが、著者は
6万6667部発行したと主張しているのに対して、文
芸社は、初版の1200部しか発行していないと反論し
ています。

都合、3つめの提訴ですが、いずれも原告敗訴。

ところで、今回の件とは関係ありませんが以前、自
分の書籍の重版を疑った著者が知人を動員して実際
にアマゾンなどで購入して重版されているかどうか
こまめにチェックした、という話を直接聞いたこと
があります。

出版物の印刷部数の事後監査については、社団法人
日本書籍出版協会作成2005年版「出版契約書雛型
(一般用)」によれば、

第 17 条(発行部数の報告等)
乙は、本出版物の発行部数を証するため、甲に対し製本のつどその部数を報告する。甲の申し出があった場合には、乙はその証拠となる書類の閲覧に応じる。


とあるわけで、帳票類の提示を求めるほかは、本件
で乙号証として提出された印刷所の製作証明書(6頁)
の交付をせいぜい求めるといったところまででしょ
うか。

文芸社の出版契約書も第12条で出版協会雛型と同じ
ような体裁をとっていました(2頁)。

著者の疑念を払拭するためにどうすればいいのか。

出版契約もライセンス契約の一種ではありますが、
通常の出版契約の契約額からして印刷所への立入り
調査権限などまで著者に認めるのは、契約のうえで
バランスが悪い(著者に隠れてまで印刷したいほど
のベストセラーがよのなかどれほどあるのか)かも
しれません。


■参考サイト

契約書 刊行物/契約書 社団法人日本書籍出版協会




hayabusa9999 at 20:08 │TrackBack(0)知財判決速報2008 

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