裁判所HP 下級裁判所判例集より

ミートホープ挽肉偽装刑事事件

札幌地裁平成20.3.19平成19(わ)1454不正競争防止法違反,詐欺被告事件PDF

札幌地方裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 嶋原文雄
裁判官     坂田威一郎
裁判官     石渡圭


■事案

(判示事項の要旨)
牛肉のみを原料とするかのような表示をし,他の畜肉を
加えた挽肉等を取引業者に引き渡した不正競争防止法違
反及び取引業者に対し,その事情を秘して代金を請求し,
交付させた詐欺被告事件

被告人:畜産食肉卸売業代表取締役


■結論

主文

懲役4年(求刑 懲役6年)


■罰条

不正競争防止法22条1項、21条2項1号、2条1項13号
刑法246条、45条前段、47条本文、10条



■判決内容

品質誤認表示行為の不正競争行為性

犯罪事実

社長は、畜産食肉卸売業代表取締役として同社の業務に関し、
不正の目的をもって牛肉以外の豚肉、鶏肉、羊肉、鴨肉等を
加えるなどして製造した挽肉やカット肉を梱包した段ボール
箱に牛肉のみを原料とする挽肉等であるかのように表記し、
商品の品質及び内容について誤認させるような表示をした上
で業者へ発送、引き渡しをしていました。

この点が、品質誤認表示行為(不正競争防止法2条1項13号)
として刑事罰の対象となりました。

量刑の理由

犯行態様、結果、犯情、犯行後の態様、社会的影響などから
刑事責任は相当重いとされています。


■コメント

2007年6月に発覚した北海道の食肉偽装ミートホープ事件
の刑事事件です。
いろいろな畜肉が入っているのに十勝産の牛肉ミンチで
あるかのように表示をしていたこの事件。

納入先取引業者に対する詐欺罪とあわせ不正競争防止法
違反として、刑事罰が併合罪科刑されています。

食品偽装事件での最近の不正競争防止法違反刑事事件と
しては2007年5月の日本ライス事件、10月の比内鶏事件、
11月船場吉兆事件があります。


■追記(08.5.15)

日本ライス事件〜不正競争防止法 不正競争防止法違反,詐欺被告事件判決(下級裁判所判例集)〜