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2008年03月04日

「虹彩占いゲーム機器プログラム」事件〜著作権 著作権確認等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

「虹彩占いゲーム機器プログラム」事件

東京地裁平成20.2.27平成18(ワ)29359著作権確認等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官     中村恭
裁判官     宮崎雅子


■事案

虹彩識別技術を利用した虹彩占い機器のプラグラムの
著作物性や著作権の帰属が争われた事案

原告:映画、ビデオソフト企画・制作、発売会社
被告:衛星通信システム開発、販売会社


■結論

請求一部認容


■争点

条文 著作権法第2条1項1号、10号の2、民法704条

1 本件プログラムの著作物性
2 不当利得の成否


■判決内容

<経緯>

H13.04    米国会社が被告関連会社に対し虹彩識別技術について
         実施許諾
         関連会社が被告に再実施許諾
H14.11    原告と被告が機器の共同開発事業化を計画
H15.01.06〜 原告が本件プログラム、イラスト等を作成
H15.02.25  投資顧問会社、被告、被告関連会社、米国会社、原告ら
         との間で5社「共同事業開発協定書」を締結
H15.03.30  本件機器6台を被告に納品
H15.04.30  被告とメディア・リンクス社が「販売権に関する基本合意書」締結
H15.05.02  メディア・リンクス社が被告にライセンス料の一部
         1億7000万円を支払う
H15.05.23  5社協定書の合意解約覚書締結
H15.07.10  被告とメディア・リンクス社が「販売代理店契約」締結
H15.08    被告とメディア・リンクス社は基本合意書および
         販売代理店契約を合意解約
H16.11    メディア・リンクス社 背任・粉飾決算事件摘発
H17.05    メディア・リンクス社社長に実刑判決


<争点>

1 本件プログラムの著作物性

原告の作成したプログラム(本件プログラム)は
アミューズメント機器(プリクラ類似の機器)である
虹彩占いBOX」で使用されるイラストや占いの結果
を待受画面に表示したりプリントアウトするための
アウトプット用のプログラムでした。

(なお、虹彩識別技術に関する特許権やプログラムは、
米国会社に帰属していました。)

原告が制作したプログラムやイラストについて、
その著作物性が認められ、結論としては、原告の
著作権帰属についての確認請求が裁判所に
容れられています。
(14頁)


2 不当利得の成否

原告は、

被告がメディア社から受領した1億7000万円は,本件プログラム及び本件イラスト等を含む本件機器全体について独占的販売権を設定したことによって得られたものである。
(・・・)したがって,本件機器における本件プログラム及び本件イラスト等の寄与割合について,被告に受益がある。


という点から不当利得返還請求を行いました。

しかし、裁判所は、被告とメディア・リンクス社
(メディア社)との間の販売代理店契約関係では
提供製品の中に本件プログラムの組み込みまでも
認めたものとはいえず、そもそも本件プログラム
やイラストが独占的販売権の対象に含まれていな
かったとして、被告の受益を認めず不当利得は
成立しないと判断しました。
(14頁以下)


■コメント

架空循環取引事例として取り上げられることが多い
メディア・リンクス社の陰がちらついた著作権事案です。

著作権事案といっても、著作権はほとんど争点と
なっていません。

原告としては、プログラムを組んだりしたわけで
手を動かした労賃だけでもなんとか費用を回収したい
ところでしたが、メディア社に実際にゲーム機器が
供給されることもなく被告とメディア社との
販売代理店契約が頓挫していることから金銭の動きを
原告の業務と関連付けることができませんでした。

時系列を見ると、5社協定書の合意解約以前にメディア社が
登場しているので、被告の態度の評価も微妙(17頁)な
ところではあります。


■参考図書

高橋篤史「粉飾の論理」(2006)133頁以下
有森隆ほか「脱法企業 闇の連鎖」(2007)238頁以下

■参考サイト

虹彩占い

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■追記09/06/17

2008年4月知財高裁に控訴
2008年8月和解
虹彩占い「虹彩占い事件について」
written by ootsukahoumu at 19:40│TrackBack(0)知財判決速報2008 

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