2008年03月01日
「融資覚書営業秘密」事件〜不正競争防止法 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜
裁判所HP 知的財産裁判例集より
「融資覚書営業秘密」事件
★東京地裁平成20.2.27平成18(ワ)21248損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官 山田真紀
裁判官 佐野信
■事案
融資条件として融資先に会社の内部資料を開示した行為の
営業秘密漏洩性が争われた事案
原告:ソフトウェア開発製造販売会社
被告:原告会社元従業員、原告業務委託先業者ら
■結論
請求棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項4号、7号、民法415条
1 損害論
■判決内容
<経緯>
H16.11 原告と訴外KEL社がソフトウェア開発委託契約を締結
(委託料7000万円)
H18.03 原告は納期に完成できず、また資金繰り悪化のため
KEL社へ融資の申入れ
H18.04.07 原告とKEL社が1億円の融資覚書締結、実施
H18.06.09 原告とKEL社が追加1億3000万円の融資契約締結、実施
H18.09.03 被告らがKEL社に保守契約書情報を開示
H18.09.10 被告らがKEL社に営業情報を電子メールで送信
H18.09.22 被告らがKEL社に営業情報を電子メールで送信
H18.11.02 原告が民事再生手続を申請
原告は、KEL社からの融資額2億3000万円を未弁済
<争点>
1 損害論
裁判所は、不正競争防止法上の争点については触れず、
損害論について、
『原告も,本件情報の開示行為以前から,原告の売上高は減少している旨自認しており(弁論の全趣旨),これを前提とすると,仮に,本件情報の開示行為以降に原告の売上高が減少したという事実が認められたとしても,それは,本件情報の開示行為に起因するものではなく,原告の経営状況や市場の動向等の他の要因によるものと推測される。』
(20頁以下)
などとして、結論的には被告らによる
本件情報(顧客情報、取引金額、保守契約書情報等)の
開示行為によって原告に損害が発生したとは
認めませんでした。
なお、被告らの新会社設立構想に伴い、被告らが
なんらかの利益を得ていたかどうかという点に
ついても、裁判所は判断。
結論的には、新会社設立に至っていないことから
被告らの利益取得についても認めていません。
(21頁以下)
■コメント
原告は取引先のKEL社(プリンタ等販売・リース会社)から
原告が融資を受けるための条件として原告会社の会計帳簿
などの開示について覚書で締結。
その趣旨に沿って被告らは情報をKEL社へ開示しました。
被告らが、開示内容について事前に原告代表者に承諾を
得ていなかったことや退職後に競合する新会社を設立する
構想などがあったことから、一連の行為が背任的行為
として捉えられ、本件提訴に至っています。
もっとも、すでに原告は資金繰りが悪化していて
KEL社への返済計画がまったく履行されていない状況で、
被告らの情報開示行為と原告に生じた損害の因果関係が
明確なところではないわけで、判決では損害論という、
いわば「入り口論」でばっさりと切られて不正競争防止法
上の争点については言及されていません。
「融資覚書営業秘密」事件
★東京地裁平成20.2.27平成18(ワ)21248損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官 山田真紀
裁判官 佐野信
■事案
融資条件として融資先に会社の内部資料を開示した行為の
営業秘密漏洩性が争われた事案
原告:ソフトウェア開発製造販売会社
被告:原告会社元従業員、原告業務委託先業者ら
■結論
請求棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項4号、7号、民法415条
1 損害論
■判決内容
<経緯>
H16.11 原告と訴外KEL社がソフトウェア開発委託契約を締結
(委託料7000万円)
H18.03 原告は納期に完成できず、また資金繰り悪化のため
KEL社へ融資の申入れ
H18.04.07 原告とKEL社が1億円の融資覚書締結、実施
H18.06.09 原告とKEL社が追加1億3000万円の融資契約締結、実施
H18.09.03 被告らがKEL社に保守契約書情報を開示
H18.09.10 被告らがKEL社に営業情報を電子メールで送信
H18.09.22 被告らがKEL社に営業情報を電子メールで送信
H18.11.02 原告が民事再生手続を申請
原告は、KEL社からの融資額2億3000万円を未弁済
<争点>
1 損害論
裁判所は、不正競争防止法上の争点については触れず、
損害論について、
『原告も,本件情報の開示行為以前から,原告の売上高は減少している旨自認しており(弁論の全趣旨),これを前提とすると,仮に,本件情報の開示行為以降に原告の売上高が減少したという事実が認められたとしても,それは,本件情報の開示行為に起因するものではなく,原告の経営状況や市場の動向等の他の要因によるものと推測される。』
(20頁以下)
などとして、結論的には被告らによる
本件情報(顧客情報、取引金額、保守契約書情報等)の
開示行為によって原告に損害が発生したとは
認めませんでした。
なお、被告らの新会社設立構想に伴い、被告らが
なんらかの利益を得ていたかどうかという点に
ついても、裁判所は判断。
結論的には、新会社設立に至っていないことから
被告らの利益取得についても認めていません。
(21頁以下)
■コメント
原告は取引先のKEL社(プリンタ等販売・リース会社)から
原告が融資を受けるための条件として原告会社の会計帳簿
などの開示について覚書で締結。
その趣旨に沿って被告らは情報をKEL社へ開示しました。
被告らが、開示内容について事前に原告代表者に承諾を
得ていなかったことや退職後に競合する新会社を設立する
構想などがあったことから、一連の行為が背任的行為
として捉えられ、本件提訴に至っています。
もっとも、すでに原告は資金繰りが悪化していて
KEL社への返済計画がまったく履行されていない状況で、
被告らの情報開示行為と原告に生じた損害の因果関係が
明確なところではないわけで、判決では損害論という、
いわば「入り口論」でばっさりと切られて不正競争防止法
上の争点については言及されていません。
hayabusa9999 at 14:01
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