2008年02月20日
「パズル」事件〜著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜
裁判所HP 知的財産裁判例集より
「パズル」事件
★東京地裁平成20.1.31平成18(ワ)13803損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官 関根澄子
裁判官 古庄研
■事案
12個のパズルの著作物性、著作権(複製権又は翻案権)侵害性が
争われた事案
原告:パズル作家
被告:パズル作家
■結論
請求一部認容
■争点
条文 著作権法第2条1項1号、21条、27条、19条、114条2項
1 パズルの著作物性及び複製権・翻案権侵害性
2 損害論
■判決内容
<経緯>
H3 原告が「パズルの帝国」を執筆
H4 原告が「超脳パニックあるなし“クイズ”」を執筆
H6 原告が「頭がよくなる算数パズル事典」を執筆
H9 原告が「面白くてやめられない漢字パズル」を執筆
H11 原告がパズルAを季刊誌「さわやか」に寄稿
H11 被告が「なぞなぞ3・4年生」を執筆
H16 被告が「なぞなぞ1年2年生」を執筆
H17 被告が「右脳を鍛える大人のパズル」
「左脳を鍛える大人のパズル」を執筆
<争点>
1 パズルの著作物性及び複製権・翻案権侵害性
裁判所は、「複製」「翻案」「創作」(著作権法21条、27条、
2条1項1号)の意義について従来の判例を踏襲したうえで、
パズルの著作物性について、
『数学の代数や幾何あるいは物理の問題とその解答に表現される考え方自体は,アイデアであり,これを何らかの個性的な出題形式ないし解説で表現した場合は著作物として保護され得るとしても,数学的ないし物理的問題及び解答に含まれるアイデア自体は著作物として保護されないことは当然である。このことは,パズルにおいても同様であり,数学の代数や幾何あるいは物理のアイデア等を利用した問題と解答であっても,何らかの個性が創作的に表現された問題と解答である場合には,著作物としてこれを保護すべき場合が生じ得るし,これらのアイデアを,ありふれた一般的な形で表現したにすぎない場合は,何らかの個性が創作的に表現されたものではないから,これを著作物として保護することはできないというべきである。』
と一般論を説示のうえ、原告各パズルと被告各パズルの同一性
ないし共通性の対比と関連して著作物性及び複製権・翻案権
侵害性を併せて検討しています。
(36頁以下)
結論的には、原告パズルA〜Lの12個のうち、パズルA、E、Fの
3個について被告パズルA、E、Fの複製権あるいは翻案権の
侵害性を肯定しています。
たとえば、著作権侵害性が肯定された原告パズルAですが、
『原告パズルAは,1本の糸を用いて,この糸を上下に交差させた部分(以下「交点」という。)を6点有する形状のものをAないしDの4箇所にわたって設け,その糸の両端を引いた際に結び目がAないしDのいずれにできるかを当てさせる問題』
という「結び目問題」でした。
このような着想のパズルについては、任意の結び目の
ほどかれ方などが1920年代以降、トポロジストによって
数学的に研究されていること等を踏まえた上で、
パズルAの著作物性については、
各交点における糸あるいはひもの上下関係や複数の交点の
配置の選択の範囲が、少なくとも64通り(2の6乗)存在する
ところ、パズルの作者により様々な選択(組合せ)が
考えられるが、原告はパズルAにおいて合計4通りの特定の
形状の糸の選択(組合せ)をしており、
『特定のパズルを具体的に表現した点において,作者による個性的な創作的表現があると認められるから,これを編集著作物性を有する著作物として保護すべきものと認められる。』
(38頁以下)
と判断しています。
そのうえで、被告パズルAの依拠性と表現上の本質的な特徴の
直接感得性(翻案)を肯定し、著作権侵害性を認定しています。
(41頁以下)
著作権侵害性を肯定したそのほかのパズルとしては、
2枚の写真を利用したパズルEについては、48頁以下、
連立方程式の応用問題を天秤と3種類の缶でビジュアル化した
パズルFについては、51頁以下参照。
2 損害論
財産的損害については、著作権法114条2項により4万円余り。
精神的損害については、氏名表示権・同一性保持権侵害として
20万円が認定されています。
(62頁以下)
■コメント
著作物性が認められなかったパズルは、数学的解法や
物理法則のアイデアそのもののありふれた方法での
表現であるなどの理由から保護されませんでした。
原告は被告書籍の差止請求を立てていないので、
(出版社とはコトを荒立てたくなかった?)
被告に対するサンクションとしては穏便な印象です。
■参考サイト
原告サイト
電脳内革命
■参考文献
中山信弘「著作権法」(2007)42頁以下、58頁以下
渋谷達紀「自然科学上の法則-「発光ダイオード論文」事件」
『著作権判例百選』(1987)10頁以下
■参考ブログ
企業法務戦士の雑感(08.03.17)
■[企業法務][知財]著作権という名の難解なパズル
「パズル」事件
★東京地裁平成20.1.31平成18(ワ)13803損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官 関根澄子
裁判官 古庄研
■事案
12個のパズルの著作物性、著作権(複製権又は翻案権)侵害性が
争われた事案
原告:パズル作家
被告:パズル作家
■結論
請求一部認容
■争点
条文 著作権法第2条1項1号、21条、27条、19条、114条2項
1 パズルの著作物性及び複製権・翻案権侵害性
2 損害論
■判決内容
<経緯>
H3 原告が「パズルの帝国」を執筆
H4 原告が「超脳パニックあるなし“クイズ”」を執筆
H6 原告が「頭がよくなる算数パズル事典」を執筆
H9 原告が「面白くてやめられない漢字パズル」を執筆
H11 原告がパズルAを季刊誌「さわやか」に寄稿
H11 被告が「なぞなぞ3・4年生」を執筆
H16 被告が「なぞなぞ1年2年生」を執筆
H17 被告が「右脳を鍛える大人のパズル」
「左脳を鍛える大人のパズル」を執筆
<争点>
1 パズルの著作物性及び複製権・翻案権侵害性
裁判所は、「複製」「翻案」「創作」(著作権法21条、27条、
2条1項1号)の意義について従来の判例を踏襲したうえで、
パズルの著作物性について、
『数学の代数や幾何あるいは物理の問題とその解答に表現される考え方自体は,アイデアであり,これを何らかの個性的な出題形式ないし解説で表現した場合は著作物として保護され得るとしても,数学的ないし物理的問題及び解答に含まれるアイデア自体は著作物として保護されないことは当然である。このことは,パズルにおいても同様であり,数学の代数や幾何あるいは物理のアイデア等を利用した問題と解答であっても,何らかの個性が創作的に表現された問題と解答である場合には,著作物としてこれを保護すべき場合が生じ得るし,これらのアイデアを,ありふれた一般的な形で表現したにすぎない場合は,何らかの個性が創作的に表現されたものではないから,これを著作物として保護することはできないというべきである。』
と一般論を説示のうえ、原告各パズルと被告各パズルの同一性
ないし共通性の対比と関連して著作物性及び複製権・翻案権
侵害性を併せて検討しています。
(36頁以下)
結論的には、原告パズルA〜Lの12個のうち、パズルA、E、Fの
3個について被告パズルA、E、Fの複製権あるいは翻案権の
侵害性を肯定しています。
たとえば、著作権侵害性が肯定された原告パズルAですが、
『原告パズルAは,1本の糸を用いて,この糸を上下に交差させた部分(以下「交点」という。)を6点有する形状のものをAないしDの4箇所にわたって設け,その糸の両端を引いた際に結び目がAないしDのいずれにできるかを当てさせる問題』
という「結び目問題」でした。
このような着想のパズルについては、任意の結び目の
ほどかれ方などが1920年代以降、トポロジストによって
数学的に研究されていること等を踏まえた上で、
パズルAの著作物性については、
各交点における糸あるいはひもの上下関係や複数の交点の
配置の選択の範囲が、少なくとも64通り(2の6乗)存在する
ところ、パズルの作者により様々な選択(組合せ)が
考えられるが、原告はパズルAにおいて合計4通りの特定の
形状の糸の選択(組合せ)をしており、
『特定のパズルを具体的に表現した点において,作者による個性的な創作的表現があると認められるから,これを編集著作物性を有する著作物として保護すべきものと認められる。』
(38頁以下)
と判断しています。
そのうえで、被告パズルAの依拠性と表現上の本質的な特徴の
直接感得性(翻案)を肯定し、著作権侵害性を認定しています。
(41頁以下)
著作権侵害性を肯定したそのほかのパズルとしては、
2枚の写真を利用したパズルEについては、48頁以下、
連立方程式の応用問題を天秤と3種類の缶でビジュアル化した
パズルFについては、51頁以下参照。
2 損害論
財産的損害については、著作権法114条2項により4万円余り。
精神的損害については、氏名表示権・同一性保持権侵害として
20万円が認定されています。
(62頁以下)
■コメント
著作物性が認められなかったパズルは、数学的解法や
物理法則のアイデアそのもののありふれた方法での
表現であるなどの理由から保護されませんでした。
原告は被告書籍の差止請求を立てていないので、
(出版社とはコトを荒立てたくなかった?)
被告に対するサンクションとしては穏便な印象です。
■参考サイト
原告サイト
電脳内革命
■参考文献
中山信弘「著作権法」(2007)42頁以下、58頁以下
渋谷達紀「自然科学上の法則-「発光ダイオード論文」事件」
『著作権判例百選』(1987)10頁以下
■参考ブログ
企業法務戦士の雑感(08.03.17)
■[企業法務][知財]著作権という名の難解なパズル
hayabusa9999 at 16:54
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│知財判決速報2008












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