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2008年02月11日

「『clear』JJタイアップ広告」事件〜不正競争防止法 商標権侵害差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

「『clear』JJタイアップ広告」事件

大阪地裁平成20年02月07日平成19(ワ)3024商標権侵害差止等請求事件PDF

大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官     高松宏之
裁判官     西理香


■事案

原告「clear crea」のファーストライン「clear」商標とJJ誌に掲載された
被告標章「CLEAR IMPRESSION」との類似性が争われた事案

原告:アパレル会社
被告:アパレル会社


■結論

請求一部認容


■争点

条文 商標法2条3項8号、不正競争防止法2条1項1号

1 被告標章の使用の有無(商標法2条3項8号)
2 原告商標と被告標章の類否
3 不正競争防止法2条1項1号関連
4 損害論


■判決内容

<経緯>

H12   原告が大阪心斎橋「clear」店舗(セレクトショップ)開店
H13   原告が「クリア・クレア\CLEAR―CREA」商標登録
      (第4511227号)
H15   原告が通信販売を開始
       原告が「clear」商標登録(第4711921号)
H16〜  被告が各被告標章を使用(「CLEAR IMPRESSION」ブランド展開)
H18   JJ誌に被告標章1ロゴを掲載
H18   被告関連会社が被告標章2を商標出願するも、拒絶査定


<争点>

1 被告標章の使用の有無(商標法2条3項8号)

被告標章のロゴについて、ロゴがJJ誌に掲載されたのは、被告ブランドの
タイアップ広告としてJJ誌の判断で行われたもので被告による「使用」
(商標法2条3項8号)ではないと被告は反論していましたが、裁判所は、

各タイアップ広告は,その内容はJJ誌が決定したものではあるが,いずれも被告が被告ブランドの広告を掲載することを決め,そのための広告料を支払って初めて掲載されるに至ったものであるから,被告自身が行った広告であると認められる。そして,そのような被告自身が行った広告に被告ブランドのロゴとして被告標章1,4及び5が掲載されている以上,それらの各標章は被告が使用したもの(商標法2条3項8号)というべきである。
(35頁以下)

と判断しています。


2 原告商標と被告標章の類否

本件原告商標は、「clear」の標準文字を横書きしたものでした。
これに対して、被告標章1〜5は、「CLEAR IMPRESSION」という構成の
もので、被告標章1は、上段に大きく細く「CLEAR」、下段に小さく太く
「IMPRESSION」と横書きしたものでした。

本件原告商標と被告標章1の類否について、裁判所は、要部である
「clear」について称呼(クリア)及び観念(「明るい」など)が共通し、
要部以外の部分に「IMPRESSION」の文字が存するものの、その部分の
相違による印象が、共通部分によって生じる類似の印象を超えることは
ない、として類似性を肯定しています。
(37頁以下)

なお、被告標章2〜5については、外観、称呼(クリアインプレッション)、
観念が相違する、また「CLEAR」部分が要部であると認めることはできない
として類似性が否定されています。


3 不正競争防止法2条1項1号関連

原告商標と被告標章の類否の判断をうけて、被告標章2〜5については、
不正競争防止法上の請求は理由がないと判断されています。
(39頁以下)

なお、

商標権に基づく請求と選択的併合の関係にある不正競争防止法に基づく請求は,商標権侵害に基づく請求が認容され,不正競争防止法に基づく請求も同じ限度で認容されるにとどまることから,取り下げられた

ものとして取り扱われています。
(58頁)


4 損害論

商標法39条(特許法105条の3)又は不正競争防止法9条の「相当な損害額」
として、300万円が認定されています。
(55頁以下)

なお、原告の請求は1億5000万円(4億5000万円の一部請求)でした。


結論として、被告標章1についてのみ、使用差止めと損害賠償が
認められました。


■コメント

不正競争防止法に基づく請求については、商標権侵害に基づく請求と
選択的併合の関係にあるとして処理されています。

JJ誌「プリンセス通勤(プリ通)」企画で被告ブランドが選定され
タイアップ広告で被告標章ロゴが使用されました。

原告は「clear crea」をはじめ、「clear jean」「clear premium」
などのブランドを展開していましたが、原告が被告商品に関する
問い合わせを受けたり、ブログ記事やミクシィのなかで原告ブランドと
被告ブランドの混同事例が表面化して、原告としても被告による
「CLEAR IMPRESSION」標章の使用を放置するわけにはいかなかった
ようです。

もっとも、問題となった被告標章5つがいずれも「CLEAR」と
「IMPRESSION」から構成される標章ではありましたが、「CLEAR」が
強調された被告標章1だけ類似性が肯定され、被告標章1を付した
被告商品の展示、頒布の使用差止と損害賠償が認められるにとどまる
という裁判結果となりました。

なお、被告の関連会社(株式会社イドネ)が「CLEARIMPRESSION」で
H16年に商標登録しています(第4796589号)。


■関連サイト

原告ブランド
clear - fashion brand, import select shop

被告会社
FLANDRE CO.,LTD. - フランドル


■参考ブログ

名古屋の商標亭
神戸系可愛ゴーvs.東京エレガンス系モテ服(2/13記事)

アパレルブランドの個性の浸透(2/14記事)

「CLEAR IMPRESSION」vs.「clear−fort」。どっちの度が高い?(2/15記事)


written by ootsukahoumu at 00:22│TrackBack(0)

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