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2007年12月17日

「放電プラズマ焼結機設計図」事件(第2訴訟)〜著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

「放電プラズマ焼結機設計図」事件(第2訴訟)

東京地裁平成19.12.12平成19(ワ)17959損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官     佐野信
裁判官     国分隆文


■事案

原告作成の図面が被告によって破棄されたとして著作権侵害性が
争われた事案

原告:油圧制御装置、輸送装置設計製造会社
被告:石炭、採石、建機材事業会社


■結論

請求棄却


■争点

条文 民法709条

1 著作物の毀損行為と著作権侵害性


■判決内容


<争点>

1 著作物の毀損行為と著作権侵害性


裁判所は、

原告の本訴請求の当否について判断するに,本件において,原告が著作権侵害と主張する行為は,本件図面の毀棄行為である(原告は,本訴において,上記毀棄行為に関し,その他の法益の侵害を主張するものではない。)ところ,仮に本件図面に著作物性が認められたとしても,著作物が固定された有形物である本件図面の毀棄行為は,その著作物についての著作権を侵害することにはならないから,原告の主張はそれ自体失当である。
(3頁)

として、原告の主張を一蹴しています。

所有権と著作権の関係については、古くは顔真卿自書建中告身帖事件
(最判昭和59年1月20日)があって、両者の区別は判例上明かなところです。

もっとも、スイス著作権法第15条1項では

他に作品のない原著作物の所有者は、著作物の維持に関する著作者の正当な利益を認めなければならないときは、その著作物につき、著作者に対して予め取り戻しを申し出ることなく、それを破壊するすることはできない。その者は対価として材料分を超えるものを請求することはできない。
(著作権関係法令実務提要(2)3697の5頁)

とあるように、著作物の破壊からの保護規定を著作権法に置く法制もあり
ます。

わが国の著作権法にも所有権との調整規定はありますが(著作権法45条、
47条、47条の2)、いずれにせよ有体物の毀損行為が所有権侵害となった
としても、無体物である著作物の侵害とはならないところです。


■コメント

同日同一法廷で原告被告間の確定した先行訴訟に関して起された原告による
別訴損害賠償請求についても判決があって、そちらも棄却となっています。

東京地裁平成19年12月12日平成19(ワ)22834損害賠償請求事件PDF


■過去のブログ記事

2006年10月26日記事
「放電プラズマ焼結機設計図」事件〜特許権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜


■参考文献

盛岡一夫「著作権と所有権の関係」『村林楼貔萓幻典記念 判例著作権法』(2001)939頁以下


■追記(2008年1月29日)

別訴損害賠償請求判決PDFが2008年1月29日に裁判所サイトに
再アップされました。
平成19(ワ)22834

関連裁判(2008.02.25)
東京地裁平成20年02月22日平成19(ワ)23460損害賠償請求事件

■関連ブログ

法律使いになる方法
まだ終わらない放電焼結装置事件

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■追記08.7.17

13件目の訴訟となります。

知財高裁平成20.7.16平成20(ネ)10034損害賠償請求控訴事件

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■追記08.7.23

知財高裁平成20.7.23平成20(ネ)10040損害賠償請求控訴事件PDF

written by ootsukahoumu at 17:34│TrackBack(0)知財判決速報2007 

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