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2007年12月01日

「筆耕プログラム著作権侵害」事件〜著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

「筆耕プログラム著作権侵害」事件

東京地裁平成19.11.28平成19(ワ)7380損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官     山田真紀
裁判官     国分隆文


■事案

百貨店向け筆耕用アプリケーションプログラムに関する
使用許諾契約解約時の合意の有無が争われた事案

原告:システム開発業者
被告:情報処理サービス業者ら


■結論

請求棄却


■争点

条文 著作権法第21条

1 契約解約時の合意の不履行の有無
2 著作権侵害の有無


■判決内容

<経緯>

H12.05   原告が本件プログラムを制作
H12.11.01  原告は被告会社と使用許諾契約締結
H14.01.31  原告によるデータ削除により合意解約


*『本件プログラムは,”寛濺硬から渡される名簿等を基に,
顧客及び送り先の住所及び氏名並びに商品名等のデータ
( 以下「顧客等データ」という。)の入力作業を行うAPP シ
ステム(以下「本件入力システム」という。),↓,離如
タ入力作業に加え,入力されたデータを加工して,百貨店等
が希望する発送伝票等の帳票に印字するAPS システム(以下
「本件出力システム」という。)及びこれらの作業を効率
的に行うためのシステムテーブル類から構成される。

(3頁)


<争点>

1 契約解約時の合意の不履行の有無

使用許諾契約書には、契約終了時の規定として、被告会社が本件プ
ログラムのすべてを原告に返却する、とありました。
(10頁)

原告と被告は使用許諾契約の解約の方向のもと、原告が自ら被告
立ち会いの下で被告会社のコンピュータのハードディスクに収納
されていた本件プログラムと外部記憶媒体に保管されていたバック
アップ用のデータ等を復元不可能な形で削除する作業を行っています。

こうした一連の作業から裁判所は、事実上契約が終了したとしましたが、
解約の際に契約終了後の義務等について定める合意が本件契約書上の
取決め以上に形成されたとは認められないと判断しました。
(10頁以下)

結果として、原告による契約解約時の合意(複製物の完全削除・返却)の
不履行を理由とする主張は容れられていません。


2 著作権侵害の有無

被告会社は、本件契約解約後も百貨店向けに筆耕業務を継続して提
供していましたが、本件プログラムの複製物を使用して筆耕業務を
行っているかどうかを含め原告の主張立証が尽くされておらず、
被告らの著作権侵害性は認められていません。
(12頁以下)


結論として、本件プログラム複製物の使用差止、廃棄請求は認めら
れませんでした。


■コメント

契約終了時に、ライセンサー自らがライセンシー側に出向いてバック
アップを含めデータを削除しているので、プログラムのライセンス
契約の事後処理としては、それなりの対処を双方でしている印象です。

ライセンシーが別のシステムに切り替えて従前と同一の業務を継続
する場合、以前のシステムを一部でも使用していないか、その検証
はライセンサーとしては使用許諾契約書に事後処理規定を置くか、
終了時に新たな覚書を取り交わすしか実効性のある監査が出来ません。
(現実問題として、秘密保持契約も含め後継のライセンス契約との
絡みも出てきて、いろいろな問題を孕みます。)

原告は、被告会社が筆耕業務自体を解約後は行わないことを要望し
ていたようですが(4頁)、本件契約とはかかわらないところです。
また、合意の有無の争点はたいした問題ではなく、そもそも被告側
の契約終了後のプログラム使用状況が原告側で把握出来ていないの
で(13頁)、判決文を読む限り原告側には不利な状況でした。


written by ootsukahoumu at 13:35│TrackBack(0)知財判決速報2007 

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